ヤンデレ兄とニート妹
唐突に書きたくなったヤンデレ兄ものです。
色々と矛盾や無理さがあるかもしれませんが興味あったらご覧下さい。
ーー私、高坂観月、十七歳、職業ヒキニート。
私は今、監視カメラが備え付けられている部屋にいる。
うん、
「何ここすっっっごい快適!!!」
ベッドは超フカフカだしゲームは最新作からプレミアものまで揃い踏み。大量にある本は哲学書から漫画まで幅広く置かれている。
「気に入ってくれた?」
そういってニコニコとしているのは血の繋がらない兄、千尋。(詳しくは省くが父の再婚相手の子供。現在社会人。)
「苦労したよ、観月の好きそうなもの全部とっく把握済みだったけどここに集めるのは。本、たっくさん用意しといたよ? 観月は活字中毒だからね。めぼしいものは全部入れたつもりだけど欲しいものがあるなら言ってね? 買ってくるから。ゲームも好きだから、沢山置いといたよ? だけどーー」
「この部屋から出るな、でしょ? 千尋兄さん。」
そういうととても満足そうに彼は頷いた。
元より、自分はこの部屋から出て行くつもりはない。
だって、外はダイキライだから。
「そう、出てこなければ、好きに使って良いよ。」
「分かった。」
そういって私は近くの本棚にパタパタと近づいて手を伸ばす。
平均より小柄なせいか、目的のものに手が届かない。
すると、兄はそれを難なく取って私に渡してくれた。
「ありがとう。」
少し照れ臭くてぶっきらぼうに言うと蕩けるような笑みを浮かべて頭を撫でられる。
ーー父と、義母が死んだのは二年前。
新婚旅行の最中、轢き逃げされた。
余りのことに、涙すら出なくて、学校でも、どこか麻痺してしまったのかいつも通りに過ごしていたら、いじめられた。
元々人と関わるのが苦手だった私に、味方してくれる人なんか居なくて、
「観月、ずっとここにいてね?」
「‥‥うん。」
この、血の繋がらない兄だけが私を守ってくれた。
その日から、私の世界は一気に狭くなった。
ーー私の味方は千尋兄さんだけ。
だから、そんな兄さんに嫌われたりなんかしたくなくて、言うことを聞くようになった。
『携帯は、こっちを使って。』
『真っ直ぐ家に帰ってきて。』
『できる限り、家に居て。』
『家から出ないで。』
『俺以外を、信じないで。』
全て、言うことを聞いた。
聞いたら、兄はどんどん優しくなった。
学校での冷たい眼差しも、家に帰ったらどうでも良くなって、甘えさせてくれる兄にどんどん依存していった。
それが、悪い事なんて誰にも言われたくなんかない。
「他になにか欲しいモノある?」
「‥‥えっと、」
「なに?」
優しく問いかけてくる兄に、頬が熱くなる。
「千尋兄さんが、時々居てくれればいい。」
そう言うと、兄は驚いたように目を見張った。
やっぱり、図々しかったかな、そうおもって、やっぱり良いと言おうとしたら突然抱きしめられた。
「~~~~~!? 兄さん、離して!!」
「~~~~~~~!! もちろんだよ観月!!」
突然のことにびっくりして、照れ臭くてなんかドキドキして、だけどなぜか嫌では無かった。
「とにかく、一旦離れて!!」
そういうと仕方ないなぁ、と呟きながら兄は離れていく。
すると、兄の携帯がなった。
顔をしかめながらそれを見て、兄は一つため息をついた。
「‥‥ほんとはスッゴイ嫌だけど、会社行ってくるね? 待ってるんだよ?」
「‥‥うん。」
行って欲しくは無いけど、兄のお陰で生活できている身の上、言うことは出来ない。
優しく撫でてくれるその手が離れるのを、寂しいと感じた。
ディスプレイに映る少女の姿に笑みを千尋は深めた。
二年を掛けて、ようやく、手に入れた。
自分のあげたウサギの人形を抱っこしている観月は本当に可愛い。
「もうぜったいはなさないから。」
そういって、暗く笑う彼の姿を見るものは、誰も居なかった。
どうでしょうか‥‥?
感想くれたら嬉しいです。