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s02 ノインの仕業でした。

修正致しました。


主な修正点

・クラン《ゴルディック》⇒クラン《グリフォン》

 ギルドに入るとそこは、中世ヨーロッパを思わせる光景があった。

細かい部分まで装飾の施されたシャンデリア。白いタイルの床と石灰の壁。開放感のある天井。日光が差し込む天窓。コルク材の掲示板。


 300年前まで文化の発展が滞っていた場所とは思えないな。

これもダンジョンの影響が大きいのだろうけど。



 中央のカウンターに並び、早速冒険者登録を済ませる。

今の俺の設定は、成人直後のただの庶民ということのなっている。

だが、数時間前までこのダンジョン。【オアシス】の100階層十王だったのだ。少し緊張してしまうな。


 少しばかりオロオロしてしまっている俺を見越して、カウンターの女性職員に「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」と、気遣われ、笑われてしまった。


 まぁいい、過ぎたことだ。さっさとオアシスに潜ってしまおう。


 カウンターから右に歩いたところにある大階段からオアシスに入ることが出来るようだ。

そこに向かって歩いていくと、大階段の下から80人ほどの集団が上がってきた。


 どこかで見たことのある気がするソイツらは、大階段からギルドに上がると、その場で止まった。

そしてリーダーらしき男が前に出ると途端に言い放つ。


「我ら、ゴルディッククランがダンジョンの王を倒してきたぞぉ!!」


「「「「「おぉー!!」」」」」


 ギルド内が歓声に包まれる。


「そして報告だ」


 再度、冒険者も職員も、男の報告とやらに聞き入る。


「..........ダンジョンには続きがあったぞ!!」


「「「「......え?...............やったぁぁぁ!!」」」」


 そしてまた大歓声が起こった。


「さすがこの国最強と名高いゴルディックのクランだぜ。」

「ダンジョンの王も、ゴルディック達にかかればひとひねりだぜ。」

「最強クラン《グリフォン》、バンザァァァイ!!」


 ちょっとイラッとくる言葉もあったがここは我慢だ。


 そんな歓声の中、まるで勇者の帰還状態になっている最強クラン《グリフォン》の統率者らしき男が1人、カウンターに向かった。


 そしてカウンターの女性職員の中で、1番美しい女性の前に立った。さっき俺が笑われた子だった。


 何故だか分からないが、俺は2人の会話が無性に気になった。

そして、俺は男達を囲む冒険者たちの中に紛れ込み、耳を澄ませた。


「お疲れ様です。ゴルディック様」


「おいおいそれだけか?もっとなんかあるだろ。」


「............」


「まぁいい。ダンジョンのボスを倒してきたぞ。約束通り、俺と結婚しろ。」


「.....ちなみにボスはどのように倒しましたか?」


「ん?そりゃ例の石でドカンと一撃よ。」


「それはこの前話していた、『ノイン』とかいう人からもらった例の石ですか?」


「そうよ。まぁあれ以外にも大量の火薬石を使ったがな」


 その会話を聴いて、突如として腕が震えた。

咄嗟に腕を押え、震えを無理に止める。


 全て繋がった。


ノインは【爆破を司る王】だ。


 【支配を司る王】の俺をただの『火薬石』と『火炎石』で、殺せるはずがないと思っていたがそういう事か。


 ノインが作る『火薬石』は、ダンジョンから常に発生する『マナ』を吸収して、威力が上がる。


 階層ごと俺を吹き飛ばすあの威力は、たぶん数百年物。

それも、母上達がいる1001階層の濃厚なマナを吸わせていたのだろう。


 大嫌いな俺を葬るためにわざわざ地上まで来ていたか。


 まぁ今はどうこうできる状態ではない。

それに、どうせオアシス(ダンジョン)を進めば200階層でふんぞり返っているだろうから、復讐はそこで果たせばいい。


 俺がそんな決意を心の中でしていると、例の女の子.......ではなく例の女性職員が男に物申す。


「それはあなたの実力ではなく、その『ノイン』という人の力です。それに結婚の約束なんてしてません。まあもし結婚するならあなたとではなく、()()()強い人と結婚しますから。」


「は?ボスを吹き飛ばしたのは俺だぞ?俺の力だ。俺の成果だ。俺の功績だぞ!」


「それは勘違いです。」


「か、勘違いだと。このガキ言わせておけば」


 フフッ。この女は気に入った。

だからここは俺が(拳で)話をしてやろう。


「おい、デカブツ。お前ボスにやられた腹はどうした。」


「あぁ?そんなもんポーションで.....ってなんだお前。てかなんでそんなクソ装備のお前がそれ知ってんだよ。」


「それは秘密だ。お前がかなわなかったダンジョンの王を、『俺が倒した』とか言ってるからさ。気になったんだよ。」


「このクソガキ。俺がかなわなかっただと?ふざけるな。俺が相手にするまでもないから、ぶっ飛ばしたんだ。」


「そうかそうか、じゃあもう一度体感すればいいさ。」


「は?何言ってんだこいつ。」


 ハハハハハ。


 周りの奴らが俺の言葉に笑い始める。


 だが俺に舐められたことを言われた男は違った。

しっかりとこちらを向いて構えている。

さすが自称最強冒険者だ。雑魚相手でも手は抜かない姿勢は評価しよう。


 コイツのことは、よく覚えている。

集団の中で1番初めに、斬りかかってきたバカだ。

軽く蹴り飛ばしてやったら、数秒足らずで意識を手放し、石の床にキスしてたな。


 さてさて。再現わ始めるか。


 俺は軽く地面を蹴る。目にもとまらぬ速さで男の懐に.........あれ?全然跳べないや。

..........あっ、体にアビリティ合わせるの忘れてた。


1度目は不発に終わったが、体のサイズや筋肉量に元の体のアビリティを合わせ、2回目の跳躍。

今度こそ、一瞬で男の前まで跳び、あの時と同じように横腹に蹴り込む。


 あの時は手加減したが、それでも男を吹き飛ばすのには充分だった。しかし、今の状態では手加減などしている場合ではないな。


 脇腹に革のブーツをねじ込まれ、金属製のフルプレートを凹ませながら宙を舞う男。ろくな受け身も取れず、派手に(全身で)壁ドンして気絶した男を見て、ギルド内に一時の静寂が訪れた。




─────────────────────



「ノイン、母上が呼んでいる。」


「あ?母上が?ったくめんどくせぇな」


 ノインとヒュンフのケンカを止めると同時に、ノインに用事を伝えたアインスは、そのまま1001階層を後にした。

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