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転生勇者と転生魔王の未来目録  作者: Aa_おにぎり
一年生①

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21/35

#21

コンペンションホールの入り口に一発の銃声が響き、一瞬の間の後。発砲した男や他の配達員も驚愕した。


「なっ…!?」


放たれた銃弾はレオポルトの眉間の手前で完全に停止していたのだ。すると彼はすぐさま動いた。


「行けないぜ、戦場でよそ見ってのは」

「ぐほっ!?」


まずは一番手前にいた者を膝蹴りし、ノックアウト。


「はっ!!」

「うきゅっ?!」


次に二番目の男を左手で頭を抑えつけて地面に叩き落とす。


「最後…!!」

「えっ…?!?!」


最後に右ストレートで顔面を殴り飛ばしてチェックメイト。

レオポルトの周りには三人の配達員に扮した不審者の気絶体が出来上がった。


「こちら巡回12、コンペンションホール三番入口にて不審者確保。銃で武装している。至急応援を…」


その瞬間、コンペンションホール全体に衝撃が走った。


「何だっ!?」


その瞬間、無線越しに本部から連絡が入った。


『本部より各要員へ。侵入者発見!至急各要員は迎撃体制を取れ!敵はーー』


その瞬間、無線が雑音に包まれた。それを聞き、レオポルトは反射的に理解する。


「くそっ、相手も本気ってわけか…!!」


こんな無線妨害をして来る時点でだいぶおかしな話だ。無線をつけたまま、会場から慌てて出て来る生徒達に拡声魔法で怒鳴る。


「落ち着いて下さい!係員の避難に…」


音声で呼びかけるも意味は無く、次々と会場から生徒達が押し寄せて来る。


「不味いっ!このままだと将棋倒しになる!!」


完全に捌ききれないと思った時。彼らの上空に魔法陣が発生し、魔法が発動されると一斉に外に逃げようとした生徒達の騒然とした声は鎮静化した。

何事かと思うと拡声魔法で今度は別の方向から声が聞こえた。


『よく聞け!生徒諸君!!』


その声はシュライクであった。彼女の横にはデバイスを持った生徒が立っており、それで納得した。興奮抑制魔法を使用したのだと。


『今我々の校舎は攻撃を受けている!』


するとそこで横にエイブラハム先輩が現れた。


「レオくん」

「先輩!!」


合流した二人、するとエイブラハムはレオポルトに言う。


「移動しながら伝える。こっちに」

「はい」


そうしてシュライクに注目している人混みの中を進み、エイブラハムからレオポルトは聞く。


「現在、正面と裏口。そしてバスターミナルから襲撃だ。最も、これぐらいしか情報が無いが…」

「…」


話を聞き、時間が早いのもあるだろうが情報が無い事に幾分警戒度が増す。


「此処の生徒はどうしますか?」

「委員長が地下道を使って避難させるはずだ」

「成程…」

「無線が切れる前に委員長の命令で士官学校には連絡をした。間も無く応援が来るはずだ」


その瞬間、遠くで爆発音が聞こえた。


「っ!?」

「今から正門の応援に行く。着いてきてくれ」

「分かりました」


そうして二人は戦場と化したキャンパスを走り始めた。




学院の正門は地獄と化していた。


「くそっ!奴ら、どっから装甲車なんて持ち込みやがった!!」


その瞬間、影に隠れて接近して来るテロリストから砲撃が飛んできた。


「うおっ!?」


既に正門はボロボロ。幾つかから侵入をしたようで、攻撃は止むことはなかった。正直、学生証の堅牢な防壁魔法が展開されていなければこの砲撃でお釈迦だっただろう。


「げほっげほっ…くそっ!!」


蛆虫のように湧いて来るテロリストに射撃を加える。使用するのは非殺傷弾。人が目の前で死ぬのを避ける為に強烈な痛みを与えるだけの弾丸だ。


「まだこんなにいやがるのか…誰か!応援を…!!」


その瞬間、目の前にいたテロリストは一斉に上空から放たれた雷によって一斉に気絶して倒れた。


「一体何が…」


するとその生徒の前に一人の人物が降り立った。左手には短機関銃。右手には赤色のマチェテを持って仁王立ちで立っていた。


「…副委員長、付近の敵は一掃しました。これより掃討を開始します」

『オッケー、奥の装甲車は任せてくれ』

「了解」


学年カラーは緑の一年生。しかし、とても新入生とは思えぬ程戦闘というものに慣れ親しんでいる雰囲気が溢れていた。


「あ、ちょっと…!!」


そしてその生徒はこちらに目も向けずそのまま戦闘の起きている場所に向かって尋常じゃ無い速度で進んでいった。






====






各所で建物が揺れる中、地下通路でも警備員が走る。


「急げ!上のバスターミナルに侵入者だ!」

「増援はまだなのか!?」

「士官学校から部隊の出動を確認しました!!」


そう怒鳴りながらサーバールームの地下通路を走り抜けて行く警備員。その姿を見た後、ある一人の人影がサーバールームの通路を走り抜けていった。


幾重もの通路を抜け、同時に魔導鍵もマスターキーを使って開ける。そして巨大なサーバールームに入る。

此処にサーバールームは地下から汲み上げた水を使って冷却をしている影響で地下深くに設置されていた。太古には都市一つを囲う程の巨大な魔法陣が設置されていたとも言われており、此処には様々な書類が収容され、国家機密の魔法にもアクセスする事ができた。


