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その19 武田菱 (8)

大祝おおほうりの力は「何故」弱ったか?



「弱っている。。。という事は御北おきた様との話でわかりましたが。。。」


目の前に広げていた地図を無造作に手でよけながら

勘助は

会話の内容の事を考えてか

信繁に身体を近づけ小声で聞いた



「父上が。。。。そうなるように仕向けたのだ」


信繁は額を指でさすりながらこたえた

勘助は父上事信虎のぶとらの名に目を輝かせた



「ああっ。。良き殿にございましたなぁ信虎様。。」


思い出した

勘助が武田の家中に出入りするようになったのココ最近の事ではなかった


もともと

三年ほど前から老臣板垣とのつながりを持っていた

目こそ片目の状態であったが

手も足も不自由のなかった頃の勘助は

「負けぬ戦をします」

としいう

自信に満ちた態度で信虎に仕官するつもりだったのだが



信繁に阻まれたのだ


「信虎様。。早くに召し抱えて下されば大きな「戦」の夢も見られたでしょうに」


信虎の気性は勘助には好ましいものだった

すでに

「器」の力に飲まれた信虎の頭では

世の中を計りだす尺は「戦」でしかなかった

「戦」が我が世の春という勘助にとっては夢のような「当主」だった


それゆえに早く仕官したかったのだが


「あり得ない事だ。。父上とオマエが会っていたら武田はすでに滅びていたわ」


嬉々とした表情の片目に

信繁は釘を刺すように言った

事実前年「安芸武田」が滅びた戦に勘助は関わっていた


当時十三になったばかりの信繁は

一目で勘助が「危険な存在」である事を見抜いた


「あの時信繁様に「器」を見抜かれなければ手足を失う事なく「戦」を楽しめたでしょうに」


勘助はじつに残念という物言いと溜息




器同士の。。。。共鳴



己を見失った「神仏の器」の父と闇から光りを計る「陰陽の器」それに鬼神の知謀を兼ね備えた「羅刹の勘助」が一緒になっていたら。。。。


「人知」も「光」もない「仏」と「闇」だけの偏った治世など。。。


幼少の頃より

父の近くでそれを見て

そして

自分「器」をいち早く理解した信繁は


板垣に申し入れ

自分の指南役でもあった諸角虎定もろずみとらさだを介し

勘助を信虎に引き合わせる事を許さなかった


「まぁしかしこの年になっても召し上げて下さった事には感謝せねばなりませんなぁ。。。」

見えぬ側の片目を面布めんぷの上からさすりながら続けて聞いた


「信虎様はやはり諏訪を狙って「細工」しておりましか?」



信繁は腕を胸の前で組み

勘助の顔を見た




「「女」は産まれた時から腹に「育み」という「器」を持っている。。。」




顔を背け

遠くを見るようにして言った


「大祝の元に禰禰ねねを送ったのはそのためだ」


勘助は首を傾げたが

さすがに「器」の一人自分の中で導き出した答えを述べた


「禰禰様の腹(器)に大祝の力を受けようと?。。。。した?」


どうやって?

