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「リリィ。今日も来てくれたんだな。」
授業が終わると昨日と同じ様にアーサー様に声をかけられた。
アーサー様、私の授業が終わるの待っててくれてるのよね・・・
「こんばんは殿下。」
「ご苦労だったな。夕食の準備が出来ているからおいで。」
「え、でも・・・」
「料理長がリリィの為に作ったんだ。行くぞ。」
どうしようと、迷っていた私の手を取ったアーサー様はスタスタと歩きだした。
*****
んー!
やっぱり美味しい!!
今日はヒラメだ。
美味しい。幸せ・・・
「気に入ったようだな。」
結局美味しい食事には勝てなかった私にアーサー様は微笑みながら声をかけた。
「はい。とっても美味しいです。ありがとうございます殿下。」
「料理長に言ってやると良い。いずれリリィの料理人になる。」
「えっと、その件は・・・」
「リリィ。私は諦めるつもりはない。5歳の私がリリィに会って一目惚れしたんだ。」
アーサー様は真剣な眼差しを私に向けた。
一目惚れ・・・
え。5歳の時って私まだ2歳よね。
2歳・・・
「まだ2歳のリリィはとても愛らしかったし、私よりも賢かった。もちろん今も美しいし博識だ。リリィは当時のことは覚えていないだろうがな。」
「殿下、私は・・・」
「リリィ。これから少しずつ私のことを知って考え直してくれないだろうか。婚約解消はそれからでも遅くはない。まぁ、毛頭諦めるつもりもないのだがな。」
アーサー様は矛盾したことを真顔で言った。
「ふふっ」
私は耐えきれず声に出して笑ってしまった。
「リリィ。愛している。」
そう言ったアーサー様は満面の笑みをしていた。
私は突然の言葉に顔を真っ赤にした。
ありがとうございました。