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令嬢男子と乙女王子──幼馴染と転生したら性別が逆だった件──  作者: 恋蓮
第一部 【正義の味方の為の練習曲(エチュード)】
31/129

◆31.プペちゃん!?

 

 応援合戦の後、妃沙はやや忙しかった。


 周囲の人々から「良かったよー!」「素晴らしい!」「妃沙たん萌え~!!」などという言葉を掛けられ、褒めてくれる言葉に嬉しくなり、つい笑顔で対応してしまう為に時間を取られてしまったのだ。

 仕方がないことだ、前世では善行を施しているつもりでも裏があるのではないかと疑われまくり、困っていそうな人に声をかけても悲鳴を上げて逃げられてしまう毎日だったのだから。

 自分が頑張って成し遂げた成果をこんな風に周囲に褒められて嬉しくない筈がないし、人々の善意には出来るだけ応えたいと思っているのだ。

 それが出来る自分に生まれ変わったのだ、前世では出来なかった事を今世(いま)ではしっかりやろうと転生した時から自分に誓っている妃沙である。


 だが今、妃沙は少々焦っていた。

 応援合戦の後、一番に自分が出場予定の借り物競走のレースが予定されているのだ。応援団の衣装から運動着に着替え、集合場所に行く間に声を掛けられまくり、少々時間をロスしている。

 校庭に響く放送委員も「間もなく借り物競走を開始します」と告げている。

 レースに間に合わず不戦敗など妃沙にとっては最も有り得ない事態だ。

 今回の運動会では応援合戦くらいでしかポイントに貢献する種目に出場出来なかったのだから、せめて借り物競走でも一位を取って、少しでも優勝に貢献したいと思っているのだ。

 借り物競走の一位など、応援合戦で加算されるポイントからしてみたら本当に微々たるものだったのだけれど、それでも、やるからには一位を取る、というのが妃沙という人間である。


 周囲に手を振りながら、妃沙が集合場所に走る。

 もちろん、周囲に目を配る事も忘れない。借り物競争でどんなお題目が自分に課されるか解らないのだから、何処にどんな人間がいるかを把握していれば『借りる』までの時間短縮に一役を買うだろう。



(──けどなぁ、なんだってこの学校の運動会はこんなに観客が多いんだ!? 観客席が段積みだなんて何処のコンサート会場だよ!? って、アリーナ席は特別仕様になってやがるな、個室仕様とかなんだありゃ!?

 ウチの両親と知玲の両親も最前列のアリーナにいるけど……やっぱ金の力とか権力とか、そういうのがあの席に座るには必要なのか……?)



 走りながら観客に目を向け、驚愕する妃沙。何となくではあるが観客達の特徴を記憶している。

 そんな彼女の瞳に、たった独りでアリーナの個室に座り、手に顎を乗せて楽しそうにグラウンドを見つめている青年──年の頃は大学生くらいだろうか、前世の自分より少し年上のように見える──が目に留まる。

 キュッと細い顎、しなやかで白く、それでいて男性的な節くれだった大きな手、そして何より目を引くのは、銀縁眼鏡の奥で輝く、黄金のその瞳。

 藍色の髪を微かに揺らしながら首を傾げ、にこやかに微笑みながらグラウンドを見つめるその青年の姿を目に止め、妃沙の足が一瞬止まる。


(──すんげー美形……。あんなに銀縁メガネが似合う男がいるんだな。でもなんで、一人でアリーナになんているんだろ? 子どもがいるワケでもなさそうだしな……)


 だが、見惚れて止まった足は、放送委員の督促の声にハッと現実に引き戻された。

 今や借り物競走の選手は妃沙を除く全員が揃っていたのだが、最も目立ち、目玉選手である妃沙が揃わない事にはレースを開始出来ないのである。

 もしかしたら自分の何かが妃沙の『借り物』に引っ掛かり、交流出来るかもしれないという期待はこのグラウンドの選手・観客全員の密かな野望であったのだから。

 そして妃沙が息を切らして合流したことで、周囲が安堵の雰囲気に包まれる。

 午後の競技は、『空組』の応援があまりに素晴らしすぎて、このグラウンド内にいる人々の気持ちが高ぶってしまったようで、しばらく混乱が続いていた為に少々時間が押し気味なのだ。

