表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/190

その17 花の嵐 (2)

嫉妬



これが一番困難な感情なのだ

嫉妬心はその相手が近くにいればいるほど「許し難い」ものになるのかもしれない。。。




春日山の「守り役」

直江実綱なおえさねつな」は苦悩の中にいた


凶族であった「黒田秀忠くろだひでただ」は

さして

何をする事もなく「討ち取られ」

当面「長尾守護代家」に刃向かう者はいなくなった


というか

黒滝城仕置きの一件は「越後」国内のあらゆる衆,豪族にとって「衝撃的」な出来事だった

事もなげに

城主以下

黒滝のすべての「人」は殺された



今までになく「苛烈」な裁きによって平穏は保たれるハズだった





だから

本来なら

もっと良い「春」を迎えられそうなものなのに。。。


事態は「悪い」方向にむかい始めているのが現状だった



まだ

底冷えの続く山の上の城は

連日騒がしい


長尾政景ながおまさかげ」の入城以来

あからさまな「不穏」な空気が匂いがするほどに漂っている



晴景は「影トラ」を許す事ができなかったのだ

「祝賀の宴」以来

その態度はありありと出始めていた

それまでは暗く沈みがちだったにしろ,穏やかで酒と唄を愛する日々を送っていた晴景の表情に

深い「険」が現れ

かつて「戦場」を駆けめぐっていた頃のような表情になった



これは嫉妬だ

影トラの名前が大きくなった事

周りがそれを口に登らせる事

それを許さなかった


何もかもに「疑い」をもち

それが山全体を覆うようになっていた







「段蔵。。。いるか?」


直江は

筆を下ろし

襖の向こうに控える者に声を掛けた


「ここに」


今まで気配さえなかった向かいの部屋から

静かな「気」と声が帰ってきた


「一仕事してもらはねばならん。。。」

「なんなりと」


決断せねば成らぬ時が迫っていた

直江は

疑いをかけられていた


影トラを栃尾に送った事

宴でかばった事


不穏な空気がまとう闇で「物事」の輪郭を見失いそうになり始めていた

「情報」を完全に遮断されてしまうのは時間の問題だ

これ以上

おもてだって「忍」を使うことは自分自身を守る事にはならない。。。。



なんとか

栃尾との「つなぎ」を着けておかねば




時を同じくして

栃尾周辺も活発に動く「影」が

揚北衆あがきたしゅうの動きも気になる


外に

自分の間者かんじゃを送る必要が迫っていた






芝段蔵しばだんぞう,加当陣江かとうじんえ参りました」

「うむ」


庭外に少ないながらも忙しく降る雪

板間に参じた二人の若者の顔は上気していた

「雪かきか?」


この時期

使用人だけでは雪をのぞく作業は進まなかったりもする

それほど越後の雪は「遠慮」がない

おそらく陣江は朝からその仕事に従事していたのだろう


急に呼びつけたので

着替えたばかりの着物に汗がしみている


屋敷の部屋には

何人かの男と小姓がいた

「有らぬ疑い」が,かけられている出来るだけ「密談」にならないようにした「配慮」だ



「栃尾に使いとして向かってもらいたい」


直江は議題を隠すことなくすぐに告げた

かくさない

誰が聞き耳をたてているかわからない

あえて

表向きでも用件を明確に告げる


そうした直江の思案の外にいる陣江の顔は急に明るくなった


「栃尾にですか!」


いい反応を示す

直江にとってもこの反応はありがたかった

ココで顔をしかめるのが通常の反応だ

栃尾にいる影トラの事が「不穏」の元になっているのだから

そこに行くとは「危険」かもしれない



一角の武士ならば

まずそちらに「反応」を示すはずだが陣江にとってそこは問題ではないようだ


ためらう事なく議題に入っていけそうだ



「陣江。。。わしに使えてもう二年になるな」


二年

目の前に座った

陣江は驚くほど良く「奉公」に徹した

僧侶という「俗世」を断ち切った世界から「武士もののふ」の側にきた彼は

働く事に惜しみのない「良き男」だった


今や

直江にとっても「表向き」の仕事では重責を担うほどになっていた


「はい。。」


かみしめるような返事

