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013_友との再会

「レディターニャ、朗報です。このキョウジ、本日付けで勘当になりました。」


「そんなに自分の勘当を嬉しそうに語る人、初めて見たわ。」


キョウジがターニャの家にやって来て放った第一声目がこれである。

先ほど父親のカールに勘当を言い渡された事を朗らかに語るキョウジにターニャは呆れた声で返事をする。

そんなターニャの様子などお構いなしにキョウジはウキウキした様子で話を切り出す。


「レディターニャ、もうすぐ昼ですが、そろそろメルルのやつが来る頃でしょうか?」


「そうね。そろそろ約束の時間ね。取り敢えずご飯の準備を済ませておきましょうか。」


「はい、これは随分とご馳走ですね。」


「ふふっ、当然でしょう。可愛い孫が帰ってくるのだから。」


台所には肉、野菜、魚、果物、魔物肉とたくさんの料理が準備され、あとは器に盛りつけるだけの状態になっていた。

2人が盛り付けを始めてから暫く、あと少しで準備が終わるというタイミングでキョウジはドアの外に人の気配を感じる。


「誰だ!」


キョウジはその気配に対して鋭い声で問いを投げかけるとそこには、


「ただいま、わたしだよ。」


そこにはピンク色のワンピースタイプの学生服を着た、銀色の髪と金色の瞳の可愛らしさと美しさが同居した14歳くらいの少女の姿があった。

その姿にキョウジは、


「メルルか?」


「そうだよ。久しぶり、キョウジ。」


「…お前、少し縮まなかったか?」


「……あんたがデカくなったのよ、この馬鹿!!」


早速これである。自分がデカくなった事を勘定に入れず、相対的に小さくなったメルルにデリカシーのない言葉を発するキョウジ。

そしてそれに当然怒るメルルを眺めながら、ターニャは苦笑いを浮かべながら出迎える。


「ははぁ、お帰りなさい、メルル。王都では色々大変だったみたいね。」


「まぁね。もしかしてその話ってお婆ちゃんにもいってるの。」


「そりゃ、そうよ。私はあなたの保護者だったんだから。」


「ん?何を言ってるんですか?今でも保護者ですよね?」


メルルと話すターニャの物言いに引っ掛かったキョウジが質問を投げかける。

これに答えたのはメルルだ。


「そういえばキョウジには言ってなかったね。お婆ちゃんとわたしに血の繋がりがない事は知ってるよね。

実は、わたしの血の繋がりがある両親が王都で見つかったの。それで法律上の保護者はその人達って事になったんだけど。」


「なるほど、どうやらあまり気が乗らないようだな。その両親はろくでなしか?」


「コラコラ、キョウジ君!そういう質問は感心しないわね。」


「うっ!すみません、不躾でした。メルルも悪かったな。」


キョウジの余りに無神経な質問にターニャが苦言を呈する。

キョウジがその事を詫びたのに対して、メルルは笑顔で返事をする。


「いいよ、気にしなくても。そうやって心配してくれて嬉しい。

それより凄いご馳走だね。これってわたしの為に。」


「えぇ、そうよ。では久しぶりの再会を祝して乾杯といきましょう。」


「そうですね。では乾杯の音頭は今日の主役、メルルに頼もうか。」


「うん、分かった。コホン、では再会を祝して。」


「かんぱ~い!!」×3


こうして3人は乾杯をして、楽しい食事を始める。

暫く近況報告等をしながらターニャ特製の食事に舌鼓を打つ3人。

実はこの中に先日キョウジが仕留めた地竜のステーキが含まれている事はメルルには内緒。

食べ終わった後にバラシて驚かせようと言ういたずらをキョウジが提案し、ターニャがそれに乗っかった。

そんな事を考えながら少しニヤニヤしていた事をキョウジがツッコまれたので、それを誤魔化す為に話を切り出す。


「ところで先ほどの話を掘り返す様で悪いが、お前の今の法律上の両親はどんな人間なんだ。」


「えっとね、国のとても偉い人らしいんだ。そのせいかほとんどあった事がないからどんな人って言われてもうまく言えないかな。」


「そうか、そうすると周りがやっかんで色々うるさいのではないか?」


「うん、確かにそういうのはあるね。」


このキョウジの質問に対して、メルルは俯きながら答え、少し間をおいて話を切り出す。


「ねぇ、キョウジ。前に言ってくれたよね。わたしとお婆ちゃんくらいなら守ってくれるって。あの約束はまだ有効かな?」


「それって7年前にお前が一度断ったやつだよな。俺としてはまだ有効だと思っているが。」


「じゃあ、お願いしてもいい。わたし、いきなり偉い人の娘になって色んな人に狙われているみたいなの。

それでわたし、これから魔法学園に行くんだけど一緒にそこに通って欲しいの。」


「…魔法学園か…あまり面白そうじゃないな。報酬は?」


キョウジのこの質問にメルルは口角を引き上げながら答える。


「一緒に冒険者になってあげる。それから訓練相手。」


「よし乗った!」


「契約成立だね。」


この瞬間、キョウジのごつごつした巨大な手とメルルの絹の様に滑らかな小さな手が固く握られる。

この大きくて頼もしいキョウジの手のひらにメルルは思わず表情を緩ませる。

そんな暖かな空気の中、キョウジから思わぬ一言が飛び出す。


「ところで、メルル。お前の周りに怪しい気配が3つほどあるのだが、始末しても構わないか?」


「へっ?」


「ちょっと!キョウジ君!ダ「行ってくる。」」


敵?を発見したキョウジが家の外へと飛び出す。その様子にメルルは驚いて動けなくなり、ターニャの制止は間に合わなかった。

それから数秒後、玄関先でキョウジと男3人の言い争う声が木霊する。


「怪しい奴らめ!ここに居る理由は後で聞いてやる!取り敢えずぶちのめされろ!!」


「なんだ、この筋肉お化けは!やる気かなら「遅い!!」ぐわ~ッ!!」


「くそ!デギンズがやられた!応戦する!『ストーンバレット』!!」


「はぁはははぁ~~!貧弱!貧弱!これでも喰らえ!」


「嘘だろ!素手で『ストーンバレット』を…ぐわ~~~ッ!!!!」


「なんなんだ、この化け物は!姫さ「よそ見とはいい度胸だな!」…おのれぇ~~!!」


この蹂躙劇の音声を扉越しに聞いたメルルとターニャは思わずため息をつく。


「ねぇ、メルル。あの男の人達って…」


「うん、今の保護者がつけてくれたわたしの護衛…」


「はぁ、王国騎士団も質が落ちたものね。」


「えっ!お婆ちゃん、気にするところそこなの?」


どうやら2人のため息の理由は違ったようだ。

ターニャに対して謎が深まるメルルであった。

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