 彼らに責任はないし放送委員も実行委員も、教師ですら興奮して彼らに接触しようと動いてしまった引け目があるので彼らを咎める気持ちなど全くないのだけれど、時間通りに運動会を運営すべし、という覚悟のもと、最初から計算ずくだった応援団の影響が最大限以上に影響を及ぼしてしまっている今、他の競技では出来るだけロスをしたくないのが心情であった。



「遅くなって申し訳ございません……! 一年空組、水無瀬 妃沙、いつでもスタート出来ますわ……!」



 ようやく集合場所に辿り着いた妃沙が、その可憐な唇からフ、フ、と軽く息を漏らしながら告げる様に周囲はポッと頬を染める。

 直前にあの応援合戦を見てしまったのだ、彼女の可憐な姿が脳裏にチラ付いてしまっても不思議ではあるまい。

 幸いにして借り物競走は学年毎でスタートする方式ではなく、事前に事情を知っていた運営側によって妃沙の順番は操作されており、最終レースに組み込まれていた為に被害はそれほど出ていなかった。


「お疲れ様、水無瀬さん。君は最終レースの一レーンですから、そこに並んで下さいねー?」


 今日も今日とてのほほんとした口調で、このレースのスタート担当の教師・浅野 匠が妃沙をスタート位置に誘導すると、周囲はようやく安堵の息を吐いた。

 そして当の妃沙は、これから始まる真剣勝負に向けてギラギラとその大きな碧眼を輝かせていたのである。



 ───◇──◆──◆──◇───



「それでは最終組の皆さん、スタート位置について……ヨーイ……!!」



 パン、と、スターターピストルの空砲の音が響き渡る。

 一人だけ異常な速さでスタートを切った妃沙が風を切るようなスピードでレーンの中を走り抜け、置かれている『借り物』の記された紙を手に取り、ハッとと目を見開いた。



(──『メガネのイケメン』? そんなの、あのニーチャンしかいねェだろ!?)



 書かれていた『借り物』のを確認し、妃沙があの青年がいた方向に目を向ける。

 だが、その個室は無人であり、妃沙をして見惚れてしまったあの青年の姿はそこにはない。

 思わず立ちつくす、妃沙。

 何故だか以前の世界よりも美形な人物の多いこの世界だ、別にあの青年でなくても『メガネのイケメン』はたくさんいたのだけれど、『自分が一番イケメンである』と思う彼しかその『借り物』には適さないような気がして、妃沙はキョロキョロと周囲を見回している。