そうだろう

もともと「影トラ様」に仕えたかったのだから栃尾に行くのは喜びだろう


だが。。。。



。。。。



「わしはオマエを本当の「息子」のように思っている。。。生憎息子をもうけたことないがな。。」


姿勢を楽にするよう

手で促しながら笑って言った

陣江は照れ笑いをした


「わしには「娘」しかおらんのでな。。栃尾にわしの娘がいる事は知っているか?」

「存じております。。ココでもお会いしました」


宴のおり

陣江は早馬で一度は与板にもどったが

影トラとすれ違いで春日山に戻ってきた


その時

栃尾に戻る「おせん」たちの荷物を運ぶのを手伝っていた



「どうだ。。。」

「はい。。?」


よくわからない質問

という顔をする陣江に直江は続けた


「わしが言うのも何だが。。。「せん」は良くできた子だと思う器量もそれほど悪くもない。。。。オマエの嫁にどうかと思っている」


陣江の目が点になっているのがわかる

となりの段蔵が肩を叩いて言った


「なんと果報者!!」

言葉につまっている陣江は目を見張った

「嫁に」という言葉が自分に向けられている事に驚いている

「あの。。。」


驚愕の言葉を遮るように

周りにいた男達からも声がかかる

「おせんさまにふさわしい男になったものよなぁ」

「陣江。。。まこと果報者!!」



場は和み

みなから祝福を受けている事がまるで

夢心地になっているのか呆けた顔の陣江を見ながら直江はつづけた



「もちろん陣江。。オマエにはまだそれに見合う「武功」がないだからまずは「許嫁」という形から入ってはどうだろう。。その方が家臣も納得する」


直江は

心では。。。。



しかし

まだ影トラ様を失えない。。。

失えないほどに「越後」の闇が深くなり始めてしまっている。。。。




節目になりかかった顔を起こし

まだ事を把握しきれていない陣江を正面から見据えて言った


「オマエを私の息子にしたい」





主君の娘を

嫁に頂けるのは「誉れ」だろう



言葉をなくしている

陣江をよそに「栃尾」での用件を手短に話し

少しの雑談の後「支度」に入れとつげ退出した






ジンは呆然としていた

戻った自分の部屋で実感のない「焦り」を感じていた

「嫁」。。。。。。?

元僧侶の身から

武士になった者であるジンにとって格別の計らいともいえる


段蔵は帰りの道すがら言っていた

「許嫁って言っても「嫁」に貰ったも同然だ!!よいのぉ!!立身出世の道開けたな果報者!!」




「果報者」。。。。?

考えた事もなかった出来事だった

混乱してしまっている




「トラ。。。」


できるだけ人前でこぼさなかった「恋慕」の相手の名前をこぼした

言えない相手

言ってはいけない「恋」


栃尾に行く

その時。。。。どんな顔をしたらいい?





やっと「会える」

嬉しいハズの再会なのに。。。。ジンは膝を抱えた「支度」は進まなかった

見ました!!!


後書きからコンニチワ〜〜〜ヒボシです


Gackt君の「景虎」さま見ました

youtubeで(爆)

最近は部分で見ることもネットで出来るのでホントに助かります

キレイでしたね〜〜

びっくり

あんな長身美顔だったら

あっという間に晴景様は追い落とされますね(爆)。。。ん?

弟が美しいのなら兄様も美しいのでは?

NHKでは誰が晴景さまをやっているのかな?


彼の新曲のPVも見ました

17年前榎木孝明さん演じる「上杉謙信」が映画「天と地と」で着用した具足

南蛮胴の白銀兜でしたね!!

あれ。。。販売もしてますから欲しい人はヒボシにも買って下さい(爆)


ああっ

これからも色々なシーンでGackt謙信見られますね

ヒボシもせっせっとネットでみましょう




それではまた後書きでお会いしましょ〜〜

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>歴史部門>「カイビョウヲトラ」に投票 ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。 人気サイトランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