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その14 忠臣 (3)

進め!!

前に進め


未だ敵は見えず

未だ「戦」は始まっておらず



ならば

進め!!

まだ槍を会わせておらぬのなら

「戦」はしていない



血しぶき浴びることなく

休む事ない


刀,刃

欠けるまで

休む事ない



ただひたすら

心を叩き

前へ

前へ


ただひたすら


夜を徹して黒滝城くろたきじょうに走る軍団





栃尾衆と合流したのは春日山を出て十日目の事だった

大小荷駄の搬送は雪に阻まれ

難航を極めた


だが



さらなる「北」にある黒滝城とて同じ事

かけた時間は万全のためにあると信じる


「なかなかゆっくり出来ぬものですな!!」


実乃は私の顔を見ると言った


まったくだ

心の安まるヒマもない

それは

春日山だって一緒

新しい年を迎えたばかりなのに「謀反」など。。。



「不忠義」にも程がある



昨日

私は陣幕に入って

今年初めて「具足」を身に着けた


私の「具足」

それは最初に母上が送って下さった物を模して新たに去年作った

身体が大きくなったので合わせたのだ

黒塗りを基調とした物で少々派手な色を重ねた


兜の額に「飯綱権現いいづなごんげん」を頂いた

「黒い意識」に飲み込まれるような事がないよう

この地のために働けるように。。。

御仏の加護得るために。。。


数珠を左手に巻き

静かに祈った



明日

早朝,黒滝城に到着する


ココまでくる間に入った情報から「謀反」は疑惑ではなく「本物」である事は確認されていた



なぜだ





「不義」


春日山に旗を翻す事も

もちろん許す事はできないが。。。。



「信心深き影トラ様に習い御仏に仕える」

称した事が嘘だった事


御仏までも謀った事は私にとってはもっとも許せない事だった


明日

私にどんな言い訳をする?

春日山にどんな申し開きをかる?


考える事で怒りに飲まれてしまいそうだ。。。


冷静に。。。


立ち上がり諸将の待つ陣に向かった

軍団のために間借りした寺社の中の一室にみんな集まっていた


栃尾から本庄実乃ほんじょうじつの,小嶋弥太郎こじまやたろー

柿崎から柿崎和泉かきざきいずみ

栖吉から金津新兵衛かなつしんべえ


驚いたのは馬廻りに秋山史郎あきやましろうが来ていた事



総勢二千五百の軍団

黒滝には城兵,城人を含む千五百の人足は確認されているがそれ以外の「浪人」は不明


横を走る史郎に声をかけた

「大丈夫なのか?」


去年,黒滝攻めで口上を述べたにもかかわらず火矢をかけられ大けがをしたばかりだ

「去年の事です!!」

まだ首すじに火傷の後が残っているが意気揚々な返答

私があの時,持たせた数珠を首にかけていた


心意気を組んで「うん」と答える

後は戦うだけだ

後,数刻で「戦」だ!!


