その12 将器 (3)
春日山にもどるのは二年ぶりぐらいだった
前日は。。。
気持ちがフワフワしてしまって落ち着かなかった
母上や兄上,師光育
直江に。。。ジンに会えると思うと
身だしなみから何からが気になって自分で何度も身の回りを確かめて歩いた
そのたびに
おせんに小言をいわれても
換えの着物を覗き込んだり
土産物の「干物」を確認たりしてウロウロした
「どうだろう?」
新しく下ろした「素襖」をおせんに見せた
というのも
最近私は身体が大きくなった。。。
というか
背が伸びた
前はおせん達「侍女」とそれほど変わらない背丈だったのに
今は彼女たちより頭半分ぐらい高い
実乃や,やたろー達のような「大男」と比べたら「小さい」のだけど
宇佐見とはそれほど変わらないぐらいになっていた
「戦場」の転戦が多かったからか
あまり気にしてもいなかったのだが
秋口から向こう
急に
身につける物の何もかもが「窮屈」に感じるようになった
着物の裾が。。。
あんまりな事になってしまって気がついた
後。。。
胸元がどうしてキレイにしまらない
何をしても邪魔な「乳」はこれまた周りの「侍女」達より大きく育ってしまって
着物への収まりを悪くしていた
。。。。
きちんとしていないなんて。。。。
日頃,ジンに作務衣の前を着崩すなと言ってきた私としては。。。
しかめ面になっていた私に
おせんと直江の妻が二人してせっせっと作ってくれた「直垂」はお気に入りだった
身体にぴったりだし
布にも気を遣ってくれたのか
サラサラした物も多くてさわり心地もいいし
そんなことが
嬉しい,楽しい
今年は雪がそれほど降らなかったが
寒さにも耐えられるような暖かい物のまで全てを新調してくれた
直江の妻はいろいろと気遣いの細かい人だ
毎日
「お体の調子はどうですか?お腹は痛くありませんか?」
と
伺いをたててくれるほどだ
健康だけが取り柄だ
心遣いにいつも
ありがとうを言った
「そんなにはしゃいで。。子供に見えてしまいますよ」
おせんの言葉にそれは困ると姿勢を正した
おせんは
私より一つ年下なのにずいぶん大人びた感じで侍女たちの間でも評判もいい
屋敷にいるうちは常に私の身の回りの事をしてくれる
たまに
「男衆」を怒鳴りつけている姿もみれば
実乃の愛娘の「多英」とも仲がよいらしく
お針子の手伝いなど一緒によくしている
多英は十歳おせんは十五歳ぐらいかそこに最近は「つや」が加わって良くしゃべる
何しゃべってるのか
たまに加わってみるのだけど
さっぱり。。。
女の子の話は今ひとつわからないのが残念
よく話が盛り上がり過ぎてしまって声が高くなったりもするれど
そこは年長者らしく,おせんが
締めるところはとこは,しめて
所作などを教えたりしている姿をみると
やっぱり「直江」の娘だなと思わされる
今回の帰参詣でには一緒に連れて行く事にした
一年は父に会っていないのだからゆっくりしてほしい
しかし今回,実乃は春日山には行かない
問題が残ってしまっているからだ
フワフワしている気持ちの半分はこの問題が解決していないからとも言える
「黒田秀忠」の事
あの「戦」から
十日後「守護代様」からの手紙が戻ってきた
内容は。。。。
不可解な物だった
「黒田秀忠の件については謹賀のおりに話をする」
それだけ
後は
事後処理的な事もなく
「お沙汰」らしい処罰もなかったようだ
不安に思って今一度
手紙をしたため春日山に送ったが返事は一緒だった
それで枇杷島の宇佐見に意見を求めたところ
「努めて監視を怠らない事」
という返事がきた
もちろんあの日以降監視は怠っていない
やたろー配下の何人かを城下に忍ばせている
実乃が残るのもそのせいだ
何かあっては困る
栃尾を守るために留守番をするのだ
それにしても
不安すぎる
何を取って「守護代様」は気にもされないのだろう?
私が戦場報告を送った次の日ぐらいに
秀忠からの手紙が春日山にも届けられたそうだが
その内容については何も教えてはいただけなかった
だけど思い返せば
黒田秀忠と「守護代様」の方が付き合いだって長い
共に戦った時だってある二人だ
腹を割った手紙の内容であったなら
私が心配する事はない
手紙についての言伝がないというのは
そういう
意思表示ともとれる
それなら
それで。。。いいのだけど一言は欲しい
家臣が心配事を持ったまま新年を迎えなくてはならないのに
自分だけ春日山にもどってしまうなんて。。心苦しい
とにかく心配だ
明日は出立なので三の丸まで歩いた
歩きながら
それぞれの仕事をこなす城人に労いを言いった
大変な一年だったが
みな活き活きとした顔を見せてくれるのが嬉しい
雑兵長屋の前でやたろー達がたき火をしていた
雪は多くなくとはいえ
寒い日が続いている中なのに,上半身裸の男たちが元気よくいったりきたりしている
すごいものだ
「ごくろうだね」
声をかけた
いらなくなった武具や使えなくなった槍を燃やす
今年も良く戦った
良く私たちを支えてくれた「武具」を供養した
「つや。。土産を楽しみにしていてな」
やたろーの隣でせっせっと木をくべて
顔をススまみれにしていたつやに言った
顔を拭って
「実乃から餅をもらってね」
と
私の言葉に笑ったつやの歯が抜けていて吹きそうになった
そうか
生え替わりだ
私の顔が緩んでしまったのを見て
つやは恥ずかしそうに口元を隠した
「すまんすまん!!」
つい笑ってしまったか?すぐあやまった
その仕草がたまらなく可愛い
可愛いつや
お土産を楽しみにしててほしい
頭をなでた
「酒持ってきたぞ!!」
突然の大声
裸男にまざって壺を担いで来たのは実乃だった
となりに「あの」愛娘,多英をつれ
「影トラ様もどうですか?」
と
お猪口をクイとしてみせた
もちろん!
一緒するよ
嬉しくなった
あっという間に「酒盛り」が始まった
栃尾衆は陽気で騒がしい
でも
一緒に戦ってきた大切な仲間たちだ
実乃が私に酒をそそぎながら言った
「ご心配なく春日山に行ってください,「守護代様」や「直江」によろしくとお伝えください」
と顔を真っ赤にして。。
多英にも土産を持ってこなくては
私はなんていい「家臣」たちに恵まれた事だろうと常々思い
御仏にも感謝している
明日の朝も気分よく出られるさ
今日はみんなで飲もう
酒を煽った
冬の空は高くとても澄んでいた
大丈夫だろう
ココには信頼できる家臣がたくさんいる
私の心配をかき消すように宴は朝まで続いた
やっと40話までやってまいりました!!
こういう
話の分配ってのもきちっと考えてやっていかないと
ただ「続く」になっちゃってしまりがなくなってしまう?
とか
ない頭絞って話をまとめてます
最近のメッセージくださる方で
「どこまで書くんですか?」
って
質問があったんですけど。。。
答えた方がいいのか(爆)
どこまででしょう
一応
ココまでは書こうってとこは決めてますけど
答えるのはやめときます(藁)
後
○○は出るんですか?
。。。
ごめんなさい
知らない人だっりしてめっちゃあせってます
そそそそそ
そんな人いたったけ?
勉強不足ですね。。。(爆死)
がんばります!!!
がんばります!!
暖かい目でみてやってください
それではまた後書きで会いましょ〜〜〜