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本日二話目の投稿です。
アーサー目線入ります。
「解ってくれたか?名残惜しいが私は公務があるからこれで失礼するよ。城での授業の後はこうして会える時間を作るから。また明日な。」
俺はやっと誤解が解けたと安堵し公務に戻った。
*****
「まさか、あんな誤解をしているとは思わなかった。これでもう婚約解消なんて考えないだろう。」
俺は仕事が終わり、静かな執務室で呟いた。
「お言葉ですが、誤解は殆ど解けていないかと。」
呆れ顔をしたフィンはそう言うと、憐れむ様な目をこちらに向けた。
「・・・どういう意味だ。」
俺はフィンを睨む。
「私を睨まないでください。では、まず良い報告から。殿下がリリアーナ様に微笑みかけた際、リリアーナ様は殿下のことを可愛い。と思われたようです。癒される・・・とも考えておいででした。」
「可愛い?癒される?」
それは良いことなのか?
男としてどうなのだろうか。
「はい。良い報告は以上です。」
「・・・」
それだけ?
少ないな。
「では次に残念な報告を致します。」
残念?嫌な予感がする。
「なんだ。」
「まず、リリアーナ様はこの婚約話を偽装婚約だと思っておいでです。」
フィンの報告を聞きながらリリィが言った言葉を思い出す。
確かにあの時リリィは自分のことを偽装婚約者だと言っていた。
何故そんなことを・・・?
「私もそれは解りかねますが、婚約者として王太子妃教育を受けることによって不敬罪に問われる心配もなさっていました。」
フィンは近くの者の心を聞くことができる。
俺の言葉を聞くことなく当然の様に会話を続ける。
何故リリィが不敬罪に問われるんだ。
もう、何故としか出てこない。
「それと、」
「まだあるのか。」
「ここからが重要なのですが。」
「・・・聞こう。」
もう嫌な予感しかない。
「リリアーナ様は殿下の側室にされると考えたようで、」
「は!?」
俺は思わず立ち上がり、座っていた椅子は勢いよく後方へ吹っ飛んだ。
「側室にされるくらいなら国外追放か修道院に入る方がマシ。との事です。」
王族が側室を持つことは珍しくはない。
逆に側室を持たず正妃のみの方が珍しい。
王族個人の意思ではなく、側室を多く持つ事が美徳と考えられているからだ。
故に側室を持たない事は回りが黙っていない。
世継ぎを求められる国王や王太子ともなると尚のことだ。
「俺は自ら側室を娶るつもりはなかったが、リリィは『側室』が嫌なのか『結婚』が嫌なのかどちらなんだ・・・?」
それとも、『俺との結婚』が嫌なのか・・・
怖くてこれは聞けない。
ありがとうございました。