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アニマル喫茶始めました。  作者: ネコモドキ
春は出会いの風が吹く。
5/7

四月???日 説明回……というか観光ガイド回でした。


 


 ーーー八十神町。

 人口四千人の、小さな町だ。

 それでも、なんちゃって都会と言えるくらいにはアミューズメントに富んでいて、三次産業が町の主な収入源と言われているくらい。

 隣町の千寿神町の名物を海と言うのなら、此方の名物は千田川と万寿山だ。

 夏は観光客でごった返し、皆が自然の中で楽しいひと時を過ごす。

 ボーイスカウトみたいなものも夏季限定でやっていて、カブトムシやクワガタを持って帰ってくる笑顔の子供達を見守るこの町の大人達の視線は微笑ましい。


 ーーー春はお花見。

 山の麓に桜が植えており、毎年見事な桜を咲かせる。

 確か品種は【ヤマザクラ】だったと思うが、どんな異常気象が起きても花を散らさず、威風堂々としていたのでいつの間にか【ヤマトナデシコ】なんて名前が付いている。

 地元ニュースでも度々取り上げられる【ヤマトナデシコ】はこの町の名物の一つだ。


 ーーー夏はさっきも言ったとおり、山と川だ。

 千寿神町は正直、海しかない。

 アミューズメントパークは此方より充実しているが、

 何処か田舎っぽさがあり、毎日行きたいとは思わない。

 そんな隣町と比べ、ウチは自然がたくさんだ。

 毎年顔を、手を、趣を変えてくれる自然。

 昨今では子供の外遊び離れが酷いらしいが、ここ……八十神町では普通に子供達が外で騒いでいる。

 海で……川で……魚を捕ったり、虫を取ったり、子供達を撮ったり………これは去年の話だった。

 ………まあ、この騒ぎたくなる季節に変人が度々出る事はあるにはあるが、警察の方がしっかりしてくれているので特に問題はないだろう。


 ーーー秋はやっぱり山の中で紅葉狩りやキノコ狩りをやっている。

 山菜も美味しいこの時期。まあ、まだちょっぴり苦味の残る山菜は敬遠されがちだが、キノコや紅葉は町の外、中問わず好評だ。

 たまに出る山中の獣も、子供達にとってはいい刺激となっている。一応PTAからは散々「あぶない」などの大変ごもっともな意見が出ているのだが、これまで大事に至った事がないので強くも出てはいけないのが現状だ。

 まあ、凄腕の猟師やプロの格闘家も雇っているとかなんとかだから、大丈夫なのだろう。実は一度、過去に問題が起こっているのだが……それは、僕と一部しか知られていない。


 ーーー冬は、神社に初詣。

 百地神社という、兎を祀る家内安全の神社で初詣が行われる。

 甘酒やお汁粉、さらには地元の山菜を使った豚汁が無料で振舞われ、一年に一度の盛況を見せる。

 さらに……十二年に一度。そう、卯年の年には毎回大きなサプライズもあり、その年だけは観光客が倍増するという。



 ーーーこうして、春夏秋冬の特色を言ってきたが、それらとは別に八十神町にはとある口伝や、伝説が数多く存在する。


 簡単に言えば、モノノケの類に関する御話だ。


 ーーー曰く、千田川でカッパを見た。

 ーーー曰く、万寿山でUFOを見た。

 ーーー曰く、百地神社で謎の光と喋る兎を見たなどなど………正直、オカルトくさいものばかり。


 ーーーしかし、僕は知っている。というか最近知った。


 ーーーそれが、非日常リアルであるという事を。


 八十神町の、山の麓に位置する区。そこに、とある一つの喫茶店………【兎の古巣亭】

 何処か古風な、実家を思わせるその店はーーーある秘密がある(・・・・・・・)

 外見も良し、ホールも、ゴチャゴチャしているものの安心感のあるBGMに、包まれたような暖かい証明。料理も大変美味しく、そんじょそこらのお店の追随を許さない。

 ーーーそんな、贔屓目で見なくとも綺麗で、こぢんまりとした喫茶店。つい最近、僕がアルバイトを始めた店でもある。


 趣のある、兎を模した看板が風に揺られキィキィと鳴く。その鈴の音につられ、やって来たお客さんの度肝を抜く光景が必ず待っている事だろう。


 ーーーーチリン、チリン………


 さあ、今日も一人のお客さんがやって来た。

 ーーー果たして、今宵のお客さんは日常ノーマル非日常アブノーマルか………



 それを知るためには、やはりご来店願おうか。





 ーーーようこそ、【兎の古巣亭】………もとい、【アニマル喫茶】へ!







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