その10 禅問答
小説評価,感想に
改行や空白がありすぎて
読むに絶えられないと感想をいただきました
感想としてそのまま残しておこうかともおもいましたが
小説事態の「感想」は一切なく
改行と空白の「評価」だったので
削除させていただきました
一言でも小説内容にふれてくだされば真摯に受けたいと思ってます
読むに絶えなくとも小説の評価をください
後。。。
その
改行,空白は
意図的にやってます
私が小説を読めない,最後まで読破出来なかった理由にいっぱいいっぱいに詰め込まれた「字」にめまいを起こすというのがありまして
気持ち悪くなってしまうのです
だから
これは私の「文章」の書き方「スタンダード」です
それに絶えられない方は
ごめんなさい
というわけで
この小説は改行,空間が多々有ります
それに絶えられない方は注意してくださいください
と
但し書きをしておきます
これからもご意見,感想はおまちしてます!!
では
新章です!!!
人と対面する時は
できるだけ自分を正し毅然とした態度で接したい
いや
そうする事も城主としての勤めと日々かんじていたのだけど。。。
直江とジンがいなくなってしまってから私の心のなにかが抜けてしまったようで。。。
日々が緩慢としてしまっていた
狩りに出ると称して私は栃尾の総構えから向こうの田畑を歩き回る日々だったがそれによってかなりの執務がおろそかになっている事には目をつむっていた
小うるさく私を窘めてくれた「ジン」。。。。
なんでココでは「禅」の問答が出来なかったのだろう。。。。
畑道。。空を流れる細い雲を見ながらぼんやりしていた
「禅」を組む。。。。それだけでは何も得られない気がして溜息ばかりがでた
昼を回ったぐらいに城の屋敷に戻った私を迎えたのは「直江」の娘
直江が春日山に帰るのと入れ替わりに私の身の回りの世話係としてやって来ていた
「おせん」だった
顔立ちは似てない。。。
背は私と同じぐらいで。。。でも細い父親みたくがっしりはしてない
まぁ女の子だし。。。。
似ているのは目の感じ
厳しい狐の目と
父親によく似ている堅いしゃべり方いつも乱れない返答
そんなおせんが
めずらしく息の上がった声で叫びながら私を見つけると服をごと捕まえて
「朝方から。。。宇佐見定満様が登城しておらます!」
「宇佐見。。。」
知らない名前ではなかった
栃尾から信濃川を渡りさらに海にむかった側の所領「枇杷島」
上杉管領様から拝領した地に居をかまえる領主
「何しにきてるの?」
知らなくはなかったが興味もそれほどなかった
「。。。。わかりませんが。。。たぶんご挨拶では?」
おせんはきっと実乃に私を捜してくるよう呼びつけられたのだろう
汗を手で拭いながら袖を引いて屋敷の方を見た
今ひとつ気持ちがしゃきっとしないまま私は言われるまま屋敷に歩いた
「宇佐見定満。。。。」
ココに
栃尾に私が着いて以来周辺豪族に領主の話は一通り実乃から聞いていた
どれもがにたりよったりの狭い領地争いを「趣味」とするつまらぬ男達ばかりだったが
事
宇佐見については実乃が顔をしかめていた事を思い出した
父と戦い負け。。。そして勝ち。。。負けた男
私が産まれる前から産まれた後
海に巣くう闇の波のように押しては引いて。。。引いては戻る
巧みな戦で何度となく父と戦った男
「油断ならない男」
屋敷の通路を歩く足が速まった
少しだけ気分が切り替わったのだ
結局父「為景」の守護代という仕事を最後まで認めなかったのか?
なのにココ数年「長尾」が握った権力に逆らう事なく沈黙を守った男に興味を持ったのだ
「待たせて申し訳なかった。。。長尾影トラである」
私の着座に合わせ
宇佐見は深く頭を下げた
同時に
宇佐見の後ろに実乃が座った
静かな姿勢
下げた頭のまま低いが。。。起伏のない声が続いた
「お初にお目にかかります。。。枇杷島の宇佐見定満にございます。。」
「苦しゅうない。。。面をあげよ」
男とはいえずいぶんと痩せた細い体がゆっくりと顔を上げた
切れ長
いやどちらかと言えば「鋭い」刃物のような目に薄い唇
顔色は白く「病んでいる」かのようだが
体の内に持つものが違う。。。。
体の各部分の全てが
刀を合わせて作ったかのように。。。。。角の見える尖った感じの男
眉も動かさぬ
冷たい表情。。。。
歳は実乃や直江と同じぐらいか
挙げた頭
微動だにしない眼差しは私を射抜く
ただ見つめ最初の挨拶以降言葉を発しない
間を持たせる事のできなかった実乃は咳払いをした時
「作麼生」
冷ややかに光った目はピクリとも動かず私わ見つめたまま急に「問答」を始めた
「古木に咲く花は淡く美しいのです。。。。しかしその花は美しいのに木は枯れてゆく。。。」
急に始まった「問答」に実乃は目を白黒させた
私は自分が「いきなり」試されている事に気がつき心が締まった
「この花は来年も。。。。咲くべきか?」
宇佐見は腰に持ってきた扇を滑らすよう膝に向かって開く
「説破」
久しぶりに「挑まれる」感覚
目が尖り心が鋭敏になる
私は宇佐見に同じく腰の扇を抜き緩やかに開いて見せながら答えた
「古木を討つべし!」
指先までを綺麗にそろえ「首」を討つしぐさのまま
「花に命を吸い上げられた木は美しさと引き替えに脆く危険である目を奪う美しさに惹かれ木に寄りかかれば己が命に覆い被さらんとするやもしれぬ。。。。花が咲くのは末期の光であり。。。危険への誘い(いざない)である」
私の答えが正しかったか?
