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転生勇者と転生魔王の未来目録  作者: Aa_おにぎり
一年生①

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9/33

#9

帰宅途中に暴漢に襲われかけていたアニを連れ出し、男はそのまま放置した警察には公衆電話で連絡したので事情聴取される事もないし勝手にドナドナされるだろう。


「いやぁ、無事でよかった」


帰りのバスの中。そう答えるとアニも安心した様子で答える。


「ありがとうございました。助けて下さって」

「あれ位は余裕だから問題ないさ」

「強いんですか?」

「まぁ、親父に喧嘩の仕方は教わったがな」

「(喧嘩の仕方…?)」


アニは疑問に思うが、レオポルトはそれを流す。少なくとも人に言う様な内容ではない。


「じゃあな」

「うん、またね」


先にバスを降りて、レオポルトは自分の寮まで歩く。やはり学園都市の治安は悪い方だな。

喧嘩の仕方は元々華奢な体躯で舐められやすいからと父に教わった効率的な殴り合いだと言う。どう言う事だと思いつつも意外と使えそうだった為に独学の部分が多いけど、地元のチンピラはノックアウト出来る位だった。


「いっその事、風紀委員に入ってチンピラボコすか…」


そんな事を呟きながら鞄を背中に抱えて寮の一室に入った。

風紀委員に入ればろくでなしを合法的に殴り飛ばすこともできるし、案外良いのでは?






====






翌日

学院内にはトレーニングを行うためのジムもあり、それらジムは学生であれば無料でいつでも使用することができる。

そして、そんなジムに早朝から通う人物が居た。


「ふっ…ふっ…」


トレーニング器具を動かして汗を流すのはヴァージニアだった。無料でジムに何度も通える此処にヴァージニアは初日から通っていた。学校に近いので通学を少し早めにすればトレーニングはできる。


朝のトレーニングを終え、シャワーを浴びようとした時。ジムに一人の生徒が入ってきた。


「あっ、おはようレオ!」

「あぁ、ジニーも来ていたのか」

「そうそう、これから帰る所だったの」


そう言い、そこでヴァージニアは自分汗まみれであることに気付いた。そして、ちょっとスポーツブラが透けているのも。


「っ!?」


半ば反射的にレオポルトを見るが、彼は至って興味すらない様子。


「(ふぅ、危なかった…)」


もし欲情していたら顔面に拳を喰らわしていたかもしれない。そんな変な心配を他所にレオポルトは言う。


「じゃあな。俺はこれからトレーニングだから」

「うん、また学校でね」


そう言い、去り際に半袖を着ているレオポルトの体付きを見て少し驚いた。


「(へぇ、案外筋肉しっかりついているのね。てっきり華奢な体だと思っていたけど…)」


制服の上から見ていただけだが、結構肉がついてるのだと感じた。所謂細マッチョかと思うと、ヴァージニアは女子ウケは良さそうだと感じていた。




入れ違いでヴァージニアと会ったレオポルトはイヤホンを付けながら音楽を流してウォーキングマシンに乗る。

速度はぼちぼち、三日おきにジムに通っていたので自由に使える此処は本当に設備が充実している。朝早いおかげかあまり人はいない。意外と朝練する人って少ないのか?まぁ、俺も学校帰りに寄り道するとかだったし、案外そっちの方が人が多いかもな。


