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第四話 私のジョーとパトリックはどこだ?

建物の中はとても暗く、サビ鉄のような臭いが充満していた、チョコレイトアイスはバックパックから懐中電灯を取り出して、中を照らす。


闇へと続く長い廊下が続いていた、ライトを持っているチョコレイトアイスが先頭を歩き始める。


いつでも逃げ出せるようにドアは開けっ放しにし、三人は奥へ奥へと進んでいく。


しばらく進むと、ぼぅっと扉が現れた。


チョコレイトケイキが何の戸惑いもなく、その扉を開け、ショコラートとチョコレイトアイスはビクッ!と肩を跳ねらせた。


気を取り直してチョコレイトアイスは中に入ってライトで照らすと、猛獣のような声や悲鳴のような声が響いて来た。


周辺を照らすと虎やライオンといった猛獣を入れるような牢屋のような籠に人間が一人一人ずつ入れられていた。


ショコラートがチョコレイトアイスからライトを奪い、その入れられている人間の顔をよく照らす。


「コイツは…!」


ショコラートは驚愕した。


その人間は、あの外で撃ち殺した二人の刺客と同様、顔が腫れ上がり紫色に変色した、まるでゾンビのような状態だった。


そのゾンビのようになった人間は悲鳴のような声を叫びながら、籠の中で暴れまわっていた。


その隣の牢屋の人間もその隣の人間もその隣の人間も、みんなみんなゾンビのようになっていた。


ショコラートとチョコレイトアイスは、気味が悪くなってボーッとそのゾンビになった人間を見ていたチョコレイトケイキを掴んで部屋の奥へ進んだ。


再び廊下のような所に出る、そこは蛍光灯が点いているものの、まだ薄暗い。


すると、どこからともなくドタバタと走り回る足音が聞こえる。


大慌てでショコラートとチョコレイトアイスは身を隠し、チョコレイトケイキはのっそりと身を隠した。


「あぁぁぁー!どこだぁーー!どこに行ったんだぁぁー!ジョー!パトリィーク!可愛い可愛いジョーとパトリックーはどこだぁああーーッ!?」


男の声が廊下中に響く。


「標的のレイナルド博士か?」


「らしいッス…行ってみましょう」


チョコレイトアイスがアサルトライフルを構えて角を曲ろうとすると、とんでもない光景が目に飛び込んできた。


「誰かお探しなんですかー?」


「おおっ!?君はっ!?」


チョコレイトアイスとショコラートはズコーッ!と盛大にコケそうになる。


「何やってんだアイツ…!」


あろう事か、チョコレイトケイキがいつの間にかボサボサの髪をした白衣の猫背の男…レイナルド博士に話しかけていたのだ。


「実は、ジョーとパトリックが見つからないんだぁ…私の大切な大切なジョーとパトリックがぁぁぁ……」


「お子さんですかー?」


「あぁ…私の大切な大切な家族だよぉぉ……」


レイナルド博士はチョコレイトケイキに気付いていないのか、それともテンパり過ぎてるだけなのだろうか、自然に会話している。


「それじゃあ一緒に探してあげますよー」


「おぉっ!?本当かい!?」


レイナルド博士は目を輝かせる。


「えぇ、もちろん」


二コッと笑ってチョコレイトケイキは答えた。


「そ、それじゃあ、君は向こうを探してくれ!私はこっちを探す!」


「はい、任せて下さい」


レイナルド博士はチョコレイトケイキに背を向けて、向こうの方へ歩き始めた。


「あの馬鹿…!」


ショコラートがレイナルド博士を銃殺しようと飛び出してくると同時に、チョコレイトケイキがとびっきりの笑顔でショットガンをレイナルド博士の背に向けて雷鳴のような銃声が廊下中に響く。


レイナルド博士は血の霧を噴出しながら前方に吹っ飛んで行った。


勢い良く飛び出してきたショコラートはただ呆然と突っ立っていた。


「さ、帰りましょうかー!」


先程の笑顔でショットガンを肩に掛けながらショコラートとチョコレイトアイスに言う。


「あ、あぁ…」とショコラートは呆気に取られたような声で言う。


三人はまたあのやかましい部屋を戻り、真っ暗な廊下を通って外に出た。


「なんか…納得が行かないッス…」


「俺もだ…」


あっという間に仕事が終わった事はとても良い事なのだが、二人はモヤモヤした気分に襲われていた。


チョコレイトケイキはそんなの気にせず、鼻歌を歌っていた。


森に入り、来た道を戻ろうとすると男のすすり泣く声が背後から聞こえる。


振り返ると、先程チョコレイトケイキに撃ち殺されたハズのレイナルド博士が、ショコラートが始末した二人の死体を抱きかかえてすすり泣いていた。


そのすすり泣く声はやがて大きな泣き声となり、大の大人が子供のようにわーんわんと泣く。


「ジョォォォ~~~!!!パトリックゥゥゥゥ~~~!!!どうしてッ!?どうしてッ!?どうしてこんな事にィィィ~~~ッ!?目を覚ましておくれよぉぉぉぉぉ~~~~~!!!!」