そしてそこには古代魔法の研究データも残っており、古代魔法の研究に各国は何かに取り憑かれたように躍起になっていた。この学校でも古代魔法の研究は行われており、大学への進学の際に論文の題材にし易いからと人気のある部活でもあった。


此処の高校の大学への進学率は六割、つまり半分以上が大学へ進学する。大学院に行くのはもっと下がって三割。正直、今の自分では大学には行けない。


「あと少し…」


あと少しで、全てが終わる。


家族を取り返すにはこれしか無いから…。


差し込んだUSBを抜き、騒ぎの中をその人物は消えて行った。






====





「これで最後…!!」

「ぐはっ!?」


最後にマチェテを脳天に振り落とし、少しテロリストの身体に電流が走るとそのまま白目を剥いて最後のテロリストは倒れた。

彼の周りには気絶体となったテロリストが転がっており、まるで屍の山の上に立つ戦神のようであった。


「はぁ、疲れた…」


大きくため息を吐いて座り込んでしまうと、レオポルトは自分の手を見て先ほどの動きを思い返していた。


「(やはり全盛期のように上手くはいかないか…)」


自身の持つ能力と体力に思考が追い付いていないと感じていると無線でエイブラハムがレオポルトに賞賛の声を贈った。


『すごいね君、良くやってくれたよ』

「最初に装甲車をやってくれたおかげです。まさか奴ら、装甲車(AEC)を持って来るのは予想外でしたから」


それも近接支援用のMk.Ⅲだ。七五ミリ砲だからと真っ先に砲身を狙撃し、その後的確にエンジンを撃ち抜いたエイブラハム先輩はやはり戦闘力は高そうだ。おまけに糸目だが顔がイケメンだから女子人気もすごい。ただ…


「筋肉フェチじゃなきゃな…」


これでゲイに目覚めなけれがいいが…。

目覚めたら真っ先に襲われるのは自分だ…!!

途端に背中に液体窒素でも流れたような感覚になり、凍りつく。何としてもその未来だけは避けなければ…!!


「次の支援に向かいます。場所はどこですか?」

『裏口に回ってくれ。正門が片付いた今、次に戦力が多い。支援車両が向かうまで抑えてくれ』

「了解です」


無線を聞き、そのままレオポルトは跳躍魔法で一気に裏門に飛んで行く。




裏門でも激しい攻防戦は続いており、徐々に押されている印象であった。


「くそっ、奴らどっからこんなに人員を送ってきやがったんだよ!!」

「知らないわよ!兎に角、応援が来るまで遅滞戦術を…」


物陰に隠れて射撃をしていたジャクソンとヴァージニアはそれぞれ銃を持って射撃をしていた。そして撤退をしようとした瞬間。


ピシャァァアアアッ!!


轟音と閃光を持って目の前の視界が真っ白になり、視界が晴れるとそこには電撃を受けて気絶したテロリストの姿があった。


「一体何が…」


一撃で此処までの威力、そして味方との距離が近いにも拘らずの正確な射撃。これを出来るのは…。


「お前ら!無事か!?」


真横にレオポルトが飛んできて聞いてきた。あぁ、やっぱり彼だったか…。

片手に例の赤色のマチェテを持ち、もう片方には例のマシンピストルを持っていた。


「ああ、この通りな」

「こっちは無事よ」


二人はそう答えるとレオポルトも少しホッとした様子で武器を手に取った。


「正門はどうしたの?」

「かたずけて来た。もうじき軍が到着する頃合いだ」

「まじか、正門って確か装甲車が居た筈じゃあ?」

「先輩が破壊した。対物ライフルでな」

「す、すごいね…」


基本的に対人には使用されない対物ライフル。それの効果を遺憾無く発揮したのかと想像しながらヴァージニアは苦笑する。そう言えば、レオポルトを気に入っている先輩が確か持っていたな。多分あの人だろう。


「取り敢えずどうすれば?風紀委員さんよ」


ジャクソンが両手に自動小銃(M4カービン)を持って問いかける。なるほど、お前の武器は軍の装備と同じですかい。

そんな彼を見ながらレオポルトは懐から幾つかの野球ボールを取り出した。硬式ボールだ、まともに正面から喰らえば…。


「お前は銃よりもこっちの方が良いんじゃねえの?」

「おう、良さそうだ。ちと借りるぜ」


そう言い、レオポルトの考えを理解したジャクソンは片手に野球ボールを持つとそのまま棒立ちしていたテロリストの顔面に直撃し、そのまま気絶して倒れた。


「おっしゃ!命中!!」

「アンタほんとゴリラみたいな筋力ね…」


一撃でノックアウトした相手を見て苦笑しながら自動小銃(HK416)を抱えてヴァージニアは言う。『お前も似たようなものだぞ』とは言わなかったが、喉元まで出かかったぞ。


「オラオラオラオラッ!!」


そっから調子に乗って硬式ボールを投げまくるジャクソンはハンマー投げで鍛えた筋力をそのままぶつけて相手をボコボコにしていた。


「俺必要だった?」

「うーん、案外要らなかったかも」


そんな事を話しながらレオポルトがノリノリのジャクソンを見た。

周りでは銃を撃っている奴らばかりだと言うのに、ジャクソンだけは硬式ボールで投げ石の様にぶん投げていた。石じゃないだけまだマシだな…。石だったらもっと悲惨な事になっていただろう…南無三。

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