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その17 花の嵐 (4)

栃尾城の番所を抜けたすぐの屋敷に

この

気まずい「使者」二つの集団は一緒に座していた


用件は各々届け済み

まだ暖のとれていない部屋に「沈黙」が続いていた

門番は使者に非礼がないようにと座敷に火桶を何個か多めに運びこんでいた




緊迫


段蔵の口からでた相手の名前はジンでも覚えのある「名」だった


中条藤資なかじょうふじすけ


阿賀野川あがのがわから向こうに住む「豪族集団」揚北衆あがきたしゅうの中でも名の通った男だ

最初の遭遇の時

ジンはその緊張に気がつく事ができなかった事を恥ていた

そのせいか

中条の姿をこの座敷に入ってから目で追うようにじっくりと見ていた




年は守護代晴景より少し上か?四十ぐらい

為景ためかげの頃よりの「いくさ人」

男盛りの顔は細面で目尻が少し下がった感じ

なのに身体のつくりは

肩幅はジンと変わらないぐらい良い「肉」の付き方をしている

「衰えて」はいない



「そう睨むなって。。」


ジンの視線を遮るように

段蔵は目の前に座って言った

それは中条からはよく見える位置だった


「いや。。。」


ジンは。。うつむき顔をしかめた

栃尾に着いて色々と懐かしむという気持ちさえ持てない状態にあった






「誰だあれは?」


同じ部屋に通されたのは理由があった

事情は違っても「争い」にきたわけではないのだから

「暖」を取りやすくするために集められた事に文句をいう筋合いもない


中条は

自分の後ろに控える「現八」に振り返ることなくまるで「睦言」のように聞いた


「わかりません」


現八はいつも通り「簡潔」な返答だが低い声で静かに答えた



。。。

誰だ。。。

門前で自分の名前を「言い当てた?」男を中条は見たことがなかった

春日山に参勤しなくなってすでに十年以上たつ

なのに

つい今し方

春日山からきた「若い男」が何故自分の顔を知っていた?


越後の深い雪のように情報を閉ざしている「揚北」

それを「実は」春日山は「ご存じ」なのか?


嫌な予感がする

顔と名前を一致させる事のできる男が「栃尾」にやってきた。。。


危険な感じだ

その理由を知りたい



頭を掻いた






知ればいいか。。。。


中条は座した位置から向き直り火桶をもって段蔵に近づいていった


わからぬ事を一人で思いめぐらすのは「愚の骨頂」だ

知りたくば

目の前の相手と堂々と話せばいい

「幸い」にして向こう(段蔵)は自分の事を知っているようなのだから


「寒いですな」

段蔵と横に並ぶジンの前にどっりと座った


「春日山も雪で難渋していますか?」


言葉はあっさりと

まるで世間話のように柔らかく

自分が鳥坂とっさかの主であるから

府内の事は話さないか?さぐりの一言をぶつけた


「難渋しとります。。。毎日雪かきですわ」


段蔵はジンに話させないよう膝を手で押さえ答えた

強く中条に気づかせないように


「よろしければ名前をお聞かせ願いたい。。。」


自分の名を知っていた男の名前を知りたい

知った者なのか?

どこの出なのか?

ぶつけの質問を軽く流すように返答したこの男はただ「若い」だけではなさそうだ

見るからに

余裕のある態度


「失礼しました。。自分は「芝段蔵しばだんぞう」と申します」


火桶を避け

身体を伏せて挨拶をした



。。。。聞いたことがない名だ。。。


中条が一瞬言葉を止めた合間で段蔵は

おおよそ

聞きたかった言葉。。知りたい事。。と言わんばかりに続けた



直江実綱なおえさねつな様にお仕えしております」




顔を斜めに伏せた表情に出てしまう

片口を卑屈に笑わせた。。。もちろん段蔵には見せないように

「直江」だと。。。。

長尾家重臣直江実綱。。。。ずいぶんと大物が来たな



そして

隠さずそれを言い切ったな。。。

「若造」なかなかの手練れだ

ココで言葉を濁らせたら「たたみ込まれる」


段蔵が次の言葉を出す前に中条はそれでもまだ長年培った強み「大人」の余裕を持って

動揺を身体に見せぬように言った

相手の言動に切り込め!!

