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その21 覇道 (5)

武田菱(1)からココのまでの間を少し修正しました

よろしかったら今一度読み返して頂けると幸いです


次回「武田編」の一部ラストになります!!!

諏訪頼重すわよりしげ「自害」

最後の手紙を信繁は禰禰に直接手渡した


目の前茫然自失の状態の彼女の身体を「御北おきた」がしっかりと支えた

声も無く

涙も無く

力を失った身体は御北の胸に静かに崩れ落ちた



「頼重様。。。。。」



小さな手が行き場なく宙を仰ぐ

自分の身の上に起こった「悲劇」を理解仕切れない

目線は遠くに何かを探すように彷徨う


禰禰の身体はぐったりと力を失い

ただ

首を振りながら

何度も同じ言葉を繰り返した


「頼重様。。。。頼重様。。。。」


手紙を渡した信繁はじっくりとその姿を見届け場を立ち去ろうとした

その背中に御北が声をかけた


「何故じゃ。。。何故なのじゃ。。。信繁」


上げた腰を下ろしもう一度母に念を押すように答えた


「武田のためです」


御北は首を振った

「何故禰禰を救えなかったのか」

悲痛の表情の母の声

目に浮かぶ涙に信繁は顔を反らさずはっきりとした口調で


「仕方のない事でした」




「返して。。。」

御北の胸の中着物の袖をしっかりとつかみ

信繁を見ることはなかったが小さく震える声で主張を続けた


「返して。。。頼重様を。。。。返して。。。。」


自分の行動で壊してしまった「人」の姿を

決して目を反らさずしっかり見る

ゆっくりと


懸命に禰禰を支える御北に

深く頭をを伏して言った


「武田のために。。大きな対局においてはやむおえぬ処遇であった事をご理解頂きたい」


そこまで言うと

速やかに部屋を退出した

離れていく廊下に。。。。繰り返される禰禰の嘆きを聞きながら


それでも振り返ることなく前に向かった






「高遠に不穏な動きがあります」


「戦」の後処理で諏訪に駐留から戻ってきた

板垣信方いたがきのぶかたは着けた具足のまま評定場に集まった諸将と

倒れた禰禰を思い

顔に悲しみを浮かべる当主晴信に報告をした


「諏訪の割領かつりょうに「不満」あり。。。。との事でしょう」


報告に勘助は「してやったり」という顔で返答した

板垣も同じく理由はわかっていたようで頷いた


高遠を調略にかけたときの条件に


大祝おおほおり」の地位を高遠頼継たかとおよりつぐに献上する。。。


という

話しがついていたのだが


戦に出遅れた事の責任として

与えなかった

それに伴い諏訪領の分割も高遠が望む分を与える事はしなかった


当然

武田に「戦功」を奪い取られた感のあった高遠頼継は

お手前の「気短」さも手伝って

終わったばかりの「戦」の尻に火をつけようと騒ぎ出したのだ



「思った通りです」


勘助は嬉々としていた

次の「戦」

その細工に高遠はまんまと食らいついた


家臣団の顔にも笑みがもれた

もともと

「高遠」は気に入らない存在だった


「仕上げに入りましょう」


下座で満足げに自分の「策」を奉じる勘助を尻目に

信繁は発言した


「ではこのたびの諏訪の「戦」は「寅王丸とらおうまる様」を御旗に「大祝」の正当な後継者として立って頂く「戦」をいたしましょう」


突然ではあったがいきなりの「強攻策」ともとれる発言に

一同に会した諸将は驚ろいた

ざわめきが走る


その中

一番驚いていたのは

当主晴信であった


呆然としてしまった意識を持ち直し

慌てた口調で

信繁に問いただした


「寅王丸はまだ乳飲み子ぞ?。。。それを「戦」に立てろと言うのか?」


信繁は冷たい

冷たい声でさも「何事でもなし」と言うように姿勢を正して兄から始め並ぶ諸将たちを見回して言った


「寅王丸さまでなければ諏訪衆を味方につけて戦う事ができませんぞ」


甘利あまりも口を揃えた

「お屋方様が「寅王丸」さまをしっかりと後見しているところを諏訪衆に示さねばなりません」


評定の間にいる者達も「寅王丸」を表に立てねばならぬ理由を解り始め

口々に言い出した

「負けられぬ戦です!!」



騒ぎ出す諸将を止めた板垣もそれに添う回答を断じた


「乳飲み子であれ諏訪の大祝を継ぐ者は亡き頼重様の遺児「寅王丸」さま以外いない事を知らしめねばなりませんぞ。。。これぞお屋方の仕事にあります!」


