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でぃあ魔法少女【完結】  作者: 煮木 倫太郎
19/63

第十七話 魔法少女また出会います


 私はつぐみ。星河つぐみ。

 赤いずきんは被ってないし、師匠もいないけど、一応魔法少女よ。


 そもそも幼馴染に狼男なんていないし、ましてやペットになんかしたくないわ。

 ――でも、魔法少女仲間は欲しいわね。

 例えば…後輩とか?

 だってほら、魔法少女になって3年にもなるってのに、ニカ以外の魔法少女に出会ったことないのよ?

 そして序列的には、私はニカの後輩にあたるわけで、それは――納得いかないわよね?

 あーあ、私にも、かわいい後輩くらいできないかなぁ…。

「後輩?何の話か、ののに教えるの。」

 …へ?

 あ、いや、せっかく2年生になったんだから、後輩の一人くらい欲しいなぁ、って?

「意外と俗物的なの、つぐみちゃん。」

 あはははは…。

 …。

 あ~~~油断してた、とりあえず笑ってごまかしとこ。

 まだ冒頭なのに会話が発生するなんて、私もリア充になったものね。

 いつもだったら、まだ私の一人語りが続いてる頃合いなのに。

 ふふ。

 自分の成長具合が、少し嬉しいわ、怖いくらいよ。

 でも独り言には、今後気を付けないとね。 


 ――というわけで、今はお昼休みよ。

 目の前には、さっき私のモノローグにフライングで入ってきたノノちゃん。

 二人で今日もお昼ご飯っ中ね。

 あ、「今日()」とは言ったけど、まだ1週間も経ってない出来立てほやほやの習慣よ。

 ――ん?なに?

 ユイちゃんとミナエちゃんはどうしたのかって?

 それは――。

「つぐみちゃんが理系で良かったって、ののはすごく思うの。」

 私も、ノノちゃんが理系でホント良かったわ。

 でも、2人とクラス別れて淋しくない?

「そんなことないの。つぐみちゃんがいるから淋しくないと、ののは言っておくの。」

 ふふふ、そんな嬉しいこと言っても、卵焼きくらいしか出てこないわよ?

「すごいもの出てきたの!いただくの!」

 ふふふふ…。

 あまあま卵焼きに夢中のノノちゃんはさておいて、えーとつまりは、文理選択で見事にクラス別れちゃったのよ。

 ユイちゃんとミナエちゃんと、ね。

 二人はお察しのとおり、文系よ。

「――というか、あの二人仲良すぎなの。3人で居てもたまに疎外感を、ののは感じるの。」

 ああー…何か分かる気がする。

 確かに、あの二人は気持ち悪いくらい仲が良いわね。

 本人たちはそうでもないって言うけど。

「そうなの。去年ゆいっちが振られてから、ますます酷くなったの。実は最近、あの二人ちょっと怪しいと、ののは感じてるの。」

 ああ、あの時…ね、確かにそう言われればそうかも?

 ま、その前の二人は私あまり知らないんだけどね。

 でも、ノノちゃんが言うなら確かなんでしょう、きっと。

 あ、じゃあ明日、明日みんなでお昼ご飯の日だから、一緒に問いただしてやりましょう。

「そうするの。つぐみちゃんとの仲の良さを見せつけてやるの。」

 う……ん?

 あれ?なんか趣旨が変わってない?

 言葉ひとつで、私の首をコテンと横に倒すなんて、ノノちゃん恐ろしい。

 ――オホン、まあ、それはさておき、学年が上がってノノちゃんとはホント仲良くなった気がするわね。

 ラノベ好きどうし…いや、ラノベ好き同志、前からよく二人で話して盛り上がってたけど――。

 こうやって二人ずつにクラス別れてからは、ホントに仲良くなったわ。

 理系ってことで、クラスに女子が少ないのも、これに拍車をかけてるわね。

 あ、ちなみに――他の女子たちとは、まだちょっと距離があるわ。

 だって、まだ新学期になって1週間よ?

 お近づきになるには、私には荷が重すぎるのよ。

 ノノちゃんも社交的じゃないし、私と同じ人見知りだし。

 だからゆっくり。

 そう、ゆっくりと距離を近づけていきましょう。

 今年は修学旅行もあるから、成り行きで仲良くなれるはずよ、きっと。

 …ノノちゃんたちと友達になるのに半年以上かかったのに、どの口がって話だけど、ね。

 でも、少し友達が出来たからって、調子に乗ってるわけじゃないのよ?

 えーと…ほら、私には既に友達がいるでしょ?

「あんまり見つめられると、のの照れるの。」

 ね?いるでしょ?