それはわからない
だが固まっていた冷たい宇佐見の目は緩んだ
「なるほど。。。心を鬼にする術はご存じか。。。」
「そう感じたか」
宇佐見は扇をしまうと
問答の礼なのか深く頭を下げた
だが頭の下がる週間に見えた目は。。。。まだ何かを隠している光に見えた
私は警戒を怠らぬ構えで身を正したが
下げた頭のまま宇佐見は
「今日。。。ここに挨拶に伺ったのは。。。その「危険」を感じたからにございます」
と切り出した
顔がゆっくりと上がる「険」を深くたたえた額
後ろに控えた実乃をちらりと見てから
私に向き
「黒滝に不穏な動きがあります」
とはっきりと告げた
黒滝城城主, 黒田秀忠。。。。
即答を避け思い出す
中郡の討伐を始めた頃から。。。
実はずっと気になっていた事だった
「黒田秀忠」は父,為景の頃には侍大将を勤めていたほどの「寵臣」だ
なのに
ココ栃尾に私が移ってきてからは
一度として「討伐」の仕事に参加した事はなかった
表向き
城主,秀忠の養生のためと親書にはあったが
「何のために」か
城に蓄えを増やし続け
「浪人」などを大量に公募し
城の構えを強化するなど。。。。。
心を騒がせる事が尽きない
目と鼻の先である黒滝に「不穏」が漂っている。。。のでは
栃尾では「警戒」をたやしてはいなかったが。。。
しかし。。。
考えたくない事だ。。。
「不穏。。。とは?」
聞きたくはない
が
確かめなくてはならない
私の中には「寵臣」であった黒田を信じていたい気持ちがある
しかし
私は自分の勤めに従って
「不穏」の中身について問うた
思案の後の言葉を待つ前に
「長尾守護代家に牙をむく恐れ有り。。。という事でか?」
「敵対視」を表に出した返答
酒を用意させた
実乃が杯を盆に戻しながら聞いた
宇佐見は動かぬ顔で私を見ながら
「そう言う事実です」
無駄のない冷徹な答えを
はっきりと「謀反の恐れ有り」と告げた
夕暮れを越した部屋の中
弱く揺れる炎のように
心に微動ながらも動揺が走り転がり落ちるように
重い沈んだ気持ちになってゆく
黒田はけっして小さな「豪族」でも「国人衆」でもない
そんな部類のものではない
父に仕え共にこの越後の統一のために戦い
一応でもそれが成された
今は
守護代である兄にも恭順している立派な武士の。。。。ハズだ
なのに何故。。。
額に痛みが。。。
「軍略者」である宇佐見の家系はそう言うことを良く見通している
なんの根拠もなく
ただの憶測でそれを告げにに来たわけではないだろう
「確実」に?
これはもう「確実」に「反旗」を掲げる準備をしている
という事なのだろう。。。
宇佐見は袂から
折りたたまれた紙を二つだした
「これなるものが黒滝から中郡を中心に流布されています」
奥山に,猫又といふものありて,人を食ふなる
「万葉集?」
昔読んだ物を思い出した
「これは隠し言葉と思われます。。。猫又とは影トラ様。。。あなたの事です」
私?
私を「猫又」と?
「今これを書いた紙が中郡から向こう上郡揚北まで点々とですが流されています」
紙を流す?
