おもひで
ミーンミンミンミン
セミが鳴くある夏に日の午後。
世界が地獄に変わり果てたのかと疑うほどの暑さ。もしかしたら太陽が近づいてきているのではないかと思ったり思わなかったり。
「はい!これこたろーにあげる!」
「これはなに・・?」
「これは約束のペンダントだよ!おっきくなってまた会ったときにこれがあればわかるでしょ!その時は・・・結婚、しようね・・?」
「うん!!!」
真夏の昼下がり、少し日が傾き教室の窓から日差しが差し込む。
「おい橘、俺の授業で寝るとはいい度胸だな?」
先生のしかりつける声で目を覚ました。
(・・・さっきのは夢か。)
ついに明日から待ちに待った夏休みが始まる。それほど楽しみなわけではないが、長期休暇はなぜかモチベーションが上がるような気がする。
だが、去年の夏休みは親父の実家に帰っただけでそれ以外は家でごろごろしていただけだった。
今年こそはたくさん遊んで思いで作るぞ!!!
「おーいこたろー、夏休みみんなで海行こうぜ!」
「おーー!いいな!」
こいつは一年の時から仲良くしてくれている宝田仁だ。
自分が消極的なせいか、クラスで、多少な?多少浮いていた俺に周りを気にせず話しかけてくれた。
「そこで一つお願いがあるんだけど、、西園をさそってくれないか?」
「お前つばきが狙いで俺を誘ったな??」
はぁ
俺は深くため息をついた。
西園つばきっていうのは俺の幼馴染であり、学年、いや、学校一モテているいるといっても過言ではないほどに男子から注目されている。それに、スタイル抜群なうえ、人当たりもよく女子からも好かれているという超ハイスペック人間のことだ。
「まあ、一応聞いといてやるよ。貸1な」
「サンキュー!!さすがは俺の親友だぜ!!!」
まったく調子のいいやつだ。
つばきを誘うのは幼馴染の俺でも至難の業だっていうのに。
教室の前に来たはいいが、いきなり海に誘ったら俺変な目で見られるよな・・・
そもそもなんて言って誘えばいいんだ・・・?
「あれ?こーちゃん?教室の前で何してるの??」
「えーっと、あの、夏休みに仁と海に行くんだけどいっしょに行かないか?」
「いいね!行こう行こーう!!
紗季も誘ってくるね!!」
にっこり笑いながらつばきは答えた。
(普通にかわいいんだよな・・・)
そして夏休み。
「青い空、白い雲、そしてビキニの女性・・!これぞまさしく青春の夏だ!!!」
「おい仁、そんなにはしゃぐと変な目で見られるぞ。」
「こたろーお前そんな固いこと言わないで楽しもうぜ?西園さんとさきちんも早く行こうぜ!」
まったく、高校生にもなって小学生みたいにはしゃぐなっての
よく考えてみたら海に来るのは何年ぶりかわからないくらい久しぶりだな
そういえばあの子と出会ったあの日もすごく暑い日だったな。
「なあこたろー。ぶっちゃけお前西園さん御こと好きだろ?」
「はっ?何言ってんだよ俺とつばきはただの幼馴染ってだけで別に好きとかじゃねーし!」
「わかったわかったからそんなにムキになるなって。」
こいつ絶対信じてないな。
そもそも俺には子供のころとは言え仮にもこ、婚約している相手がいるんだからな。
だけど、いまあの子がどこで何をしているのかなんて俺にはわからないのにこんなことでいいのだろうか。あの子のことを忘れられなかったせいで高校生活一度もお付き合いもせずに1年間を過ごしてしまった。ましてや女子の友達なんて幼馴染のつばきとつばきと仲が良くて知り合った紗季だけだ。
自分のコミュニケーション能力の低さにはそろそろ嫌気がさす。
「ぐうぅぅぅぅううう」
どこからともなく聞こえたこの音の正体は、つばきのおなかだった。
「ごめんね、今日寝坊しちゃって朝ごはん食べれなかったの。」
「西園さん・・・かわいいから全然オッケー!」
こいつそんなこと直接言えるなら自分で誘えよ・・・!
「じゃあ、海の家い行こっか!」
「そうと決まれば出発だー!」
相変わらず仁はテンション高いな
ん・・・?何か白っぽい動物がこちらに向かってきているような、
ドスンッ!!!!!
