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その8 祠 (5)

一方,朝早く「用を足しに」と言った

影トラまでも行方不明になってしまった事に

実乃は。。。。。

いやな汗をいっぱいに浮かべながらも冷静さをたもとうと。。。


お堂の方端を行ったり来たりしていた



「なんたる不始末。。。」


実乃の不安は今やはち切れんばかりに大きくなっていた

ただ姿をくらましただけならばまだしも。。。(いやそれもちろん問題なのだが)

動向していた「陣江」が共に姿をくらましてしまった事が重大な問題となっていた


「女」である影トラが「友達」だと言い張ってはいるが「男」の陣江と。。。かれこれ一刻(二時間)は見あたらない。。。。


「何かあってからでは。。。直江殿に顔向けできん。。。。」

拳を固め祈るように歩き回る


その

一方のお堂の端には未だ帰らぬ部下を待って

イライラも絶頂に達しつつある

やたろーが

挙動不審な態度で首を上げ下げしている


昼も近づきつつあるこの時間に未だ部下が戻らないのはある意味不安だが。。。



「。。。。ぬ。。。ぬ。。。」



この状態でもっとも困っているのは

この二人以外の


影トラ馬廻りの三人

やたろー配下の二人



どちらもお堂の中程に座って事の成り行きを見ている


落ち着きのない二人ともが割と大きな男だったと言うこともあって。。。

実際,目の前で見ていると

その焦燥さ加減が。。。


滑稽にしか見えないのだ



「熊が。。。二匹って。。感じか?」


やたろー配下の一人

善治郎が小声で耳うちした

馬廻りの史郎は少し考えて自分の頭にあらぬ何かが浮かんでしまったのか。。。

肩を小刻みに震わしこれまた小声で返答した


「いかん。。そんな感じだ。。。」


ココ最近

城の仕事も手伝うようになったやたろーと実乃は共に肩を抱き合いながら酒を飲む仲だ


だからなのか

イライラの感じもよく似ている。。。

もはや

双方の「限界」は近いのも見て取れる



「なぁ。。。どうしたらいい」

史郎は

この奇妙な間に絶えかね始めていた

善治郎

「どうするも。。。。待つしかない」



まさに忍耐

今は待つしかない

偵察にだした男が帰ってくるのをただココで待つ

情報がないのに身動きなどできない

なのに

姿を消してしまった影トラ様の心配だってある

でも

それだって騒ぎだてして探すなんて。。。。出来る分けもないし


それだけの人手も揃っていない




緊張の間合い


この間が途切れてしまったら。。。。

そんな恐ろしい事は考えたくもない



実乃はもう限界だった

そもそも

影トラをココまで連れてきてしまったのが間違いだった


当主たる影トラにこんな事は絶対させたくなかったし

させて良いわけなどあるハズもなかったのに

さらにそこにのこのこと「男」の陣江を動向させてしまった事で心はあらぬ「妄想」でいっぱいだ



「つや」の事に関してはトラが思い入れを深かくもっていた事もあり

「断」する事ができなかった

と同時に

あらぬ

「温情」が実乃の心にも働いてしまっていた


つい


そうだ

つい魔が差したのだ。。。

城の外の捜索に出張ってきてしまった



なんたる事。。。。


なんたる事ぉ。。。


何度も自分の頭をこづきながら

言葉をぶつぶつとこぼして歩き回っていた

この上

影トラ様に何かあったら。。。。

腹を切っても「詫び」にもならん!!


両の拳を胸の前でぶつけ合わせて。。。



「こんな。。。。くだらぬ事に。。。」

実乃はポツリとこぼしてしまった


善治郎,史郎その他三人の背筋が凍った



お堂の方端にいたやたろーが「鬼」の形相で向き直っている



あっけなく

緊張の糸は切れてしまった



「ヤバイ。。。。」

史郎は慌てて善治郎を押した

「オマエの親方だろ。。。止めろよ!!」

はぁ。。。。驚愕顔

とてもあんな巨漢を止められる気がしない

ましてや

戦じゃ「金棒」を担ぐ「鬼小嶋」。。。。



善治郎は押した

史郎に向き直って叫んだ

「だったら貴様の親分も止めろよ!!」



恐ろしい

反対側の方端にも「鬼」がいる!!

力一杯拳を握りしめた実乃


無理。。。顔面蒼白の史郎



二人とも鼻息が荒い。。。。煙が出てくるんじゃないか?

というぐらい

熱い息


睨み合ったまま

一歩

一歩。。。。


のしのしと

歩み寄る二人に


「あああっの落ち着きましょう。。。実乃さま。。」


史郎は手元に近寄って進言するも

戦場いくさばでみるよりも恐ろしい形相の実乃の耳には届いていない



親方やたろー騒ぎを起こしちゃダメだ!!」


善治郎も同じく進言して

の腕を掴んだが


あっという間に投げ飛ばされた


呆然の史郎と三人の前で

実乃とやたろーは猛突進!石がぶつかるがごとく

ごつん!!

とぶつかり合った


「イイイイイイイイイイイイイイ!!」

「ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ!!」


歯が折れてしまったのでは?

と思うような頭突きと

続く山を揺らすような怒号



やたろーの方が背は高いから覆い被さるように

打ち伏せようとする

しかし

実乃は戦歴,人生の半分以上みごとな組み手で腕をとる



腕組みをする二人

軋む肉体からの音



「なんとかしろ!!!史郎!!」


投げ出された善治郎はまだ立ち上がれない身体で悲鳴まじりの声をあげた


「どうしろと!!」


困惑

目の前にいるのが人には見えないよ!!