 他の選手たちは、早々に『借り物』を見つけ、対象に向かって走り出しているようだ。

 そして、妃沙がメモを手に立ち止まってしまっている様子を見咎めた知玲が、応援席の最前列に立って妃沙に声を掛ける。


「妃沙! 題目を教えて!? ボクも一緒に探すから……」

「メガネのイケメンですわ、知玲様……でも……!」


 見つけましたわ、と、妃沙の小振りな顔に満面の笑顔が咲き、知玲の脇をすり抜けて何処か走って行く。

 その姿を目で追えば、今、何処かから応援席に帰って来る途中だと思われるメガネを掛けた大学生くらいの青年が藍色の髪を揺らしてこちらへ向かって来る所だった。



「そこのお兄様! わたくしと共に勝利をもぎ取って下さいまし!!」



『メガネのイケメン』と書かれたメモをかざし、瞳に涙すら浮かべて妃沙が青年に懇願している。

 既に『借り物』を見つけ、ゴールに向かおうという選手すらいるのだ、一時の猶予もない。妃沙は必死だった。


 そして、その懇願を一身に受けた青年は、一瞬、驚いたように目を見開いで妃沙を見つめていたのだけれど、書かれている内容を確認し、ああ、と微笑んで頷いた。



「俺を選んでくれるとは光栄だな。見た所、勝負は一刻を争うみたい。……ねぇ君、勝ちたい? それとももう少し、俺との交流を楽しみたい?」



 少し意地の悪い微笑みを乗せてそんな事を問う青年に、妃沙はキッと眉を上げて言い放った。



「ふっざけんな!! 良く知りもしないてめェなんかと交流してる時間はねェんだ! とっととゴールを目指すぞコラァ!!」



 もちろん、興奮した『中の人』、龍之介はそう叫んだのだけれど。

『外の人』、妃沙の口からは違う言葉が飛び出して来ていた。



「冗談ではありませんわ! 良く存じ上げぬ貴方様と交流の時間など持っているヒマはないのです! 早くゴールを目指しますわよ!!」



 まったく便利な『能力(スキル)』である。

『天使』と称されてしまう程の美少女が口にするには、『龍之介』の言葉は似つかわしくないというのは例の『女神様』は百も承知なのだろう。

 そして、そんな『自動変換』をもう何年も使わざるを得ない龍之介だ、もはや自分の言葉がヤンキー言葉ではなくお嬢様言葉に変換されて飛び出して来る事には慣れているのだけれど。

 その彼は、驚いたように目を見開き、次の瞬間には面白そうな笑顔を浮かべて言ったのだ。



「アハハ! 何そのヤンキー口調!? なのにやたらとサマになってるのは何で!?」



 そう言いながら、妃沙に近付いて来る青年。

 その瞳に新しい玩具を見つめた子どものような無邪気な色を称えて妃沙に駆け寄って来ると、興味深そうに妃沙の顔を覗き込む。



「……ああ、でも今はそんな時間はないか。俺も負けるの嫌いなんだよね。今から君を抱えて突っ走るけど、それでも良い?」

「上等だ! 今の会話で時間をロスしてんだ、早く行け!」



 周囲には『当たり前ですわ。今のお話で時間をロスしているのですもの、早く行って下さいまし!』と聞こえている妃沙のその言葉。

 だが、青年には龍之介のままの言葉が聞こえているようで、だが全く気分を害した様子もなく妃沙を抱き抱えると「上等!」と楽しそうに微笑んだ。



「飛ばすからね、プペちゃん。しっかり掴まっていて?」



 そして青年は、妃沙を大事に抱えたまま、人間離れした速度でグラウンドを駆け抜けた。

 その様はまるで一陣の風のようで、周囲の人間は彼らがあっという間に先頭を走っていた生徒を抜く様すら見逃す程であったのだけれど、妃沙の行動をジッと見つめていた知玲にだけは、その青年が危険人物であるとしっかり認識出来たのである。



 そして、妃沙を抱えてゴールテープを切った青年。


「ありがとな!」


 ニカッと満面の笑みで笑顔を浮かべる妃沙を面白そうに見つめながら、青年は言った。



「面白い能力(スキル)を持ってるね、君。そしてそこには深い闇がありそうだ。

 ……ねぇ、俺と賭けをしない?」



 突然そんな事を言われ、不思議そうな表情で、コテン、と首を傾げる妃沙。

 その彼女を再び抱きかかえ、その小さな額にチュッ、とキスを落とすと、青年は言った。



「二度ある事は三度あるって言うでしょう? 君とは不思議な縁を感じるんだよね。君とあと二度出会えたら俺の中で何かが変わるような気がするな。

 だから、三度目に会えたその時、お互いに自己紹介をしようよ。だからそれまでは……君は俺のプペちゃん。そして俺は君の……」



 コソ、と、妃沙の耳元で何事かを囁く青年。

 そして、本当に珍しく、その白い頬にポッと朱を乗せる妃沙。



「プペちゃん、俺の呼び名は、どんなに親しい人間にも内緒にしておいてね。三度目のその時、その名前は返してもらうんだから、約束だよ?」



 じゃあね、と、青年がヒラヒラと手を振って妃沙の前から去って行く。

 既に最終組の選手も全員がゴールしており、『借り物』が確かに題目に沿ったものである事を報告済みだったので競技的には何の問題もないのだけれど、チクリ、と、妃沙の胸に何かが刺さる感触が残る。