押され負けてはダメだ


聞きたい事はこちらにだってある


「重臣一同の使者の方はこの雪の中何用でいらっしゃいましたか?」


遠慮なく「栃尾」に大物が送ってきた「使者」の用向きを聞いた

先に言わねば

今度はこの男

中条は何をしに来た?と聞く。。。絶対にそういう目だ



「めでた事です!!こちらにいる若武者が直江様のご息女との婚礼とあいなりまして!!」


段蔵はジンの肩を叩いて紹介した

急にほころぶ

春日山からの使者の面々

となりに座っていた若武者は焦った様子だった

こんなところで大きく自分の「婚儀」を暴露されてしまった感じで

段蔵に向き直り

「おおっおい!」

叩いた手を掴み


「大きな声で言うなよ!」

怒鳴り声まであげて


段蔵はにんまりしていた

ジンの焦り方は「演技」で

出来るものじゃなかったからだ



逆に

中条は「やられた」と思った

なかなかにかしこい「若造」だ

実際は「何か」しにきたのだろう。。。。そういう勘ぐりは消せないが

これ以上「段蔵」という男から情報を引き出す事は無理のようだ



冷静に。。。。己の

頭を叩いた


「大変にめでたき事です。。果報者ですな」


それだけは言った


「中条さまはどのようなご用ですか?」


クククク

笑う

間髪をいれない鋭さ

抜け目もない。。。。駆け引き上手だな

段蔵はしれっと核心に迫った


だが

もうわかっているという顔だった

揚北に名を響かす男が自ら栃尾に来る理由など多くはない

「臣従」を示しにきたか。。。。

「野心」を見せにきたか。。。。




腹の立つ問答だったに違いないが

この男は。。。。なかなか。。。楽しいぞ



若造。。。。ならば答えよう






「長尾の若姫様を「口説きに」来ました」


優男

中条は自分したかったことを素直に返事にして返した

四十の声を聞く男の「本心」

段蔵は笑った

「私もです。。。」





表屋敷に通され進む途中

中条の顔には笑みが止まらなかった

長尾にあれほど「達者」な者がいたとは。。。。あなどったな。。。


いやはや。。。。



「参ったな。。。。」



後はどちらが「口説き落とせるか」かだが


「長尾影トラ。。。。本気で口説きたくなった。。」


年甲斐もなく「男」が燃えてしまった

ああいう「男」を

惜しげもなく栃尾に使わした「直江」を脅威に思ったと同時に

直江が心血を注ぐこの「女城主」に強く惹かれた


会わねば。。。

やはり


自分でココに来たのは正解だった





「晴景には従えない。。。が「影トラ」をもっと知りたくなった」


状況を楽しみ心を躍らせる「主」の後ろで

現八は沈黙を守った



「主。。秀忠を討ち取った女城主。。。」





その後ろを浮かぬ表情で歩くジンは段蔵に聞いた

「口説くって。。。何だよ」

段蔵は笑って方眉をあげて答えた



「そのまんまだ。。。「越後」のみなさまは今「影トラ様」を口説くために躍起になってるのさ」


無粋な言葉。。。

ジンは理解できないという顔だった



ただ

段蔵は楽しんでいた

歴史への招待〜〜〜


後書きからこんばんわ〜〜ヒボシです。。。。。。(暗)



毎度ありがたい事に色々とメッセージに「歴史的」助言やらを頂いております

ヒボシは。。。

歴史は好きなのですが

それはきっと「歴史好き」を称する人たちからみたら。。。「幼い」物なのかもしれません

最近お叱りが多くって凹んでます(涙)



「歴史物っぽくもっと硬い文章で書いて欲しい」


。。。。すいません。。。無理っぽいです

頭に文字が浮かばなくなってしまいます。。。


「謙信が女ならばそれなりの時代考証はあるのでしょうね」


という質問には。。。。びびりました

わかりませんとしか。。。陳謝ですね。。。。



ヒボシは個人的には歴史は好き

でも

本当のところまで知ってしまうのは「残酷」だと思っています

怖いのです

歴史はどちらかと言えば「戦争」の日々という世界の出来事

そんな殺伐とした世界を史書で見続けると

泣きそうになります


なんて。。。辛い事だったのだろうと。。。


一見華やかな王侯貴族がつるし上げで殺されていく「革命」とか

その日々を一生懸命に生きる人たちに暴力を浴びせる「権力」とか。。。

大嫌いなんです


でも

歴史には

奥深い「教訓」もたくさん

文化の流れ

人の交流などもあって

やっぱり

好きなのです


そういう中で

何故か選んだ「上杉謙信女性説」

女として生きるのは悲惨である事が多かった。。と思われる時代に「もしかして」

という「仮想史」

本当の事であって欲しいとか思って書いているわけではないのですが

そんな

峻烈な生き方が「男女問わず」あったという事で。。。。




このへんで

ゆるしてやってください(爆)

情報不足をおぎなってくださるメッセージ大歓迎!!!!


ココではこういう「謙信様」ですが

これからもよろしくおねがいします!!!

後。。。。


「ラブラブ」は。。。。まだ。。。出てきませんが(藁)

まぁ

そのうち

その気になったら。。。。かな(藁)




読んでくださるみなさまに感謝!!!!




それではまた後書きでお会いしましょ〜〜〜〜

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