息巻く家臣団

勘助ははっきりと晴信に進言した

「これは「必然」とされる「戦」です」




みなが言わんとしている事は十分に晴信には伝わっていた

すぐにそれを実行する事は出来なかった

頭を抑え苦痛の言葉を漏らした



「今。。禰禰の手から「寅王丸」まで奪ってしまうのか。。。。」


思い出せば

諏訪に嫁いでいく前の禰禰は晴信によく懐いていた

恥ずかしがり屋な禰禰をよく庭にひっぱって行き遊んでやったものだった。。。

それが

愛する夫の死で飯も食べられないほど焦燥している

日に日に痩せていく姿。。。


唯一の救いのようにしっかりと手に抱かれている「寅王丸」を。。。。



どうして奪えるか。。。。。


「しばし待って」


当主の苦痛にその場は責め立てる者はおらず

みな静かに退出していった



評定場には上座で目を閉じ座る晴信と

下座に黙す信繁だけが残っていた


「寅王丸を。。。奪う事は出来ん。。。」


物音のしない静かな間

眉間に皺をよせ

思案の中にいた晴信が重い口を開いた


両目にはいっぱいの涙が浮かんでいる


「さすれば私がやりましょう」


涙の晴信に信繁は覚悟の眼差しで告げた

譲らぬ意見に晴信は答えた


「情け容赦のない治世に誰が従う。。。乳飲み子さえも「戦」に連れ出さねばならぬような所業。。。父上と何が違う。。。」


膝に手をおろし強く握りしめた

夕日の差す主殿しゅでんの間で晴信は涙を流した

小さな嗚咽を漏らし

悲しみにくれた

父を追放したことでどれだけ母の「心」を痛めさせた事だろう

諏訪を攻め

頼重の命を奪った事で母はまたも涙を流し

禰禰は口もきけないほどの衰弱の日々


「信繁。。。こんなにまで「涙」を流し「血」を流さねばならんのか?」


男泣きの晴信の顔

その姿に信繁は目を閉じた



「やらねばなりません。。。明日。。私が「寅王丸」を連れて参ります」

「信繁!母上や禰禰を苦しめたくはないのだ」





「覚悟しております」


信繁はの顔は少しだけだが微笑んでそれでも

悲しそうに

悲しみを鋭く光る目は寂しそうにも見え伏せながらも

もう一度

まるで自分自身を叱咤するように

己に言い聞かすように告げた


「覚悟は出来ております私は自分の「器」の役目を果たします」



「役目を。。。」


信繁は晴信を見た

その顔をまじまじと見た

自分とは違い「母」御北によく似た顔


「人知の器である兄上。。。人の生きる道は清いばかりではありません。。。濁流をも飲み込みその「涙」で人を従わせねばならぬ事も。。。知らねばならぬでしょうや」


弟は硬い決意の表情で続けた




「今が。。。その時です。。これを越えねば「父上」を越えてはいけません」





呆然と言葉を聞く兄に頭を下げた


「明日は私が禰禰のところに参ります。。。心をお休めください」


主殿を後にした


残された晴信は一人止まらぬ涙に頬を濡らし夜に染まった星空を仰いだ

Gackt君。。。


後書きからコンニチワ〜〜〜ヒボシです


いや〜〜「お祭り」(謙信公祭)もあったおかげで彼のたくさんの「謙信ビジュアル」を見ることができました!!

すげぇ!!の一言


男でもあんなに「美しく」なれるんですね。。。

あれが標準だったらヒボシは生きてゆく「星」失いますね。。。

まさに

奇形生物「ヒボシィ〜」になります

等身からして別世界の生き物ですわ!!!


さて

長かった?か「武田編」ががんばって後一回なんとか一部終了したいなぁ。。。

なんて思ってましたが

つづけないけど

やっぱり内容の過密さにちょっと飽きました

と同時にもっと努力しなきゃダメだ。。。と痛感

筋があっても。。。中身が追いつかない「絵」にしたら簡単?

ちがう

やっぱり「知識」がたらない

「知ること」に乏しい

努力が足らない。。。

そういうふうに思い返すと

もっと長いスパンをとって書き込みしてもよかったか?とも。。。とにかく反省の章でした


次回は巻末に武田編人物評を再修正版でのっけときます



さぁ。。。

次章はGackt君のように美しくはないけど「トラ」が再び登場です!!


これからもよろしくです



それではまた後書きでお会いしましょ〜〜〜

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