前世からの癖でついつい筋トレをしてしまう。剣の腕はこの時代ではあまり通用しない。と言うか、よくあんな大剣をブンブン振り回していたと思う。


「はっはっはっ!」


慣れた速度。一定の速さで走っていると横に誰かがやってきた。空いているから一個開ければ良いのにと内心思いながらもレオポルトは特に気にする事なく走り続ける。


「みなれない顔だが…新入生かい?」


すると少し色黒に金髪、翡翠色の目が特徴の青年が話しかける。あんまり走っている最中に話しかけないでほしいなぁ…。


「あぁ、ごめんごめん。邪魔だったね」


するとその人は察したのかやや申し訳なさそうにしながら横の台を使う。速度はMAX、一瞬だけ驚いてしまった。


「…随分早い速度ですね」

「仕事の関係上、どうしても走る事が多くてね」


走る仕事?まだ座る仕事ならわかるが…。


「君は?」

「自分は趣味ですよ。地元では良くジムにも通っていたので」

「へぇ、中学の時から?」

「そうですね」


走りながら少しずつ会話をする。体も温まってきた頃合いだ。


「通りで肉付きも綺麗なわけだ」

「ちょっとキモイですよ」

「はっはっはっ!同級生からもよく言われるよ。でも肉体美ってあるだろう?」

「…」


あらやだ、結構この人イッちゃってる人だわ。ルネッサンスにどハマりしてそう。


「まぁ、古典美術をやっていたら美しいと感じるよ」

「古典美術…」

「僕、兼部しているんだ」

「兼部ですか…」

「そうそう、良かったら今度の部活動紹介で来る?」

「いえ、古典美術にあまり興味は無いので」


だって筋肉フェチになりたくないし。


「あぁ、そっかー。残念」


そう言い、残念がるその青年は遅れて自己紹介をする。


「あぁ、そういえば名前がまだだったね。僕はエイブラハム・ボーイング。高等科三年生だ」

「あっ、初めましてエイブラハム先輩」


これはびっくりまさかの三年生だった。するとエイブラハムは俺に聞いてくる。


「君は?」

「一昨日入学した、レオポルト・ウリヤノフです」

「レオポルト君ね、よろしく」

「よろしくお願いします」


そうして短い挨拶を終えると、時間が迫りつつあった。シャワーも含めるとここら辺で出て行った方がいい。


「では、自分はこれから授業ですので。失礼します」

「あぁ、また会おうね」


そう言い、レオポルトは先にジムを後にして行った。






====






三日目の登校だが、実質的に今日が初授業だ。午前中の内容は魔法歴史学に関する授業だった。


「では皆さん。自分のデバイスを取り出してください」


魔法学の教師にそう言われ、生徒は一斉に卓上に魔法発動のためのデバイスを取り出す。

各企業によって様々だが、大体十センチほどの棒で、ストラップ付きで棒にはボタンが付いている。ボタンを押して内部で使いたい魔法を連想すれば、デバイス内部の感応石が脳波に反応して魔法が発動できる仕組みだ。但し、魔法の明確なイメージがないと発動できない。その上、魔法陣が破綻すれば酷い時は自爆する恐ろしい技術だ。まぁ、安全機構があるから滅多にそんなことはないのだが。


俺は魔族の血も混ざっているので魔法に関しては幼い頃から問題なく使えた。と言うか、ドーラもそうだが色んな種族の血が混ざりすぎてもう訳わからんのだ。多分家系図を追ってったら泥沼に突っ込むレベルだ。まず祖父の代から全員種族が別々だし。最低でも四つの種族の血が混ざっているわけだ。そもそも純血なんて、旧大陸に住む一部のお貴族様しか居ないんだよ。




そしてデバイスを取り出した生徒に教師はこう言い放つ。


「それではデバイスの電子機器を机の端末に接続して下さい」


そう言い、教師が教卓のパネルを押すと教室のテーブルに一斉にキーボードと差し込み口が浮かび上がった。皆が驚く中、デバイスを飛び出たコードと連結するとホログラムに色々とデータが現れる。


「そこに映っているのは今まで皆さんが使ってきた魔法の使用履歴です。使用日時、使用魔法、使用場所。その全てがデバイスには記録され、事件事故などがあった際はその情報を元に捜査が行われます」

「「「おぉっ!!」」」


なるほど、全ての情報は筒抜けだから下手に魔法を使うなと言う警告ね。おぉ、怖。


「こんな機能があるんですね」


すると横でアニが少し驚きを持ちながら聞く。この様子じゃあ、基本的に彼女は工作機械以外はあまり得意じゃなさそうだな。


「犯罪抑止も兼ねているんだろうよ。魔法は痕跡を辿りやすいが、一発使った時の威力は大きいからな」

「なるほど…」


納得した様子で頷くと、教師は色々と解説をする。


「現在、みなさんの使う魔法は主に現代魔法と呼ばれる電子機器の作用で制御が可能な一品です。それらは主に新世界歴に新たに作られた魔導書や杖などをデジタル化し、ある程度の安全機構を持った魔法です。これらはごく一般的に使用される魔法であり、みなさんもよく使っている事でしょう」


すると教師は画面を動かし。使用履歴が映っていたホログラムを移動させ、次に教材を映す。


「そして、現在魔法よりも昔。…俗に旧世界歴と呼ばれる時代に使われていた魔法、一般的には古代魔法と呼ばれる魔法があります」


そして映し出されるは全体的に少し日焼けし、所々が虫食いにあった様子の魔導書の見開きだ。


「古代魔法は強力な反面、使用には時間がかかる魔法であり。現在ではほぼ使われなくなった魔法技術です。

そして、これら古代魔法は旧世界歴に起こった二百年戦争時にその伝承の殆どが消失し、現在では数えるほどしか伝承が残っていません。そして、現存する古代魔法を記した書物は大変希少な物であり、歴史的価値は非常に高いです」


そう説明を受け、生徒たちは古代魔法の魔導書に注目していた。伝承がほぼ失われている今、それはとんでもねえレア物だ。是非とも直接見てみたいものだろう。


「皆さんに映し出しているのはそんな残った古代魔法の内、防御魔法を記した物とされる魔法陣です」


そう解説すると、教師はそんな古代魔法にお熱の生徒に言う。


「古代魔法は基本的に何かしらの消耗品を使用します。大半は魔石や感応石でありますが、一部の古代魔法は賢者の石や精霊石などの希少物質を消耗する物もあります。古代魔力は威力が大きい反面、使用者の負担も大きいので、研究も慎重に行われています」


そして、古代魔法を電子化する研究が今では盛んに行われているそうだ。まぁ、しばらくは難しだろうと思いながらレオポルトはテーブルからデバイスを引っこ抜いた。


「旧世界歴は最も魔法が発展していた時代です。古代の魔導具などは強力な魔法陣などもあり、今でも一部現存する迷宮などにも多くの古代魔法が記された魔導書が眠っていると言う噂もあります。

もし、そう言った魔導書を見つけた場合は直ちに学校か、近くの役場に連絡を入れて下さい。そうすれば報奨金がたんまりと出ますよ」


そう言うと、単純な生徒達はやや興奮した様子で教師の話に食い入っていた。報奨金が出ると言うことはそれだけ古代魔法は国からしても喉から手が出るほど欲しいわけだ。


「報奨金か…」


絶賛金欠中の身としては見つけたらラッキー程度に思っておいた方が良さそうだな。

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