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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

赤ずきん

作者: -70.00

あるところに、一人の少女がいました。その少女はいつも真っ赤な頭巾を被っていたのでみんなからは赤ずきんと呼ばれていました。ある日、赤ずきんはお母さんにおつかいを頼まれました。「おばあさんのところにこのパンとワインを届けてちょうだい。」「はい、お母さん。」赤ずきんのおばあさんは離れた家に独りで住んでいました。お母さんも一緒に住むようにおばあさんを説得していましたが、おばあさんは家から離れようとはしませんでした。「それじゃあ、行ってらっしゃい。」「行ってきます。」赤ずきんは家を出発しました。

最初に赤ずきんはちょうちょと出会いました。「赤ずきんちゃん、どこへ行くんだい。」気どった男子大学生みたいな声でちょうちょは尋ねました。「おばあさんのところへパンとワインを届けに行くの。でも道がわからなくてこまっていたの。」よくもまあこんな記憶力でおつかいに行きましたね赤ずきん。「それなら、そこの木を右に曲がればいいよ。」「ありがとう、ちょうちょさん。」「どういたしまして。じゃ、僕これからパーティーがあるから、またね。」おそらく新入生と酒パでもするのでしょう。赤ずきんは教えられた通りに進んで行きました。

十数分後、赤ずきんはまた道に迷っていました。仕方ありません。あれはちょうちょの教え方が悪いんです。そんなとき、うさぎが通りかかりました。「赤ずきん、どうしたの。」今人気の若手女性声優みたいな声でうさぎは尋ねました。赤ずきんは声優に疎かったので誰の声だか見当もつきませんでした。「うさぎさん、おばあさんの家に行きたいのだけど道がわからなくてこまっていたの。」「それなら、あの森の中の道を辿っていけばいいよ。でも、よくおおかみがでるから気をつけるんだよ。」「ありがとう、うさぎさん。」赤ずきんはそう言って森の中へ入って行きました。それにしても、なぜこの辺の生き物達は赤ずきんのおばあさんの家の場所を知っているのでしょうか。おばあさん有名人なのでしょうか。しかし、赤ずきんは純真な女の子だったのでそんなこと気にも止めませんでした。

赤ずきんは森の中でおおかみと出くわしました。「赤ずきん、どこへ行くんだい。」もう声の説明面倒です。ご自分で狼っぽい声考えてください。「おおかみには教えちゃだめってお母さんが言ってたよ。」赤ずきんはそう言って行ってしまいました。腹を立てたおおかみは森の近くにいたうさぎを捕まえて「やい、赤ずきんがどこへ向かったのか教えろ。言わないと今夜はお前が晩飯だぞ。」と脅しました。「あ、赤ずきんならおばあさんの家へ向かいましたよ。」嗚呼無力なるかな若手女性声優。うさぎを解放したおおかみはなにか思いついたような顔でおばあさんの家へ向かいました。

所変わっておばあさんの家。ベッドで本を読んでいたおばあさんはチャイムの音を聴いて起き上がりました。「おや、赤ずきんかな。」声は以下略。おばあさんがドアを開けるとそこには先回りしてきたおおかみが。悲鳴をあげる暇もなく、おばあさんは丸呑みにされました。

それから10分ほどで、赤ずきんもおばあさんの家にやってきました。普通なら1時間弱で行けるところが1時間45分もかかりました。もうお前おつかいやめたほうがいいよ。チャイムを押しても反応がなく、鍵も開いていたので赤ずきんは勝手に中に入りました。ホラー映画だと絶対なんかいるパターンです。そして実際になんか居ます。赤ずきんが寝室へたどり着くと、そこではおばあさんに変装したおおかみがベッドの上で寝ていました。当然ながら赤ずきんはそれに気付きません。「おや、よくきたね赤ずきん。」おおかみはできる限りおばあさんの真似をして言いました。「おばあさん、どうしてそんな変な声なの?」赤ずきんは尋ねました。「最近風邪をひいてしまったんだよ。」「どうして眼鏡をかけているの?」赤ずきんは続けて言いました。「それはね、お前の顔をよく見るためさ。お前の顔を見ると、元気が湧いてくるんだ。」「どうしてそんなに耳が大きいの?」「それはね、お前の声をよく聞くためさ。お前の声を聞くと安心できるんだ。」おおかみは赤ずきんが油断するのを今か今かと待ち構えていました。そのうちに、赤ずきんはパンとワインの入ったバスケットを床に置きました。そして、いきなりワインの瓶でおおかみの頭部を殴りつけました。「そんなに私が恋しいなら一緒の家に住めばいいじゃねえか。なのにお前は家を手放そうともしない、ホームにも入らない。なにが思い出の家だからだ。思い出だけで生きていけるか。お前みたいな奴はとっとと死んだほうが世の為なんだ。」おおかみは即死でした。しかし赤ずきんはそれでは足りず、瓶の破片でおおかみの腹を縦に割いてやりました。すると中から丸呑みにされたおばあさんが出てきました。さながら桃太郎です。おおかみから産まれたおおかみ婆さんです。腹のなかで一部始終を聞いていたおばあさんは怖くなって逃げ出しました。赤ずきんも後を追いかけましたがおばあさんは意外にも足が速くなかなか追いつけません。そこで赤ずきんは大声で「助けてください猟師さん。おおかみが私のおばあさんに変装しておばあさんを食べてしまったんです。」と叫びました。声を聞いて猟師がかけつけましたがどう見たっておおかみではありません。赤ずきんは困惑している猟師の銃を奪い、おばあさんを撃ち殺しました。もちろん猟師も撃ち殺しました。幸いにも真っ赤な頭巾のおかげで返り血は目立ちませんでした。その後、走ってお腹が空いたので赤ずきんは持ってきたパンを誰もいない家で食べました。そしてお家にまっすぐ帰りました。帰ってきた赤ずきんにお母さんは尋ねました。「おばあさん元気だった?」「うん!」赤ずきんは屈託のない笑みで大きく返事をしました。

おしまい

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― 新着の感想 ―
[一言] 貴殿の作品大変面白く拝見し候。古より在る寓話の改変なれば当然型破る事難儀なるべき候。然して貴殿随所に原典と大いに異なる変転創りこれ非常に素晴らしき候也。加えて御作品大変美味にして読者を飽きさ…
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