こんな中に仲裁なんかで入ったら「骨」も残らない!!


まだ刀を抜いてないからマシなんて言葉

この二人の前でどんな意味があるの?


戦の本領は「撲殺ぼくさつ」だとするなら

とても適う相手じゃない

これはもう


「熊対熊」だ



組み手をしながら

実乃が怒鳴る


「そもそも貴様が親代わりをすると言ったくせにきちんと「つや」を見ておらんからこんな事になったんだぞ!!!」



ごつん!!



上から実乃の額に頭で突きを食らわせてやたろーは言う

「やかましい!!貴様だっておトラ様を見失ったくせに!!!」


今度は実乃が頭突きで近くに下がっていたやたろーの顎を頭で跳ね上げた

「こんな事がなければ!!こんな所にくるものか!!」


首ごと跳ね上げられた頭のままぐらりともせず立つやたろー


二人は組み手をはずし

擦り寄らんばかりに睨み合う

「影トラ様に何かあってからでは遅い!!すぐに探すのだ!つやはそれから。。」

バコッ!!

右からやたろーの拳が実乃の言葉を絶つように顎に命中した


「つやが先じゃぁぁぁ!!つやを何だとおもうとるじゃぁあ!」



「ああああ。。」

史郎は絶句

すでに口から惜しげなく「血反吐」を流している二人


実乃は

ねじ切れんばかりの力で持って行かれた頭を平然と振り

そのまま

右拳でやたろーの腹をえぐった

突き上げるように深く鳩尾みぞおちの奥の奥に突き立て

雷のごとくの声で言った



「慮外者がぁぁぁ!!まず主君ありきじゃ!!」


さしものやたろーもそのまま前のめりに膝をついた

実乃は目の前に膝を屈して降りてきた顔面をつかみ右に左に音高く殴り続けた


びくともしない

やたろーを何度も打ち据えて

両肩をがっしりと掴んだ

つかまれたその手をやたろーもしっかとつかみ返した



「つやが。。。大事で何が悪い。。。」



血と汗と涙でぐっしゃぐしゃの顔をキッと実乃にむけ

やたろーはいつもの

やたろーの声でこぼした


この大男にとってそれほどに大事な「娘」のつや


その言葉に

実乃の目にも涙が光った


「わかておるわ!!わかって。。。わしとて「娘」の父ぞ!!」



実は

「つやがいない」

聞いたとき

人ごととはおもえぬ温情が働いてしまったのは自分の「愛娘」多英が浮かんでしまったからだった


長い戦の中

やっとで授かった「多英たえ」は実乃にとって目に入れても痛くないほどの「宝」だった

そういう意味でも

やたろーと気があったのだ



「だが今はまずは影トラ様だ。。。」


血まみれの唇をキッと結んだ


がっくりと首をうなだれた

やたろーの肩を叩いて言った


「つやも絶対に見つける!!」

と励ました





「あの。。。。」

間を割って声が入った


うへっ

という感じの顔で遠巻きに立っていたのは物見に行った

「弥平」

やたろーの部下だった


我に返った実乃たちの周りには

ぶっ飛ばされた善治郎を肩で背負った史郎と残りの男ちが立っていた


平静を持ち直し実乃は聞いた


「何かわかったか?」


「ええっ。。」

弥平は状況を理解しかねている様子だったが

急かすように史郎に押されて答えた



「ココ。。。。この寺社の廃屋が,つやの家だそうです」



死闘を演じた二人の「父親」は顔を見合わせた


躊躇する理由は一瞬で消え去ったのだ!!



「すくに探すぞ!!!」



実乃もやたろーもボロボロになった身体とは思えぬ早さで

お堂の裏に向かって走っていった



呆れた顔になってしまった

馬廻りと

善治郎たちも後に続いた


まだ

靄の晴れぬ寺社に向かって走っていった

「上杉謙信は女だった。。。。」(驚)

という書物があるそうです



すいません私は知りませんでした(無学人火星)


読んでみた方が良いのか?

今とっても迷っていますが。。。。たぶん「あえて」読まないと思います

読んで

変に影響を受けたくない

というのがまったく本音なので


紹介してくださったみなさまには申し訳ないのですが

この「カイビョウヲトラ」が終わったら


速攻!読みます!!


ところで

名前についても色々ご意見があるのですが。。


代表的な物で「なんで上杉謙信じゃないのですか?」

。。。。



。。。。




困ってます


現在

この小説の中では「長尾影トラ(景虎)」ですが

これが後に「上杉謙信」になるわけで

一緒の人物なんですよお〜


でもって




ぶっちゃけ

「上杉謙信」って名乗った期間なんてこの人の生涯の中,8年弱で

後の41年間は

冠名に「景」「政」「輝」と変わっただけで

ずっと「虎」ですから


実質一番長かった名前は間違いなく「影トラ(景虎)」で19年

次が「虎千代」(藁)12年

次が「輝虎」9年

次が「謙信」8年

上杉の名字を頂いたときに貰った名前「政虎」なんてたった9ヶ月(爆笑)

まあ

だいたいこんな内訳になってるので(あくまでだいたい)


なかなか「上杉謙信」だあ!!

バシッと名前がでてこない〜〜なんて嘆かないでください

本人がクルクル名前変えたって

世の中じゃ

ニックネームみたいに「トラさん」って呼ばれていたような。。。

そんな気がしてならないのです(藁)


と言うわけで

色々とご意見くださるみなさまに感謝!!!

また

後書きでお会いしましょう〜〜(笑)

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