自爆テロか!?と思うほどではないがちょっとだけ大きい音を立てて誰かが俺に突っ込んできた。
その拍子に倒れてしまった。
「痛たたた~、あっ申し訳ございません。おけがはないで・・・そ、そのペンダントをどこで!?あ、いえ、すみません。私の前方不注意でした。」
「い、いや俺もしっかり前見てなかったから。あはは」
なんだこの子、あわただしい子だな、いやそんなことより銀髪ボブの女の子とかアニメや漫画の世界でしか見たことないぞ・・・
「す、すみません。では私はこれで。」
なんだったんだほんとに。でもすごいかわいかった・・
「こーちゃん何してるのー?はやくはやくー!」
「お、おーう」
そして、夏休みは終わった。
今日から新学期、心を入れ替え勉学に励むぞ!!という気になるわけはなくけだるい気持ちで新学期最初のホームルームを迎えていた。クラスのみんなは休み中のお土産を渡しあったり、思い出について語り合っている。俺だって今年は夏を満喫したつもりだ。例えば、海に行った・・・それだけだ。
強いて言えば、日中ごろごろして最終日に一夜漬けで、ためにためていた課題を光の速さのごとく終わらせたことくらいだ。いや、もう一つあったな、あの銀髪の子にあったことだ。名前くらい聞いておけばよかったかな、そういえばこのペンダントのことを聞いていたような・・・・?
「おーいこたろー!お土産持ってきたぞー!」
こんな幻聴も聞こえる。なんてむなしいんだろうか・・・
「おい無視するなんて、もしかして好きな子に振られたか?」
「べ、別にそんなんじゃねーし!そもそも告白なんかしてねーし!」
「じゃあ好きなこのことでも考えてたんな?」
気にはなっているこのことを考えていたからあながち間違いではないのかもしれないな。
「まそんなことは置いといて、喜べ、家族旅行でハワイに行ったお土産を持ってきてやったぞ!!」
「まじか!お前は最高の親友だぜ!!」
そこで数分仁の旅行の思い出話を聞いていたら先生が入ってきた。
「あー、ちょっと静かにしてくれ。始業前で悪いが転入生の紹介をする。入ってきなさい。」
転入生?この時期にか?でも海外では九月から新しい学年になるとかは聞いたことあるな。
「外国人だったりしてな。」
「さすがにそれはないだろ。」
いつもおチャラけている仁に否定されたのはムカッと来たが確かにそんなアニメや漫画の世界みたいなことあるわけないか、とは言いつつも少しだけ期待を胸に乗せて教室の入り口を見つめる。
すると、どこかで見たことあるような銀髪ボブの女の子がはいいてきた。
教室内がざわついた。
(名前なんだろうね、ミラ・ジョ〇ビッチとかだったりして。)
さすがにそれはないだろう。
(さすがにそれはないでしょ~)
まったく同じことを言っていた。
「初めまして、高橋愛実と申します。母がイギリス人で父が日本人のハーフです。これからよろしくお願いします。」
(((((ふつーーーー。)))
「????」
おいみんな転入生が困ってるぞ。
「席は窓側の一番奥の席を使ってくれ、おい橘。おまえ隣の席だから転入生に学校のこと教えてやってくれ。授業寝てた罰だ。」
「わ、わかりました。」
気まずい。すごく気まずい。海であった子が転入してきてお世話役に任命されたのも気まずいが何よりクラスの連中の目線が・・・
(くそなんであいつが銀髪美人転入生の世話役なんだよ。)
(どこが罰ゲームなんだよこんなの丸ゲームじゃねーか)
怖い。。。。。
そんなこんなで夏休み明けの新学期は最高か最悪かよくわからない状態で始まりを迎えた。
小説を読んでいただきありがとうございます!
少しボリュームが少なめになってしまい申し訳ございませんT_T
この作品が僕の一番最初の作品ですので、少し読みにくい部分であったり、誤字などがあったりするかもしれませんが、温かい目で読んでもらえると嬉しいです!また、ここ直したほうがいいなど、何かご指摘や意見、感想があれば、コメント残してくれるとに泣きわめいて喜びます!
ストックはまだ作っていないので、投稿頻度は少し遅くなってしまうかもしれませんがこれからも読み続けていただければ光栄です。