序章 地球の神、ついに告発する
神様は一人じゃない。
色々分担してる事もあるし、世界が違えば神様はその世界の数だけ居る。
ここ最近の話、地球の神はある事象に悩んでいた。神の調和を乱す死亡事故が相次いでいたのだ。どうやら地球とは違う異世界の神が後ろで手を引いているらしい。
「ったく、地球の魂は地球で輪廻転生せなかんのに(怒」
捜査の結果、異世界の神の犯行と断定。ここに異世界転生を裁く裁判が始まる。
「うわーーーーーーっ!!」
キキキキーーーーーー、ドシン!
今日もまた、地球の何処かで交通事故が発生した。
ただ、それだけなら良かった。地球の神は亡くなった魂を死後の世界へと導き、次の転生まで面倒を見るのが仕事。
だが、その交通事故で死んだ魂は、地球ではなく異世界へと連れ去られてしまった。地球の神も最初は「まあ、こちらの世界も人が増え過ぎたし、少しなら良いだろう」と、たかを括っていた。
だが最近は、交通事故だけでなく、病死でも似たような案件が増えてきた。あからさまに地球の魂を狙う不届者が居るようだ。
「うーん、気に入らん!」
天界にある地球の神の執務室。その執務室で地球の神は非常に「不愉快である」という表情を隠さなかった。ドスの利いた低い声を浴びせられた、調査員である「神のしもべ」は一瞬、自分の仕事内容の事を言われたのかと、邪推し、ビクッと体を震わせる。
「なんで異世界の面倒まで、こっち(地球)で面倒を見なければならんのだ。たしかに下界の読み物には『異世界転生』なるジャンルがじわりと広がっているのは知っておったが、リアルにそれに遭遇するとはな」
「今までの調査結果ですと、平均して1週間に1人の割合で、あちこちの異世界に魂が拉致られております。現在、一番多いのは「アファド神」と呼ばれる神の世界でして、ここ10年間で100人近い魂を地球から拉致しておることが判明しております。こちらがその調査結果をまとめたものとなります」
調査員である「神のしもべ」は恭しく、調査報告書を地球の神に差し出す。
地球の神は、調査報告書をめくりながら、「神のしもべ」に尋ねる。
「そう言えば、神界最高裁判所の方はどのような状況か?」
「はい、何分にも極めて異例である。とのコメントでした。ただ・・・・」
「ただ?」
「実際にそのような事案が発生しているとして、どのような処理をするべきか、その辺を悩んでいるご様子」
しもべの言葉に、神も、
「そうなんだよなぁ。正直に言えば、どのような罪状で告発すべきか。そこが悩ましい。だが、現に地球での輪廻転生を歩むべく魂が、異世界に拉致されているのを、黙ってみているわけにもいかん」
神は、そこまで言うと両手で頭を押さえながら、
「ワシの管理責任能力も問われる事にもなりかねんし、自分で自分の顔に泥を塗ることになるんじゃろうな」
「如何いたしましょう?」
「まずは、告発状の文面をいくつか作ってはくれぬか?地球での輪廻転生を外され、異世界に拉致されている事。病死ならともかく、事故死であれば明確な殺人であるという事。かな。あとまだコキ使うようで悪いが、地球において異世界への拉致を目的とした組織が構成されていないかの調査もだ。もしも、そのような組織があるのであれば、それこそ明確な犯罪の証拠だしな」
「かしこまりました。調査と文面の推敲は同時に行う事にいたします」
「よろしい、頼んだぞ」
しもべは『まーた、やっかいな仕事を言ってきたもんだなぁ』と内心、愚痴るのを躊躇しなかった。
神へ退室の伺いを行い、執務室から退出する。
告発文の文面については、ある程度の方向性が出来ているので、3つほどの文面があっという間に完成した。組織的なものについての調査についても、偶然にも、異世界への拉致案件が発生した際に、周辺にいた「異世界神のしもべ」達を現認し、緊急逮捕に踏み切った。
異世界神のしもべ達は『不当逮捕だ!』とか、『我が神への冒涜である!』などと、喚きたてていたが、取り調べに対しては以外にも素直に応じ、拉致組織はやはり「アファド神」を中心として組織され、同時に他の異世界神からの依頼に応じ、魂の拉致(いわゆる殺人)を行っていた事を自供した。
「ったく、神ともあろうものが、このような組織を作って、あまつさえブローカーもやっていたとはな」
拉致組織の供述書を見ていた神は、読み終わると静かにため息をついた。
「よし、ワシも腹を決めた。この案件について神界最高裁判所へ告発する!」
いよいよ前代未聞の、神が神を裁くというトンデモ案件が進むことになった。
異世界転生、異世界転移。
「なろう系」ならばほぼ定番のネタでありますが、どうにも都合が良すぎやしないかい?
と考えてた時に、丁度ニュースで裁判の話が出てまして、「神が神を訴えたらどうなるんだろう?」というネタが降りてきました。
なにぶん、裁判なんて縁遠い存在ですので、流れとかに「突っ込み」ところがあるかと思いますが、それはそれ。書き物と言う事でご容赦を。
この作品は書き溜めてないので、連載は不定期です。