「怪文です。。。暗にそうしていると思われます」
話では
こうした文だったり板だったりが
村に突然届けられたり
塀に記されたりしていると言う
「どういう意味だ?」
これは「戦」の方法にもある。。。「言合戦」に近いもの
私はかつて読んだ「兵法」物の中の「流言」を思い出しながら
宇佐見に聞いた
たたずむ目の宇佐見は
私の顔を見ながら
察しがよろしい。。。。と言うと続けて
思い声で詠んだ
「栃尾の山に住む猫(虎)は人を食う」
前序の文をのぞき込み
実乃がいつの間にか酒をあおり息をついて
「深読みしすぎではないか?影トラ様を猫などと?」
実乃の言葉に宇佐見はもう一枚の文を開いた
愕然とした
「影トラは守護代を食らう逆賊なり」
文中に「逆賊」と記された私に対する
手紙は
「長尾家を食い殺し越後を我が物にしようとする虎退治をせん」
と結ばれている
驚きを隠せなかったその中身
「なんでだ」
私はココにきて二年
栃尾を中心に各地を転戦した
おおかたの「豪族」とは戦った
なのに懲りることなく「乱」を起こし続ける
「戦」の理由は些細な領土問題が大半
後はもっと取るに足らない「いざこざ」だ
話し合えばわかりそうな「問題」に武力を震う
彼らの「望み」がわからなくなってきていた
苦痛だ
そのたびに流れる血を見るのも
火を見るのも
それでもその「些細」な事を止めるために
自分を叱咤して戦い続けてきた
そうだ
私は守護代家の「力」を代行して
多くの戦をして
国民百姓にのぞまれる
国造りを
「手伝って」きた
なのに手紙の内容には
「力」である私はいつのまにか
「長尾家」を脅かす者として書かれている
そして
それは「悪」で
私を「討ち取ろう」と手紙は告げている
「いつ。。。いつ!私が兄を脅かすような事をした!!」
カッとなった
未熟と思いながらも
激情を止められない
と
同時に深く心を抉られた気持ちになった
言いがかりにも等しいこの書状を垂れ流しにしている黒田
なんで
そんな事をする?
「前の手紙は「噂」を流すために書かれた物。。。こちらの物はあきらかに影トラ様を討とう呼びかけている物です」
流言の理由はわかった
読み書きのよくわからない者にとって
簡単な言葉遊びのようにつづられた「猫」は
諸将の動きによって「虎」に変わり
こぼれた言葉から「噂」になる
混乱を作り出し
それに乗じて私を討つ
そうなのか?
そういうつもりなのか?
「影トラ様。黒田を討伐せねばなりません。。。すみやかな決断を。。」
となりにいた実乃の顔はすでに変わっていた
怒りだ
当然だ
そんな事を流し続けさせて良いわけはない
すぐにでも根絶してしまわなければ
氷の軍略者は言う
「ココで躊躇してはなりません,「寵臣」であった者のすることなら尚のこと」
「寵臣」。。。
パチパチとした痛みが頭に走る
私はゆらりと立ち上がった
「黒田秀忠を。。。黒滝城を討伐する」
まだ信じがたいと思いながらも
しかし
手紙に書かれた内容に目をつぶるわけにはいかない
それこそ
「長尾」を分断しようとする卑怯な細工を。。。
戦えと
自分に言い聞かせ立ち上がった
「村山与七郎を先発させろ!」
と
速攻の先手を打つことを告げた
長尾家侍大将とまで言われた「寵臣」
何故に
私を貶め
策を弄して「乱」を呼ぶ
長尾の内に「嵐」を起こそうとする
「黒田。。。。」
深く心を痛ませた
本当に胸の奥を締め上げられる気分に怒りが乗算される
部屋を蹴るように後にし
歩きながら
慌ただしく
支度を指示をした
「なぜだ。。。」
まだ。。。。解らぬ疑問もあったが
とにかく
自分を鈍らせないために酒を煽り
支度をした
夜明け前には栃尾城を出立する軍は仕上がった
「宇佐見定満」。。。
いきなり後書きで登場!!ヒボシです
上杉謙信を描いた映画といえば。。。
かの有名な
「天と地と」があります
近年なら映画ではないですが
NHKの
「風林火山」
「天と地と」とは
角川春樹さんが一度諸事情で(爆)この業界をおさらばしてしまう前に造った
大作映画でキャッチフレーズ
「赤と黒のエクスタシー」(藁)
という
とってもわかりやすい合戦「図式」みたいな映画です
キャストも豪華で
謙信(榎木孝明)
信玄(津川雅彦)
勘助(夏八木勲)
乃美(浅野温子)
八重(財前直見)
義信(野村宏伸)
チラミで風間杜夫が出ていたり
その上で
エキストラ6万5千人,馬2万頭
という
当時の日本映画破格の物だったのでしたが。。。。
破格の失敗作になってしまったという
なんとも。。。かんともな作品です
でも
まあ
ああんな感じで合戦したのかな?
なんてのを見て取るには十分のスケールをもってもいます
そんな中
今回出てきた「宇佐見定満」役で渡瀬恒彦さんがでています
映画では「宇佐見定行」となっていますが
ようは同じ人物です(爆)
映画本編ではたいして台詞もなかったのですが
その存在感のデカイ事
特典DVDでは殺陣の演出を自分で考えたり
構成を手伝ったり
なにより当時大抜擢で「謙信」をやった榎木さんを叱りながら殺陣を教えている姿などホント
この人が映画の役柄ともども謙信の師であったのね〜
って感じです
カイビョウヲトラでも
色々な役にモデルを見つけて考えていますが
「宇佐見定満」に関しては渡瀬さんでしょう
ただビジュアルは若干細めにさせて頂きました(藁)
そんな感じで
また後書きでお会いしましょう〜〜ヒボシ