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転生勇者と転生魔王の未来目録  作者: Aa_おにぎり
一年生②

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32/35

#32

その日、レオポルトの姿はある場所にあった。


「でけぇ…」


思わずそう溢してしまいそうになる程、ここは大きかった。

今、彼がいるのはモルガン商工学園。学園都市の中では主に経済分野を扱う事を専門とした学校であり、学園自体が巨大なショッピングモールとなっていた。


学園最大にして国内最大級の広さを誇るこの学園は無い物は無いと言わせるほどの設備を兼ね備えており、中には学生が使える銀行も存在していた。

有名ブランドも出店しており、ショッピングモールと言うより百貨店と言ったほうが正しいかもしれない。


「百貨店でも足りないな…統合型リゾートじゃ無いのか?」


水族館や遊園地もある巨大な施設、確かに一日じゃ回れないデカさだ。下手すると一年でも回り切れるかどうか…。


「賭場まだあるのか…」


高校生がしていい事なのかとやや疑問に思う話だが、正直言うと夜の街系の店以外ならあると言うくらいだし、この賭場だって直接金に換金できない三店方式と言う法律の抜け道的な商売だった。


「えっと…買う物は…」


今日は適当に見て回るついでに幾つか私物を買うつもりで来たは良いものの…。


「これはあれだな。デカすぎてどこ行くか困る奴だ」


困惑の色を隠せぬまま彼は車を止めると、そのまま中に入っていく。




「ふむ…これはドーラが好きそうな場所だな」


入ってからの感想がまずこれだ。中には大勢の生徒や店が立ち並び、至る所で騒いでいた。


「昔じゃあ、考えられんな」


少なくとも、貴族と平民の格差が大きく。絶対王政の時代で育った経歴のあるレオポルトとしては改めて思うと酷い時代だったと思う。

あの時代、曲がりなりにも王族の血を引いていた自分は字の読み書きができるだけ十分な教育を受けたのだと思わざるを得なかった。そしてそのことに感謝もしていた。


「今じゃあ義務教育の時代だものな…」


魔導書専門店で氷系統の魔導書を開きながらそう溢すレオポルト。今ではこんな魔導書すら、国民全員が読める時代なのだから発展している。と言うより、魔導書がコピー機でこんな大量に生産される時代になったんだ。そりゃ電子化もされるわけだ。


「今度ドーラを連れてくるなら此処だな」


次に来店した時に紹介するならココだなと確信した後、店を後にしたレオポルトはそのまま次の店に向かう。

次はヘンリーの務めている銃器店だ。せっかくの幼馴染が勤めている店だ。ここに来たんだから顔を出さないわけにはいかないだろう。


「えっと?うわっ、まじか…」


そう思って銃器店の集まる武器屋街に訪れたわけだが、ここでも恐ろしい光景を見ていた。


「何店舗あるんだよ…」


そこには何店舗もある銃の店が並んでいた。

正規品を売る銃店もあるが、カスタムパーツも売る店もあり。その種類はさまざまだった。


「すげえな…」


流石は国内有数の統合型複合施設、必要なものは何でも揃うわけですかい。


「ええと、ヘンリーの店は…」


そこで前に教えてもらった店の名前を探すと、そこでその看板を下げる銃器カスタム店を見つけた。

正規の銃器メーカーも出店しており、教師担当の成人売場員が制服を着る生徒にセールスの心得を教えている姿も見受けられた。


「いらっしゃいませ」


店に入ると、そこで早速一人の生徒が近づいて挨拶をしてきた。

モルガン商工学園は御三家の中でも最も生徒数が多く、同級生の顔を全て覚えることなんて不可能だった。


「銃の新規購入でしょうか?それとも整備・改造でしょうか?」

「ああ、ヘンリーという店員を呼んでください」

「ヘンリーですね。少しお待ちください」


その生徒はそう答えると、店の奥に消えていく。どうやら、シフトにうまく噛み合っていたようだ。四つも兼部(掛け持ち)をしていると聞いている彼は銀行員に就職(入部)できたのかと想像していると、奥から制服を着たヘンリーが現れた。


