五章 姉妹間の大戦争 2
「あれから二日か。」
あのあと町や町の外を少し探し回ったがいなくなった三人はどこにも見当たらなかった。
どこにもいない。
僕は今、町の端の路地裏のカフェにいる。
ある二人の人物と会うためだ。
店に入った瞬間殺意やら緊張やらを感じ取った。
店の中にいる者たちは二通りに別れていた。
一方は顔まで覆い隠すマントにくるまっている者。
一方は怪しげなフードを被っている者。
店内には沢山の人物がいるが店のカウンターにはたった二名しか座っていない。
僕はその二人の真ん中に座った。
重い静寂に包まれている。
先に口を開いたのは右に座っている顔を覆い隠すマントの者であった。
だがその男は他の同じ格好の誰よりも威圧があった。
「わざわざ連絡を寄越すとは死にたいのか……。」
唸るような声でそう言った。
店中が震えた。
次に喋ったのは逆の左に座っているフードの女であった。
「しかも両陣営を呼ぶとは……愚かな。」
その声は美しく透き通っている。
「呼んだのには理由がある。」
「だろうな。」
「でしょうね。」
他の者たちが構えた。
次の僕の一言を待っているようだ。
「真帆と理恵がさらわれて場所が特定できない。理恵と真帆はあんたらにとっても大事な人だろ?」
右と左で反応が違った。
右では男が何かに怒るように唸り左では心配そうにため息を漏らした。
「力を貸してくれ。母さん。父さん。」