 目の前でコンビニ限定カヌレにかぶりついてる、リスみたいにかわいいノノちゃんが。

 だから、クラスの子と仲良くなれなくても、安心していられるってだけなのよ。

「――ふう、ごちそうさまなの。」

 私も、ごちそうさま。

 ね、つまり、そういうことなのよ。

 それにしても、おかーさんが作った今日のお弁当、卵焼き以外は冷凍食品だったわ。

 まあ、美味しいからいいけど。

 ちなみにノノちゃんのお弁当はキャラ弁。

 『ママの気分が乗った時、作ってくれるの。』だって、羨ましい。

 私もおかーさんに頼んでみようかしら――。

 いや。

 自分で作りなさいって、一蹴されるに決まってるわ、やめておきましょう。

 お弁当作りたくないもんね、そもそも料理別にそんな好きじゃないし。

 それに私、朝にかなり弱いのよ。

 お弁当なんて、作れるはずないじゃない。

 それくらいは、おかーさんに頼り切ってもバチは当たらないと思うのよ。

 あ、言っとくけど、別に料理ができないわけじゃないからね――。 

「じゃあ、今日もやるの。つぐみちゃん、準備はいいの?」

 ほへ?何を?

 えーっと、キャラ弁作りじゃ…ないわよね?

 んー…右手をグーパーグーパー…って、ああ、なるほど、今日もやるのね。

 別に構わないけど、今日も負けないわよ?

「ふっふっふー。今日は、昨日までの私じゃないと、ののはそう告げておくの。」

 あら?連勝中の私に向かって、よくそんな口が聞けたものね。

 返り討ちにしてあげるわ。

「じゃあ、始めるの!ふんっ。」

 かかって来なさいっ!

 ――って、ん?そのポーズ…確かそれって…。


 …はぁ。

 あぁ、足取りが重いわ。

 自販機ってこんな遠かったかしら。

 まさか――。

 まさか、ノノちゃんが()()()()()を使ってくるなんて。

 あの禁断の、腕クロス必勝法を。

 あんなのされたら勝てないわよ。

 私が出す手は、きっとあの腕の隙間から丸見えだったに違いないわ。

 もしかしてノノちゃんも魔法少女なんじゃないの?

 はぁ…そんなわけないけどさ。

 ――で、なんだっけ?フル牛、だっけ?

 …。

 …ふる、ぎゅう?

 何よフル牛って、初めて聞いたわよそんな略し方。

 そもそも今このご時世、フルーツ牛乳という商品名が存在しないわよ!

 分かるからいいけどっ!

 というか、そもそも!フル牛って1階にしかないのよ!

 ここぞとばかりに、面倒なの頼んでくれちゃって。

 さっきのノノちゃんのドヤ顔が、まだ頭を離れてくれないわよ…。

 はぁ…まあ、せっかく一階に行くんだし、私もフル牛にしよう。

 たまに飲むと美味しいのよ、フル牛。

 あの暴力的な甘さと、いかにも香料ですっていう、あの不健康感がたまらないのよ。

 うん、なんか口の中がフルーツ牛乳になってきたわ。

 はやく注ぎ込まなきゃね。

 あ、ちなみにだけど、お金はちゃんと貰ってるわ。

 買いに行く人を決める『じゃんけん』なのよ。

 ほら、えーと、私たちは健全な高校生だから、賭け事はしないのよ。

 コンプラ順守絶対。

 あー…でもほんとに悔しいわ。

 明後日は、負けたほうがジュース奢り、で再戦を申し込むことにしましょう。

 ふふふ、楽しみね――って、あ、自販機だ。

 やっと着いたわ。

 さて、じゃあフル牛を――ん?

 先客…が、いるわね。

 でもあの子、地面に這いつくばって、一体何してるのかしら。

 自販機の下に手を伸ばして――ああ、なるほど。

 お金、落としちゃったのね。

 仕方ない、少し手伝ってあげましょう。

 役に立てるか分からないけど。

 靴の色からして、おそらく新入生だしね。


 ――お金、落としたの?

「へ?あ、ハイっす。それで自販機の下に…。もう百回泣きそうっす。」

 つまり百円落としたのね。

 会っていきなり『百えーん』って洒落を利かすなんて、なかなか肝が据わった子ね。

 あ、でも――。

 さっきまで這いつくばってたから分からなかったけど、かわいい子じゃない。

 膝は床につけたまま、顔を上げてくれたわ。

 髪は――セミロングともショートとも呼べない長さで、毛先がすこしクルンってしてる。

 あと一ヶ月もすれば、髪の毛染め始めそうな雰囲気がある、そんな子かな。

 私の勝手な想像だけどね。

 まあ、そんな私の印象はどうでもいいのよ、とりあえず地べたを這いずるとしますか。 

 私は、横から自販機の下を覗き込むとしましょう。

 で?百円、どこに転がったの?

「あ、先輩っ!すんませんっす。え、えーと、あそこっス!」

 ふーん、あ、確かにあるわね。

 手、伸ばしてみて。

 私が床に這いつくばったのを見て、すぐさま自分も地面に顔を近づけたわ。

 それに携帯のライトも。

 うん、悪い子じゃないみたい。

「どうっすか?」

 あー、あと少しってところね。

 もうちょっと頑張って、手、伸ばしてみて。

「分かったっすーー、んーーーっ!」

 うん、これならくらいなら、どうにかなりそう。

 じゃあ、彼女が手をパタパタしてる間に、決めちゃわなきゃね。

 いくわよ、せーのっ!