「ば、馬鹿な……!?」


ショコラートとチョコレイトアイスはまたまた呆気を取られた、確実に死んだと思われたレイナルド博士が生きていたのだ。


するとレイナルド博士が三人をキッと睨みつける。


「お前かァァァ~~~!!!お前らがやったのかぁぁぁ~~~!!!!許さん…許さんぞぉぉおおお~~~~~!!!!やれいッ!お前達ぃぃぃ!!!」


レイナルド博士の号令で、建物の中からゾンビとなった人間達が飛び出してきたのだ。


「どわぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


ショコラートとチョコレイトアイスとチョコレイトケイキは猛ダッシュで浜辺へと

走り向った。


チョコレイトアイスは振り向きながら、アサルトライフルでゾンビの人間達を薙ぎ倒していく。


しかし撃っても撃っても有り得ない数のゾンビの人間達が湧いてくる。


浜辺に出ると、クルーザーが後ろ方向に向いていた。


榊原がクルーザーの船尾に機関銃を設置して浜辺を狙っていた。


「こんな事もあろうかと用意しておいてよかった……おーいッ!早く乗れーー!」


「ナイス榊原ッ!」


向ってくるゾンビ人間達に三人が捕まらないように榊原は機関銃で援護する。


ドリルのような音と共に機関銃の銃口が火花吹き、ゾンビ人間達は次々と吹っ飛ばされていく。


三人はクルーザーに乗り、榊原は機関銃をチョコレイトアイスに代わりクルーザーを動かした。


クルーザーが勢い良く動き出し、浜辺から離れていく。


「逃がすなぁあああああーーーーッッッ!!!追いかけろぉぉおおおーーッッッ!!!!!うわぁわうあああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーッッッ!!!!」


鬼の顔でレイナルド博士が奇声を上げながらクルーザーに走ってくる。


チョコレイトアイスは機関銃をレイナルド博士に向って放つ、が、人間離れしたフットワークで全て避けられる。


「凄い…!だが、その先は海…ようやく逃げ切れた」


ホッと一安心するチョコレイトアイス。


しかし、そのままレイナルド博士は岸で止まると思いきや、なんと海の上を走り始めたのだ。


「嘘ォッ!?」


驚愕するチョコレイトアイス、そして次々と人間ゾンビ達も海の上を駆けて来る走ってくる。



「ジョォオオオオオオオオオオオオオオーーーーッッッ!!!!パトリィィィイィイイイイイイッッッッックウウウゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!わぁあうわあああああああああああああああああああああ!!!!!!」


海の上を奇声を上げながらチーターの如く走り抜けるレイナルド博士、チョコレイトアイスは動揺しながらも、機関銃を乱射する。


他の人間ゾンビ達には弾丸が当たり、海に沈んでいくがレイナルド博士は殆ど被弾しない。


どんどん焦ってきたチョコレイトアイスにチョコレイトケイキがポンッと背中を叩く


「チョコレイトアイスー、もう一回レイナルド博士を狙って撃って下さいー」


「えぇっ!?無理ッスよ!全部避けられるんッスよ!」


しかしチョコレイトケイキは「いいからー」とニコニコした表情で言い、チョコレイトアイスは渋々、レイナルド博士に向って機関銃を放つ。


機関銃の弾丸は全て避けられる、奇声を上げながら、そして、レイナルド博士が大きく右に避けた瞬間をチョコレイトケイキは見逃さなかった。


右に避けて左に避けようとしているその瞬間を突きショットガンを発砲する。


ショットガンから飛び出た散弾はレイナルド博士の右半身を貫き、一瞬動きを止めた、そこをチョコレイトアイスが機関銃で撃ちぬく。


機関銃から発射された弾丸は全てレイナルド博士の体を貫き、体の一部を海にバラ撒きながら海に沈んだ。


「うぅぅぅ…ジョーォォ……パトリックゥゥ……ブクブク…」



ある程度、離れた所からショコラートがレイナルド博士が溺れた場所を双眼鏡で確認する。


「あの様子だとまだ生きてるっぽいな……」


「どうする?」


榊原が尋ねると、ショコラートはぐったりと倒れる。


「今日は退散だ、ちょっと…もう疲れた」


「私も…夢に出そうッス……」


チョコレイトアイスもその場に腰を下ろし、タオルで汗を拭う。


チョコレイトケイキはというと、レイナルド博士が溺れた場所をジッと見つめていた。


一先ず、退散し準備してからまた来る事に決めた。

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