不安はまだあったが大半は昨日のバカ騒ぎで無くなっていた







昨日の騒ぎ。。。。


私は夜更けになって寺社に到着した時から

明日の事を頭の中でいっぱい考えていた


一度遣った作戦で城を開けるのは難しい

仕寄りと焙烙

次の

次の一手。。。



「ふう。。。」


寝付けない

身体がだるい

というか

重い感じだ


いろいろな想いが混じってしまう。。。


考え過ぎているから

熱っぽい気もする



そんな時に柿崎はやってきた


柿崎は先の行軍にはすぐにはついてこられなかった

春日山での処理が残っていたからだが

夜三十騎と足軽衆五十をお供に陣に訪れた


雪の中をひた走ってきたのだ

難儀だっただろうと労いをしようと部屋に向かった時には



事は始まっていた

「栃尾の熊にまたも手柄を持っていかれるところだったわ!!」

部屋に入るなり大声と。。。。



殴打。。。


目の前で実乃が飛んでいく。。。

「貴様!!!挨拶がわりに「拳」とは!!」

立ち上がり部屋を壊すのではという乱打


間を割って

やたろーが入るも。。。。


「ややっ!!熊がもう一匹おるではないか!!」

と向き直って満面の笑みで

殴打。。。。


やたろー。。。応酬

何かが通じあったかのような殴り合い。。。




柿崎のための酒と

自分の

寝酒を持って部屋に入った私の前で

暴れる「熊」三匹。。。



何やってるの。。。。

何で挨拶が「殴打」なのさ。。。


呆けてしまった私の前を通り間に入ったのは

金津だった


「やめよ!!もう夜も更けておる!!」


でこにコブを作った柿崎は金津を見て

「おぬし。。。」

声をかけたが

取るに足らぬと態度で金津は続けた


「戦以外で怪我などしたらつまらんぞ。。」


とそそくさと自分の寝所に消えていった


さすがに「戦」以外で怪我はしたくなかったのかそこで事は終わったが

部屋は荒らしの後のようになっていた



「落ち着け。。。明日は戦だぞ」


ねぎらいの言葉など

どこかに飛んでしまった

柿崎は根っからの「いくさ人」だと痛感した


面目なさげに頭を下げるも

「戦」に燃える気持ちはなかなか落ち着く事ができないようで

少しばかりの酒宴に付き合った

実乃と柿崎は昔話をしながら杯を開かし続けた



私は

乱打の後少し

不思議なものだが気持ちが落ち着いて部屋に帰るとした


「影トラさま〜〜」


鼻っ柱を真っ赤に

心地よささげに酒を飲むやたろーが声をかけてきた

ほどほどにしろ。。。と言おうとしたら



「陣江には会えたんですか?」



すっかり忘れてたよ

聞かれた私がきょとんとしてしまった

「。。。。忘れてた。。。」


私の返答にやたろーは


「じゃいくさ終わったらですね〜〜」

ゆっくりと吹き出しそうな笑みで答えた





まったくだ


笑ってしまう


のんびり出来ない生活だ

春日山に行ったのに

ジンの事はすっぽ抜けてた


足止めくらってる時もこの「黒滝」の事で頭はいっぱい

気をちらすために「雪かき」までやって。。


ジンの事はついに思い出さなかった。。。

いっぱい

いっぱいの詰まった思考じゃ良い作戦もたてられない。。。


自分頭をポンポンと叩いた




しっかりしろ

自分







黎明。。。

ひた走る軍団

先発の部隊からの報ではここ何日か黒滝も「夜警」を絶やしていない

しかし

城の方は

私たちを迎え撃つ「支度」はすましている事だろう



後は

どれだけ「虚」をつけるかだ


城攻めの時間はジリジリと迫っている

策はすでに全軍に告げてある


不安はない




不安は




なのに

身体が痛い。。。。おかしい。。。

昨日の夜からの熱気が私の身体を包み「痛み」に代わり始めている


黒滝城が眼前に見えた頃

私の腹部は言いしれぬ痛みの中にあった

鈍痛。。。




どうした。。。。どうなっている


しかし目前には「黒滝城」今は進むしかない

萌えない謙信。。。。



後書きからこんにちわ〜〜火星です


冒頭から変な題名ですが。。。

メッセージ頂きました

「全然可愛くない萌えない」


。。。。


「萌え」というジャンルでこの小説を書いているわけではないので。。

思いながらも

たしかに

可愛くはないうちの「影トラ様」ということは。。。反省した方がいいのでしょうか。。

迷ってます


もっと「恋愛」を。。。

とか


もっと「女らしさ」を。。。

とかってご意見も多々頂くのですが。。


すいません

そういう要素はなかなか出てこないとおもいます

「上杉謙信女性説」ってかいてあったから見に来たのに全然「女」じゃない。。

って


どちらかというと

何故「女」だったのにこれほどまでに「戦ったのか」という感じで書いてますから

女らしさを強調したいわけではないので

そういうご期待にこたえられなくてすいません


あまりに多いメッセージだったので

こちらにて返信させていただきます



それでも健気にがんばる「影トラ様」を応援してやってください(泣)

まだ「女の子」の歳でがんばってます!!!

がんばってます!!(爆)





というわけで(何?)


また後書きでおあいしましょ〜〜〜

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