(──なんなんだよ、アイツ……。俺の言葉が変換前で聞こえてる? しかもなんだよ、あの呼び名……)



 額に触れた唇の柔らかさを思い出し、妃沙がポッと頬を染めて彼が触れたその場所に手を触れている。

 今はまだ、妃沙の意識は『龍之介』のそれの方が強くて、ちょっと顔の良い青年に触れられたからと言ってドキドキすることはないのだけれど……。

 何故だか、知玲が度々自分に触れる温もりとは違った物を、青年が齎したそれには感じてしまっていて。

 しかも、知玲ですら聞こえる事のない、『素の自分のことば』が聞こえているらしいと実感し、心がざわめくのは否めない。

 だって彼は言ったのだ、『何そのヤンキー口調』と。そしてやたらとサマになっていると。

 当たり前だ、妃沙の令嬢口調はあくまで『変換』されているだけで、時折とんでもない変換をしてくれる事すらあったし、素のその言葉が紡ぐ『本音』とはニュアンスがどうしても違う。

 自分の意思が違えて伝わる事はないけれど、ずっと……ずっと違和感を感じていたのに、もしかしたら、あの青年には本音で話す事が出来るかもしれない。


 けれどそれは、この世界で表に出してしまって良いものなのだろうか。

 今の自分は、立場も外見も──性別すら違うのだ、それ自体は、今ではもう受け止めているし、周囲には前世ではどんなに憧れても持ち得なかった友達もいるし、普通に勉強をして、普通に学校生活を楽しむ事が出来ているのだから不満など持ってはいない。

 だが、本当の自分は、周囲が思い描くような令嬢でもなければ素直で可愛い存在なんかじゃない。ただのヤンキーだ。

 今ではもう、前世以上に大切な物が増えてしまったこの世界で、自分は周囲を騙してしまっているのではないか。

 それは決して許される事ではないと、本当の自分の声が聞こえるらしい彼は、教えに来てくれたんじゃないか。


 そんな風に悩む妃沙。

 悩んだ所で、答えなどないし、どうにも出来るものではない。

 心根がヤンキーだからといって、前世のようになるつもりもない。けれど、今の自分は『真実(ほんとう)の自分』なのかと、妃沙の心に小さな疑念の炎が灯った。



 額に触れたまま、その場に立ち尽くす妃沙の側に、周囲の制止も聞かず『婚約者様』が駆け寄って来た。



「妃沙! 大丈夫!? あの男に変な事されてない!?」



 前世からの知り合い、そして、誰よりもその幸せを護りたい存在。

 ……そうだ、自分は守られる存在なんかじゃない。ずっと……ずっと『彼女(夕季)』を守る為だけに生きて来たのに、この世界ではどうだ。守られる事、大切にされる事に慣れてしまっているんじゃないか。

 いつしか自分は、『水無瀬 妃沙』と言う、か弱い存在であることにうつつを抜かしていたんじゃないか。

 そんな自己嫌悪が、妃沙を襲う。

 どんなに後悔した所で、彼女が『綾瀬 龍之介』に戻ることなど決してなかったし、『水無瀬 妃沙』である限り、その存在はか弱い少女のそれである事は違えようもないのだけれど。



