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その19 武田菱 (4)

新章に入って急に登場人物が増えて

「混乱」してます。。。

というメッセージをいただきました

ので!!


後書きに人物評を書いておきますよかったら読んでください!!

お話の内容を楽しむために見て頂けたら幸いです!!


ヒボシ

灯籠の下ヤンソンの顔は今まで軽口で素性を語っていた時とは違った

目元は深く刻まれた皺と。。。。刀傷で「禍々しい」影を作っている

なのに片目の輝きは増していた


片口の端に少しだけ笑みを浮かべ



「敗北の先に。。。」

という

言葉を口に出した晴信をじっくりと見回した

その身を

その目を



大抵の相手なら

先の戯れ言じみた自己紹介で

怒りを露わにして

そこで

話は終わってしまっている


今まで「仕官」を望んだところではそうだった

だが

晴信は違った

話の「中身」をもっと見たい。。聞きたい。。という態度を口に出した



「忍耐強い。。。。それとも。。。わしが試した事に気がついた。。」


ヤンソンは小首をかしげ思った

短気な者には従えない

その気短さが「戦」にとって仇になる

十分にそれは味わってきたし兵法よりも「基本的」なものだ


己の感情を律す事のできない者に「人」は従わない

「戦」は命を賭ける場所

だから堂々と試す。。己の魂を預けるに足りるかを計る。。。



その試しに気がついたのか?

だとしても。。。


晴信は会話を打ち切らなかった

それどころか

笑って


「続けろ」と


「大器か?」


目元を引き締め

心を定め

静かに返答した


それは今までの口調とは違い

穏やかながらも

「本音」を隠さず語る姿に変わっていた




「戦の「価値」とはただ「勝つ」事でもただ「負ける」事でもございません」




咄嗟に板垣は顔をしかめた

およそ

常識的な回答ではなかった


「戦」に価値と?

勝ち負けを「ただ」だと?

その言い分だと

「戦」に勝ち負けはない


裏をかえせば

長く続く「戦乱」が望みであり

終わってしまう戦いを「無価値」と言っている事になる

それはまさに

「戦」にしか「生きていない」人となる

そこにしか

自分を「見いだせなかった」という事だ


そんな者に

国民くにたみの進退を決する「戦」を任せるられるのか?


ヤンソンは「戦いのみに臣従する者だ」

紹介者として「軍事」に携わりたいという触れはきいていたが

それとは異なる

「ただのいくさ人」で「羅刹」だ

板垣の鋭い目は

すぐにそれを理解した





「敗北の向こう側にあったのは死なぬ事でした」


板垣と甘利が表情を曇らせた事に素早く気がついたのか

口を挟もうとしたのを阻止するように老骨は話を続けた

もう

黙ってはいけないと感じたのであろう

自分の主張に最後まで「耐えうる」人物だった晴信に言葉を続けた



「死んでは「次」の戦が出来なくなって終いますから。。死なず怯まず戦わせる。。。そういう心を国民くにたみに政として施し「仰がれる」主君を捜しておりました」



晴信の顔は真剣だ

板垣と同じく

「羅刹」の男は

ヤンソンの中身はわかったうえで聞く


「おぬしにとって「戦」とは?」」


ヤンソンの心は躍っていた

「価値」ある主君に


「わしにとっての「戦」は生涯指し続ける「碁」のようなもの。。版図を広げながらも終わることのない「夢」にございます」


板垣の危惧は確信に至った

まさに「いくさ人」

「戦」に「夢」を見る男

主君の言葉を遮り問うた



「死なぬ戦を続ける価値とはなんだ?」



板垣の目は甲斐の全てを見ている

同じく甘利も

死なぬ戦いを続ける事は。。。。それはいかな意味か?

両職よりも歳をへたヤンソンの目は反らされることなく告げた


「強さを国民に身につけるための試練でしょう。。それにより国は必ず栄えます」


その答えをよそに

問いつめるように甘利も問うた


「では。。それを政とし施し仰がれる者には何が大切なのだ?」



「はい。。。「戦」とは遮二無二戦い,やたら多くの兵を死なせてもぎ取った勝ちに「勝利」はなく。。負ける時もただ逃げまどう「敗北」にもあらず。。。いかに殺さず勝つか。。。いかに死なさず負けるか。。これが大切な所であります」




「殺さずに勝つ。。。死なさずに負ける。。」


甘利は唸った

「禅問答」に近い答えだが。。

確かに「真実」も見えるような気もする



「それこそが「戦」を続ける中でも人の心を放さぬ極意です」



晴信は深く頷いた

顔に笑みはなく真剣な眼差しだ


「確かに。。。敗北の果てに得た光明。。。。なかなか良きものであったな」


老骨ヤンソンは肩の力を抜いた

そのまま深々と頭を床に擦りつけるように伏した




「どうぞわしを使ってくださいませ。。」


敗北という己の「価値」を最後まで聞いたこの「男」にならば

従ってみたい。。。そういう気持ちに至った

今まで相手の肩を空かすような問答で「戦って」きたヤンソンの願いであった


返事を待った

薄暗い討論の下

両職と「器」二人。。。。



甘利は沈黙を守っている

板垣は「価値」を見極めようとしていた

「戦」を真ん中にしか価値を見いだせない。。。そんな者を登用するのは

危険な賭けにも感じた

それに「極論」的なまつりごとに繋がりかねない。。。


それでも

それを受ける「受け皿」

晴信の「器」ならば。。。。。あるいは使いこなせるか?



