第零章 ~あなたとわたしのオープニング~
鋭い斬撃が鈍く辺りに響いて行く。見渡す限りは一面荒野、辺りに切斬の跡が残っている。その音は何にも妨げられることもせず、ひたすら延々と響く。
爆発音がした。だがそれは火薬での爆発とは程遠い音。鈍くも透き通り、無駄な衝撃が襲う。その音は火山の噴火を思わせる。そしてまた、新たに鈍い斬撃が鈍く辺りへ響く。
「ジュリーズ・ワード」と聞いて、皆は何を思い浮かべるだろう。おそらく中年向けの
少女系のアニメか。はたまた小中学生向けのいたいアニメか。残念だが恐らく不正解だ。
この物語はきっとアニメとかファンタジーの予想を覆す。ありきたりの感動シーンや綺麗ごとはこの物語には含まれていない。なんで?僕が嫌いだからとしか言いようがない。
仮に君がその場にいて、あんな恥ずかしいことをいう勇気はあるかい?僕にはないね。言ったって意味はないのが現実だ。そこから外れるからアニメなんだろう。だがね、外れすぎるとなんか腹が立ってくるのが人の生だ。
だからこの物語は小説で、かつ現実味に仕上げている楽しんでくれると嬉しいほかない。
あなたに 最高のファンタジーを 届けるため
ワードはあるのだ きっと きっと きっと
第1話 あなたとわたしの オープニング
「やりすぎの言葉を知らないのはあなたたちだけで十分だわ。ったくも。」
ホウナはそう説教気味のつぶやく。それが一番説教として有効なのを知っているからだ。
「カリアの結界が無きゃここらは破滅ね。危ない。」
シノンも続けざまの言う。しかし、彼らに反論の術はない。
それもそうだろう。この荒野を見渡しても何も不思議なことはないが、目線を下して見れば明らかな斬裂の跡や砕けた岩石が飛び散っている。その跡は円形の境で途切れている。何かに遮断させた跡。それが結界だ。
何が起こったかは実に簡単だ。ここで闘いが起こったのだ。[戦い]ではない。[闘い]だ。つまり、生と死を賭けたものではなく、あくまで意図的な遊戯の一種だ。彼らにとっては。
まず破壊の跡を見れば明らかに現世では人が簡単に飛び散る威力だ。[トリコ]をご存じだろうか。知っているのなら話は早い。その何倍と荒れている。八王が暴れた後の光景といっても強いてはいない。そんな光景が広がっている。
しかし、この者達にとっては運動で荒れたグラウンドのような感覚だ。もっと言えばトンボを掛ければ元通りな訳だ。今の内に言っておこう。[ジュリーズ]というこの世界ではこれが普通だ。もっとも強大なマナを宿す戦士に限るが。
最初に言い忘れたが、この小説に常識のアニメの限度を当てはめないで欲しい。ゲームバランスや主人公設定などこの物語に求められても困るだけだ。気をつけてほしい。
カジはやってしまったと言わんばかりの顔をしている。それはクリムも同等だ。声を合わせてこう言った。
「すいません。」
カリアは特に追求しなかった。いつものことだと思っているからだろう。それはシノンも同じだった。ただホウナだけは暗黙の納得が当てはまらない。明らかに顔に不十分そうな光景が浮かんでる。しかし、このホウナを納得させるには土下座をしても収まらない。絶対と確証がある程度持てる。まぁ、だからと言って何があるという訳ではない。放っとけばすぐ収まる。
ここはサンドリアの東の荒野。普段は人が皆無に等しく立ち入らないが、稀に闘いをしている戦士を見かける。それがさっきの奴らだ。
彼らはMAO連合の第十六隊だ。精鋭の中の精鋭の伝説が集まる。隊長のカリア・F・ラスミーテは今までの成績が九十八万PKと、この[セカイ]で第二位の実力。まさに伝説なのだ。
このセカイは様々な[使いの遺志]と呼ばれる能力がある。このセカイで過ごすうちに身に付くものや、生命創造の際に宿るものもある。能力の概要は様々で、仮に火を挙げると下位能力は火を発生させる。上位能力は火の熱を変えることが出来るようになり、さらに上位互換になると火を操るまでになる。このように能力は言葉の通り無限大である。そしてその関連の能力の最高位が[使い]である。そして五大使いと呼ばれるの能力。大気の使徒・琴遁の使徒・愚炎の使徒・静水の使徒。地核の使徒がある。
このセカイの住民はほぼ全員が生命創造で誕生する。その住民の平均の寿命は一億年とまで昇る。しかし、極稀に[死の鏡]によって創造された者がいる。彼らが集まってできた軍隊がMAO連合である。また、彼らの平均寿命は二千兆年。もはや人間の住まう[ワールド]では考えられない。例でカリアは現在は二十四兆五千三百三億七十二歳である。