催眠術
動物園の猿の檻の前にやってきた催眠術師は、一匹の猿に催眠術をかけた。
催眠術をかけられた猿はそれまでの様子とは打って変わり、突然仲間の猿達に暴力をふるい、力で猿達を支配し始めた。メスの猿を周りにはべらせた催眠猿は、仲間の猿達に命じ、餌を徴収していった。
しかし催眠猿の天下は長くは続かなかった。他の猿達は反旗を翻し、数の正義で催眠猿をボスの座から引きずり下ろしたのだ。仲間だった猿達から裏切られ、ボロボロに傷ついた催眠猿は檻の隅でぐったりとしていた。それは当たり前の結果と言えた。
一部始終を見届けた男が催眠術師に聞いた。
「なんと催眠をかけたのですか?」
「独裁者です。」