「……知玲様……。何故でしょう、以前の自分がどんな存在であったのか、あの方が教えて下さいましたわ。

 わたくしはもしかしたら……こんなに近く、貴方の側にいてはいけないのかもしれません。前世(まえ)のように、遠くから貴方を見守って……影を払って……」



 言いながら、自分の瞳にブワッと涙が浮かぶのを感じる。

 けれど、こんなに近くで何年も共に過ごして、前世よりももっと近しい存在になってしまった『知玲』と距離を置く事なんか自分に出来るのだろうか。

 前世から彼はずっと、唯一の家族であった母親よりもずっと近しい存在で、その存在は良く知っているし、自分の事も良く知ってくれていた家族以上の存在なのだ。そしてこの世界では、以前の自分を知り、転生などという秘密を共有する唯一の存在である。

 だがもし、前世の自分の事を知る存在がいたら、彼の側に自分がいる事を咎めるだろう。

 自分なんかよりずっと、知玲は将来を嘱望される存在だ。将来も約束されていて、努力もしているし、才能も申し分ないエリートだ。そして前世からずっと、その心根は優しくて真っ直ぐで真面目で強い。

 自分は……家柄は、神様の悪戯で申し分がない。魔法、という才能にも恵まれている。

 だが……その心根は、ヤンキーのそのままで。

 変えようと、思ったことすらないじゃいないか。知玲が「それで良い」と甘やかしてくれるから。



「……知玲様。わたくしが相応しくないと、一人でも、そんな意見を言う方が周囲に現れたなら……その時は……」

「妃沙。何があったのか知らないけど、相応しい存在であろうと努力するのは、君じゃない、僕の方だ」



 クッソ、あのニヤケ顔、今度会ったら絶対シメてやる、とらしくない言葉を吐き、これまたらしくない舌打ちをしながら知玲が呟く。

 そして、尚も不安そうな妃沙の両頬に手を添え、自分を見上げさせ、言った。



「僕には妃沙だけ。以前も言ったよね、今世で出会えないと解ったら、次の可能性を信じて自ら命を断つ覚悟があるくらい、キミが大切。

 ……変な大人に流されないで。僕と一緒に……一つずつ段階を上って行こうよ、妃沙。僕が君を……絶対に護るから」



 ギュッ、と、妃沙を抱き締める知玲。

 妃沙もまた、前世の記憶に飲み込まれそうな自分と闘う事に必死で、今の状況やら何やらを顧みる余裕はなかったらしく、その抱擁を受け止めているけれど。



 ──状況は、運動会の真っ最中である。

 しかも、大好評を博した応援合戦の直後の競技で、妃沙の為にメガネを用意しようとしていた知玲を尻目に、妃沙が別のイケメンを選んだのだ。

 そしてそのイケメンが妃沙を軽々と抱き上げて最後尾付近から牛蒡抜きでそのレースの一位をもぎ取り。

 ゴール付近で妃沙に何かを囁いたかと思えば途端に退場し、直後に学園のアイドル・知玲が妃沙の側に駆け寄って彼女の瞳に涙を浮かべさせ、甘い雰囲気をダダ漏れにしているのだ。

 注目するな、という方が無理である。




那奈(なな)さん、正直、応援合戦より妃沙ちゃんを巡る知玲君とあの美形のメガネ君の三角関係の方が萌えるのですけれど……!」

「……あのメガネくん、まさか……まさかね……。ところで雫ちゃん、それは貴女の嗜好とは異なるんじゃないの?」

「何を言うの、那奈さん! 美形とは! いつ、どんな場所、性別だろうと私達の妄想力を滾らせてくれるのよっ!!」



 安定の栗花落(つゆり)家。

 母親でツッコミ役の那奈の瞳にさえ、キラキラとした少女漫画に夢中な中学生のような光を宿らせる程、妃沙と知玲のやり取りは胸キュンなものであった。


 そしてこの後、NLにも目覚めてしまった母と姉の要請で、充が聞く事が出来た知玲と妃沙の会話を報告せざるを得ない事が増え、女優・栗花落 那奈は少女達をトキめかせる小説を世に放ち、やがて旦那を巻き込んで大ヒット映画を製作するに至るのだが……これもまた、別の話である。


◆今日の龍之介さん◆


「………………」(何やら思い悩んでいるようだ)

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