興味深い話だった勘助は手をさしのべ

つづけて話をしてくれとうながした




武田の「器」を産みし母


「大井夫人」。。。今の名を「御北様おきたさま


信虎が「和睦」の品に奪ったのはなにもその「美貌」に欲を出したからではなかった

早くから

自らの「器」に気がついていた信虎は

御北の中にある「育み」が非常に優れたものである事を見抜いていた


「神仏の器」を持つ自分の種を

「信心高き育みの器に持つ」御北に植えて


武田を強大にする「大器」を産まそうと考えたのだ


そうして産まれた子供達

御北の腹からでた息子たちは「器」を継いだ



それはすばらしい結果だった

考えていたとおりだった

神仏の力の種をそのままま受け継がせる事が出来る腹を持つ女から産まれるのは

その力をより宿した者になった


普通の婦女子ではありえなかったが

御北にはそれを成すだけの「心霊強く信心深さ」があったからだ


「だが父上の力は兄上が生み月が近づくにつれて酷く弱った。。」


勘助は頷いた

現当主である晴信が出産月,甲斐は今川に攻め込まれていた

子の出産が近づけば近づくほどに「神仏の器」は弱り


身重の御北は躑躅ヶつつじがさきの屋敷を脱出し

要害城に向かわねばならぬほどの窮地に陥った

しかし

晴信が生まれた時

それまでの劣勢を嘘のように跳ね返した


子のもつ「無垢なる力」が解放され

母を守るために発現した。。。。



信虎はその出来事から。。。。狂いだした。。とも言えた


「力」の動きをより知ることに没頭した

女の腹「器」というものに執着しそれを持つ女を次々と側室にしていった

まるで実験を重ねるかのように

それは非道な行為にもつながっていき

いつしか父は「孕みはらみめ」の腹を裂いたとまで噂されるようになっていった


狂気

「力」にのめり込む事で自分をの心を「闇」に落としてしまうほど



禰禰もまたそうだった彼女は母こそ御北ではなかったが

やはりそういう器をもった女との間に成した子供だった




「禰禰の腹に大祝の力を受け取り迫る出産月で「諏訪大明神の力」が弱まったところを攻めるつもりだった」



禰禰の輿入れが決まった時

まだ

晴信に実権はなく

誰にもその事は知られてもいなかった


「信繁様は気がついていらっしゃったのですな」



悲しそうな顔

信繁は狂ってゆく父を止められず

その計略の「器」として嫁いでゆく禰禰も止められなかった


ただ父を見る事によって自分が同じ「器」を持って産まれた事を恥じ

同じ道を辿るまいと心に決めた


そして

今は父の残してしまった「野心」をなんとしてでも摘み取らなければならない


「今,大祝の力を宿しているのは「寅王丸」様ですな」


勘助は人差し指を掲げ推理の紐解きを楽しむように笑い

腹をつかって頼重の持つ「力」を禰禰との間に産まれる子供に「移した」事を即座に理解した



「そうだ。。諏訪に「寅王丸」という「大器」が産まれてしまった以上。。「子」の持つ力は侮れない。。今ならまだ倒せる」


子の力を侮るな

晴信が生まれた瞬間に武田は今川からの劣勢をはね除けたように子のもつ無垢なる「力」によって武田が阻まれる時がくる



「そのためにオマエに出来るだけ「血」を流さない「戦」を献策させたのだ」


小難しい「戦」の策を用意せよと信繁に言われた事を思い出しながら勘助は

それでも

この「頭」を使った「戦」を楽しみながら

事のつじつまが合致したことに

より涼しい顔でいった



「余分な血を武田が流せば「寅王丸」は武田を敵とみなし母を守る力を現す。。。だから諏訪の同族「高遠」を利用するわけですか」


諏訪大明神を頭にもつ同族同士を争わせる形の末に

諏訪を制する



「しかし。。。血はどうしても流れます。。。それを見たくない。。見せたくないなどと思っての「策」ではないでしょうな?」


勘助はもう一つ気になっていた事を口にだした


「どういう意味だ」


「晴信様は「戦」を好まないようですが。。。」

「オマエほど好きではないだけだ。。。余分な事を考えるな」

信繁はそれだけ言うと外の方を向いた



なんとしても。。。

武田のためにも。。。



腕組みをしたまま拳を強く握りしめた

信繁の顔は苦痛の面持ちだった

もっと早く代替わりがあれば。。。

禰禰が子を宿す前に。。。


諏訪頼重と武田の「器」を持った禰禰の子は。。。

きっと強大な「敵」になってしまう。。。

窓を見て

思案にくれる信繁の背中に




「禰禰様はどうなりますか?」

と話しかけた

策を受け持った勘助は

「血」を流すなと注意は受けていたが禰禰についてはなんの注意も受けてはいなかった



信繁は立ち上がった

小窓から忙しく「戦」に備える人の姿を見ながら無表情に

凍りついたように。。。。弾みのない声でこぼした


「禰禰の役目は終わった。。。終わったのだ。。。」



禰禰を救う手だてなどない事は二人ともわかっていた


「強き武田を作るために。。この「戦」は避けては通れぬのだ。。。」


信繁は自分に言い聞かすように

心を抉るように


言った

戦国バサラ。。。


後書きからコンニチワ〜〜〜ヒボシです


暑いです

もうエアコンなしで生きられない歳になりました

そんなヒボシの家にも

里帰りでいろんな子供たちがきているのですが。。。


その持ち帰ってきたゲームの中に発見

「戦国バサラ」。。。

戦国のバサラ人?

と言えば「佐々木 道誉ささきどうよ」の事なのか?(それが思いうかぶのも問題ありか?)

思ったりしましたが。。。

そのゲームの内容のすざましさに。。。。泣きそうになりました


ものすごい飛んでます

ものすごい回転してます



ゲームの絵における

信長像って。。。ホントいつも「大魔王」ですね。。。

家康の家臣。。。本多さん。。。。ロボットだったんですか(爆)そりゃ勝てませんよ

武田信玄のとなりにふつうに真田信繁(幸村)がいるぅぅぅぅ

子供達の話の中で

真田さんと伊達さんは。。。仲良し

武田と伊達は同盟国だと。。。。ああっ武田家って滅亡しなかったんだぁ〜って!!


いいのかな。。。

あんな感じになっちゃって

日本史の授業とか受けたとき。。。

違いすぎて泣き出したりしないか心配です


そんな

火星の小説も史実から逸脱しているので大きな事はいえないのですが。。。

あそこまで豪快にはずしていると。。。

やるならあのぐらい清々しく「破壊」しろって事なのでしょうか(涙)



そんな衝撃をあじわった夏でした




ではまた後書きでおあいしましょ〜〜

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