二章 波乱の学校 1
「俊太さん?そろそろ起きてください。」
僕は体を揺さぶられるのを感じ目を覚ました。
「おはようのじゃロリ。起こしてくれたのか。」
「はい。朝御飯もお米なら炊いておきましたよ。」
「おう。そうかありがとう。って美狐さんじゃないですか!」
そこにいたのは昨夜、隣で寝ていたはずの偉そうなのじゃロリではなくお嬢様のような上品な雰囲気を醸し出してる美狐さんであった。
「昨日もお話しした通り学校の方へお邪魔させていただくのならこちらの姿が望ましいので。」
「そ、そうですか。待ってください。少し準備します。」
僕は飛び起きると横に掛けてあった制服を手に取った。
美狐さんがこちらを見ていないことを確認すると僕は素早く着替えた。
「着替えました。朝御飯を食べましょう。あっネクタイが歪んでいますよ。」
ドキッ。
なんか無性にドキドキする。
「美狐さんって僕に触れられましたっけ?」
「お話ししてませんでしたか。私の社であるあなただけ私を見ることができ触ることもできるのです。なので学校に着いた場合喋りかけることのないように気をつけてくださいね。」
「わかりました。気を付けます。」
「それでは朝御飯にしましょう。」
美狐さんが作ってくれた朝御飯は味噌汁とお米だけといういたってシンプルなものであった。
「何を使っていいのかわからないので少し減っても困らなそうなものを使いました。」
「好きなもの使っていいですよ。」
「俊太さん、料理されませんですよね?なのに調理器具があるのが不思議なのですが。というかいままでどうしてたんですか?昨日みたいにカップ麺を?」
「カップ麺なのはいつもだよ。調理器具は時々幼馴染みが作りに来てくれるんだよ。」
「幼馴染みさんがいたのですか。ですがこれからは私が作りましょう。」
「そこまでしてもらう必要は……。」
「大丈夫ですよ。」
「この味噌汁美味しかったですよ。ご馳走さまです。」
「お粗末様です。」
「食べ終わりましたしそろそろ出掛けますか。洗い物は帰ってからにしましょう。」
「家事までやってもらっちゃってすみません。」
独り暮らし歴がまあまあ長い俊太にとっても家事は大変なものなので少しでも減るのは嬉しいことだった。
「これからは私が全ての家事をしますよ。なんだかんだ言って迷惑をかけてしまっているので。」
「さすがにそこまでやってもらうわけには。」
革靴に履き替え玄関の戸を開けながらそう返答した。
「大丈夫です。任せてください。」
学校へ到着するまで家事をやりたい美狐と僕との言い争いは続いた。
学校ではトラブルが待ち構えていることも知らずに。