 百円、動け――っ!


「――あ。」

 うん、中指が届いたみたいね。

 良かった良かった――ってあれ?

 この子の雰囲気からして、もうちょっと喜ぶものだと思ってたけど…。

 そうでもないわね。

 そっと百円を引き寄せて、無言でポケットに入れて――ん?

 えーと…。

 ど、どうしたの?こっちをじっと見て…。

「先輩っ!!」

 痛ひゃっ!

 び、吃驚するから!いきなり両肩掴まないでくれる?

「今。()()使ったっすよね!?」

 ――っ!!!!?

 えっと…。

 それはつまり――、――そういうこと、よね?


「――つぐみちゃん。ちょっと遅いと、ののは思うの。」

 ふう、ごめんごめん、新入生とちょっとね。

 でもほら、ちゃんと買ってきたわよ。

 あー…それにしても、やっぱり階段を三階分はしんどいわ。

 少し休憩が欲しいところだけど、それよりも先に、遅くなった言い訳をもう少ししないとね。

「――ふーん、人助けしてたの。実につぐみちゃんらしいと、ののは思うの。」

 そお?

 ちゅるるるるーと二人並んでフル牛吸う光景って、現役JKなら絵になるのかな?

 って、そうじゃなくて。

 え?私らしい?

「うん。らしいの。」

 らしい、か…。

 確かに、普段からそうできるように目を光らせてはいるけど、それをノノちゃんたちに話したことは無いのよ。

 さっきの自販機でのやり取りも、ノノちゃんには魔法の事は伏せて説明したし。

 あ、ちょっと話飛んじゃうけど、さっきの子――えーと…結川さん、とは、あの後少しだけ話して別れたわ。

 えーとまず、立つと思った以上に背が高いのに驚いて…。

 そして一応軽い自己紹介をしあって、私の魔法についても少しだけ話して…。

 で、予鈴が鳴ったからいそいそと帰ってきたのよ、って、ああ!

 連絡先…聞くの忘れた、…ぬかったわ。

 ま、まあでも、過ぎたことは仕方ない。

 とにかく、今はノノちゃんね。

 ノノちゃん、人助けが私らしいって、ほんとにそう思う?

「うんなの。結構つぐみちゃんにはよく助けてもらってるの。そう思ってるのは、ののだけじゃないと思うの。」

 そ…う…。

 それは、ちょっと嬉しいわね。

 ――噓。

 ちょっとじゃなくて、()()()嬉しい。

 それこそ、飛び上がるほどに。

 今まで、自己満足で人助けっぽいことをやってきたつもりだったけど――。

 誰にも気づかれなくていいって、言い聞かせてたけど――。

 それでもやっぱり()()()()()ってのは、すごく嬉しい。

 それも、ニカみたいな魔法少女仲間に、じゃなくて、事情を知らない友達に。

 三年間の私が肯定されたような、努力が報われたような、そんな…感じ。

 ほんと…ほんとに死ぬほど嬉しい、震えが止まらない。

 あ、ヤバ――ちょっと上向こう。

「ちなみに結構泣き虫なのも、みんな知ってると、ののは付け足すの。」

 う゛…。

 にんまりと笑うノノちゃんが、ちょっと憎たらしい。

 な――泣いてないもん。

「つぐみちゃん、かわいいの。」

 ぐぬぬ…。


 ――さて。

 今日はノノちゃんに沢山からかわれたわ。

 それでも、なんで泣いたのかを深く聞いてこないところが、ノノちゃんだなって。

 だから私、ノノちゃん好きなのよね。

 …まあでも、仕返しに強請(ゆす)るネタを、今度探しておきましょう。

 おほん、それはさておき。

 出逢っちゃったわね、魔法少女。

 私を含めて3人目。

 どんな魔法使うかまでは聞けなかったけど、私が魔法使えるって気付けたってことは――。

 彼女自身も魔法が使えるっていう彼女の話に、おそらく嘘はないと思う。

 ニカの時も、似たような感じだったもの――って、あ!

 という事は、よ?

 もしかして、念願の後輩魔法少女ができたってこと!?

 ――うーん…、いや。

 歳が下だからって、必ずしも魔法少女として後輩という事にはならないのか。

 私より先に、力に目覚めてるかもだしね。

 まぁでも、年齢的には後輩には変わりないわ、うん。

 名前は確か、結川…、結川…ナユさん。

 連絡先交換できなかったけど、また会えるかな。

 1000人以上の人が通ってるっていっても、所詮学校だものね。

 また会えるでしょう。

 その時にはちゃんと聞こう、連絡先。

 もちろん私からね。

 だってほら、私の方が先輩なんだから。


                                       ―続―

 

お疲れ様でした。

ののちゃん、いい性格してますね。

つぐみちゃんと相性バッチりな気がします。

ナユは…、うん。

まあ、彼女は彼女らしくていいと思います。

今後も皆の活躍に期待しましょう。

では最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。

次回もお待ちしています。


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すると次回は少し早く上がるかもしれません。

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