「やあ、来てくれたのか」

「ああ、当然だろう?」


出てきた幼馴染にレオポルトは軽く挨拶をすると、そこでヘンリーは言う。


「ちょうど一昨日にネルも来たんだ」

「おっ、まじか」

「ああ、今度。僕も転職することになったからね」


そう言う彼の顔はとても良く、どこか晴れやかだった。その反応を見てレオポルトは察すると、驚いた目をした。


「お前…もしかして?」

「ああ、今度銀行員になれるのさ」

「おお、まじか!すげえじゃねえか」


まさかの念願が叶った報告にレオポルトは喜んでいると、ヘンリーもまんざらではない様子でのしかかったレオポルトにズレた眼鏡を直しながら言う。


「いや、この前の採用試験で無事に受かってね」

「いやぁ、よくやるよ。流石だな」

「そんな、レオほどじゃないよ」

「そう謙遜すんなよ。お前の悪い部分だ」


レオポルトはそう答えると、そんなヘンリーに話す。


「んじゃ、とりあえず就職祝いに今度何か食おうぜ」

「うん、そうだね」


ヘンリーはそう答えると、レオポルトに聞く。


「ところで、今日は来ただけかい?」

「あっ、そうだな…」


そこでレオポルトはしばし考えた後にせっかくの銃器店だからと、ヘンリーに注文を入れた。


「こいつの消音器をくれ」

「了解。少し待ってて」


そう答え、彼は店の奥に再び消えると戻ってきて消音器の入った小袋を持ってきた。


「はい、25ドラーね」

「はいよ」


そこで軽くカードで軽く支払いをする。

そして支払いを終えると簡単にヘンリーは慣れた手つきで梱包をした後にレオポルトに手渡す。


「毎度、ありがとうございました」

「じゃあな、また会おうぜ」


そう言い、ヘンリーと別れたレオポルトはそのまま初めてのモルガン商工学園を後にしていった。






====






翌日、学院の駐車場に一台の車が止まる。

レオポルトの自家用車(ダッジ・チャージャー)だ。彼は車で学校に乗り付けるとそのまま車の鍵をかける。


「やはり、車での通学は楽でいいな」


何より好きな時間に登校できるのが強みだ。これでバスの時間をいちいち気にしなくていいからな。

この車はカムチャルから中古で買った元パトカーの車両だ。だから中にはサイレンや無線機まで残っており、正直言うと塗装を変えて上のランプをとっぱらっただけの車だった。


「あれ?レオじゃねえか」

「?おお、ジャックか」


声のした方を見るとそこにはジャクソンが立っていた。そして彼のそばにはハーレー(WLA)が止まっており、彼の車なのかと推察できた。


「…そのバイクは?」

「ああ、俺のバイクさ。格好良いだろう?」

「ああ、そうだな」


無骨な見た目のエンジンが剥き出しになっている作りは嫌いじゃ無いと思っていると、ジャクソンはレオポルトの乗ってきた車を見た。


「へぇ、お前はこういうスポーツカーが好きなのか?」

「そうだな。こういうのは無骨で格好いい。特にエンジンが豪快に音を立てて走るのはたまらない」

「分かる。族みたいな音じゃなくて、純正の音いいよな」

「わかりみが深い」


そう話しながら校舎まで移動する二人。周りでは同じように生徒達が通学をしていた。


「それでさ、今日のそっちの授業はどうだ?」

「今日は合同の授業はないもんな」


学校のロッカー室で荷物を取り出しながら二人は今度は今日の授業の話をする。


「合同授業の時はだいたい実習だからいいよな」

「ああ、実習ほど楽しい授業もないしな」


レオポルトはそう言いながらロッカーから革鞄を取り出す。


「お?それ自作?」

「ああ、自信作さ」

「俺も組みたいんだがな…」


そう話しながら教室に移動すると、そこで反対側からいつもの二人が歩いてきていた。


「おっ!レオにジャックじゃん。おはよう」

「ああ、おはよう」


ヴァージニアがそう挨拶をすると、その横でアニも軽く会釈をした。


「おはようございます」

「おう。アニもな」


そこで四人は合流した後に教室の前の通路で話し出す。


「昨日モルガンに行ってきたんだよ」

「おっ、行ったのかあそこに」

「ああ、友人に会うついでにな」


レオポルトはそう言うと、ヴァージニアが興味ありげに聞いた。


「へぇ、どうだったの?」

「大きすぎて回りきれないなって思ったな。とにかく人がやばかった」

「そうなんですか」


そこで女子二人は納得した様子でレオポルトを見ていた。


「確かに、あそこは何でもあるからな」

「何でもあるからこそ、行き先に迷ったな」

「分かる」


ジャクソンの話ぶりにヴァージニアが気になった様子で聞いた。


「あんたは行ったことあるの?」

「ああ、部活の備品を買うために先輩とな」

「へぇ…あんた、買い物できるんだ」

「お前…」


やや青筋を立てるジャクソンにやや呆れてしまうレオポルトとアニ。


「ジニー、あんまり煽らない方がいいよ?後でどうなるか…」


そう心配したアニにヴァージニアはそれと言って危機感の無さげな様子で答える。


「いいのよ、どうせすぐ忘れる記憶だし」

「お前な…」


そんな彼女の答えにジャクソンも思わず呆れてしまうと、そこで授業が始まる前のブザー音が響いた。


「あっ、もうそんな時間?」

「んじゃ、教室に入りますか」


そう言い、四人はそのまま別れて教室に向かう。


「今日の授業は何だったかな…」

「えっとですね…確か一限目は数学だったと思います」


教室に入り、席に座った二人はそう話すと、レオポルトは少し嫌な様子を見せた。


「うわぁ、朝イチで数学か…」

「ふふっ、ガンバですね。レオくん」


そんなレオポルトにアニは少し微笑んで見ていた。

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