有栖川夕
よろしくです
「そこ、あぶな…」
「え…?、あ」
その瞬間。
制服を着た男の子が私にぶつかり、バランスを崩し、持っていた何かを落としてしまった。
「あ…っ、ごめん、大丈夫か?」
「……別に、それより」
「何か落としてたけど…」
「そう、それの事なんだけど」
男の子は下を見、呟いた。「これ、何?」
見たことない、形…はもうなしていないが、形容し難い物だ。
何というか……一般人には到底理解できない芸術のようなものを感じる…。
つまりは私には分からないということなのだが。
「えっと」
「うん?」
その男の子は、少し躊躇った後、小さな口を開いた。「それ、壺だから」
「壺だったのか?えっと…弁償したほうがいいのか」
「うん」
「いや…すまなかった、弁償だけで本当にいいのか?」
「別に、買える物だし」
こくり、と頷き、ランドセルに付いている鈴をちりん、と鳴らすと、その子はこう言った。
「15億」
1、5、億。
「ファッ!?」
「何?15億って…私はそんな金持ちあわせてないぞ!?」
何だよ!ふざけるなよ!
「君何者だよ!?」
「有栖川夕、小2」
ああ、小学生なのか…。
…!?
この制服…まさか…
「君、聖ルシファー学園の生徒!?」
「うん」なん…だと…!?
説明しよう!!
全国単位で有名なセレブ小学校、聖ルシファー学園…一見城かと見間違うようなだだっ広い校舎、完璧すぎるくらい整った設備、小学校にして優秀な教員。いやもう。次元が違うレベルだ。
15億を持っている、うーん、ありえなくはない。
「…あのさ」
「15億、無いのは分かったけど…とにかく弁償はしてよね」
「」
私としたことが…完全に忘れていた。
「今すぐ…は無理なら、とりあえず学校、来てくれない」
「!?あ、うん」
なんと!?
聖ルシファー学園に私が行く…とは。
「何ていうの、名前」
「佐喜凛だ、よろしく…有栖川君」
「さきりん?」
有栖川君は、きょとん、といった表情でこちらを見つめてくる。
「佐喜が名字で、凛が名前だ」
「ふーん…じゃあ、佐喜って呼ぶから」
「うん」
ありがとうございました