「使いましょう。。。兄上」



四人の中

激した問答に加わらず沈黙を続け様子を見ていた「信繁のぶしげ」が横に座す晴信に言った



甘利は怒鳴らず

ただ口を尖らせ反発した


「負け戦しかしらない男を使う理由はなんですか?」



晴信の顔は晴れしく輝いて言った


「負けたことに愚痴がなかった。。言ったとおりだ「敗北の先」を見ているのだから死なさず戦う統べもあるのだろう。。それはわしの望む「戦」に近い。ならば後は実践だけだその機会をわしがあたえたいのだ」



「ヤンソン。。。武田に仕えよ甲斐のためにその命を貰おう」


額を板間に擦りつけたままヤンソンはやはり歯切れのよい声で答えた


「ありがたき幸せ。。この老骨血肉の全てを甲斐に捧げましょう」



晴信は深く呼吸をした

今まで問答の間息をするのも惜しんでいたかのように深く


「明日オマエを家臣団の前で召し抱える!よいな!」



自分に得心したのか晴信の声は弾んでいた



「ひとつよろしいですか」


開きかかった場に甘利が手をあげた

相変わらず険しい表情で


「ヤンソン。。。何某。。。カテキ?。。。と言う名はなんとかならんのですか」

「わしはかまわんぞ」

晴信は陽気に答えたが甘利は


「奇っ怪な名前では家臣が驚くばかりで。。。話が前にすすみませんぞ」


ヤンソンは顔をあげ


「わしは召し抱えていただく身。。。ご家老衆,家臣衆皆様の呼びやすい名で呼んで頂ければ何でもかまいませんが。。」

無精髭をさすった

甘利は片手をあげたまま気がついたように


「おぬしは元々日の本の名があろう」


と指さして聞いた



「では山本勘助やまもとかんすけで。。。」

とヤンソンは答え

ふくれ面の甘利は晴信によろしいか?と訪ねた



「よい。。では山本勘助。。。。この甲斐のために励め」


そう言うと意気揚々と寝所に引き上げていった

主君の決断にいまいちな反応ではあったが夜も更けた事もあり

板垣と甘利も各々の屋敷に戻っていった


ただ二人

信繁は勘助と目を合わせ「北」の屋形に向かった

武田編。。。。


後書きからコンニチワ〜〜ヒボシです


新章に入ってから色々と人が。。。

出まくってます

少しでもわかりやすい方がよいと思ったので

ココに人物評を書いておきます


これからも楽しんで読んで頂けたら幸いです!!

ネタバレはありませんが必要ない方は読まないでくださいね!!





武田晴信たけだはるのぶ

武田家第19代家督を相続した甲斐国守護

平たくわかりやすい名前は皆様ご存じの「武田信玄たけだしんげん

現在21才ぐらいで「信玄」って名前になったのは38才の時

で。。。この頃「トラ」は何してたっていうと

まだ林泉寺で修行つんでました(藁)歳は10です

だから

ちょっと時間まきもどってるって事です悪しからずぅ〜〜

「人知の器」で人間大好き

男も女も抱く(藁)好き者


武田信繁

晴信の弟後の「武田典厩信繁たけだてんきゅうのぶしげ」現在15才ぐらい。。。(爆)

なんか大人びてますね。。。

「神仏の器」を称する彼は「トラ」と相対する者。。。のハズ(藁)


板垣信方いたがきのぶかた

晴信の家臣で重臣

武田家では最高職「職」の一人で

晴信の教育係でもあった

NHK「風林火山」では千葉真一が迫力の演技で!!

かっこよかったが。。。ココではどうなる?


甘利虎秦あまりとらやす

「猛牛」とあだなされる

武田家の家臣で重臣

板垣と同じく武田家最高職「職」

ヤンソンの事がいまいちキライ(藁)

「風林火山」では竜雷太が演じかなり渋い男っぷりだが。。ココではどうなる?(爆)


ヤンソン.カーティケイヤ事「山本勘助やまもとかんすけ

武田軍きっての「軍師」。。。。と甲陽軍鑑こうようぐんかんには書かれている。。らしいけど

近年まで実在した人物かさえ不明だった(藁)

ココでは海外留学までして(爆笑)なかなかの知識をもっているようだが。。。

名前に「カーティケイヤ」。。。とあったりでまだ秘密も多そうです

「羅刹の器」とは?


おまけ

武田信虎たけだのぶとら武田家先代当主

晴信,信繁のおとーさん

「神仏の器」だったらしいけど力に飲まれて人で無しになってしまった

そのせいで甲斐から追放された

同上の「風林火山」では仲代達也が演じものすごいかっこよかった,ちなみに仲代様は黒澤明の「影武者」では影武者だけど「武田信玄」を演じているこれもかっこいい!!


という感じの武田の人たちです

まだ増えていくでしょうが

その時はまたあらたな人物評でご紹介します!!


では今後もよろしくお願いしま〜〜す



また後書きでお会いしましょう〜〜〜

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