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その15 穢血 (3)

生理的描写が含まれます

苦手な方はご注意ください

「なりません」


腹を召すために振りかぶった私の手を一人の侍女が止めた


いつ

いつこの部屋に入ったのか?

そんな気配さえ感じられないほど「没頭」していた自分にも驚いた



ハッとした私の横から

脇差しを止めた侍女は見たことのない女だった

ふくよかで他の侍女より少し大柄な身体

歳は母上と同じぐらいか?

吊り上がった目,女にしては気の強そうな顔を作っている


その目が真顔で私を見て

続けた




「腹を斬ってはいけません!」


腹を。。。

の言葉で突然の侵入者に呆然としていた自分が我に返った

こんな中途半端なカッコで死ねない


「はなせ!!」


脇差しに力を入れ

一気に腹に立てようとした刃をなんと侍女その手で掴んだ

「なりません!!」




刃筋につたう「血」

死に際に使う脇差しを先に侍女の血で汚されてしまった

という驚きもあったが

諸手で臆することなく刃渡りを掴んだ

力の強さにもおどろいた



横にいた侍女は私の前に座り

そのまま


「手をお離しください」

ゆっくりとした口調だが

がんとした態度で言った


しかしなんと強い力

刃を突き立てた私の手を止めてしまうなんて

でもその「力持ち」を具現したかのような体格

私とあまり変わらない身の丈の「女」は初めて見た


「武士情けだ。。。たのむ」


焦った私は

その顔に哀願するように言ったが侍女は首を横に振った


「そんな事をする必要がありません!!」


「たのむ!!このままでは」

「このままでは?」

私のとっさの質疑に問いつめるように身体ごと近づき両手で脇差しを押さえながら

聞き返した


ダメだ!!!



こんなところで「いらぬ同情」で生き延びるなど

あってはならない

ばちはくだった

罰はくだって

私は「死」ななければならない!!絶対に!!!


押しとどめようとした手を無我夢中で離そうと

刃を自分に引き戻そうと暴れた



最後を侍女に止められ

おめおめと生き延びてしまうなど「恥」だ

そんな最後なら

まだ「黒田秀忠」の最後の方が「美しい」


怒鳴り散らした


「鬼がこの腹を引き裂く前に「己」でケリをつける!!邪魔をするな!!」


距離をとろうと

中腰に立ち上がった私から

なおも脇差しを強い力で抑えながら侍女は言った


「鬼など何処におりますか?!」



そんなもの。。。

そんな者を「股ぐら」から見せられるか!!

やけになって彼女の肩を殴った


「はなせ!!!オマエまで呪われてしまうぞ!!」


片手に脇差しを握りしめたまま

何度も侍女の身体を叩いたがびくともしない

勢い余って

顔を殴打してしまったがその目は毅然とした態度でひるまない


「何を恐れておいでですか?」

かえって

大きな声で諭された


口から一筋の血を流しながらも跪いたまま私の顔を睨みもう一度大きな声で言った


「何を恐れているのですか?おトラさま?」



声に揺れた

軽い目眩がした

私はそのまま板間に転げるように座り込んだ


息が上がって

へたり込んだ私に彼女は先ほどの「激」とはうって変わった

小さな声で言った


「手をお離しください。。。痛うございます。。」


その手はまだ諸手の素の状態で脇差しの刃を

私に当たらぬように両手で覆っていたが

当然刃渡りを握ってしまっているから手の各所が切れ「血」が出ていた

私の手を

見ながら

そして

顔を見ながら辛そうに顔をしかめている


「オマエが離せ。。。。」


私は武士ともあろう身なのに

はんべその状態で駄々をこねた



「お願いです。。手をお離しください。。」


ハァ。。。

ハァ。。



彼女の手が私の指を一本ずつ脇差しから剥がしていく

もはや抵抗するだけの気力も

力ものこってなく

後ろに転がってしまいそうになりながら

よろけながら



情けないやら

苦しいやら

とまっていた涙が溢れて

泣いてしまった




「鬼が。。。。。」

頭を下げた

どうにもならない気持ちと「まだ」生きているという「安堵感」と

急速に抜けていく「力」にフラフラになったままこぼした


「腹を食い破られる。。。股から血が出ているんだ。。。」



そこまで言ってまたも

気が狂いそうになってしまって

大声をだした


「殺生の報いだ!!!鬼が私を殺しに来た!!もうダメなんだ!!!」



頭を何度も振った

「殺してくれ。。。。殺してくれ。。。」




末代に恥を残すぐらいなら

今なら

打ち首でもかまわない


板間に転がって

子供のようにじたばたと手足を動かし頼んだ




あくまで冷静に

受け取った脇差しを桶の水で洗い納めた侍女は私に近寄って

肩を抱いて身体を起こした

そして努めてゆっくりと


「それは「鬼」でも「呪い」でもありません。。。。恐れるようなものではないのです」


手ぬぐいを巻いて止血した手で私の頬をなで

「女の身体はそういう事があるのです」

「女?」

腕を優しくまわし身体を支えながら



涙でいっぱいになった私の顔を拭い

彼女はやさしく

やさしく諭すように続けた



「一人前の「女」は月に一度「血」を流すのです。。。女陰ほとから」

わけがわからない

でも

呪いじゃなく

鬼でもない




なのに

血を流す?


「血が。。。。」

「怖くありません。。」

首を振った

「「大人」の女になったのです。。。おトラ様」



「大人?。。。私は元服している。。。」

支えられなければ自分を立たせておけないほど朦朧とした状態で聞き直した

侍女は笑った


「はい。。。身体もやっと「元服」されました」





そこまで聞いて意識は途切れ目を閉じた


私はまだ

自分の「女」というものを一つもわかっていなかった

Gackt君。。。。



後書きからコンニチワ〜〜〜ヒボシです


この作品を書き始めた頃から

メッセージしかり

知人しかり


とにかく色んな方面の方から

「今年のNHK意識したでしょ」と言われます

意識はしてなかったのですが

「風林火山」のおかげで

Gackt君扮する「上杉謙信」の名はいろんな人が多く知ることになって

そういうものに「あやかった」でしょ

とよく言われるのです


実はヒボシの家にはテレビがないので。。。。

その

美しい「謙信」様を見ることができないのですが(残念!!)



あやかってはいません(爆)


Gackt君の謙信は美しいだろうね〜〜

でも

できるだげ

HNKの物として史実に反ったストイックな部分を真摯に演じて欲しい(余計なお世話ですね。。)


そこから

考えるとうちの「トラ」はあんなに美しくないですね

キット(藁)

だって自分の「女」を理解してないような人ですからねぇ(藁)

ところで

「トラ」のモデルは誰ですか。。。

と言う質問もあったりですが。。。。Gackt君じゃない事は確かです(爆笑)



とにかく

ひさしく盛り上がっている「大河ドラマ」も見てみたいヒボシでした!!!




それではまた後書きでお会いしましょ〜〜

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