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転生勇者と転生魔王の未来目録  作者: Aa_おにぎり
一年生①

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10/34

#10

入学して一週間ほどが経った。

まだまだ時間割表は覚えたわけではないが、授業内容も分からないわけではない。

まだ始まったばかりだから何もいえないが、此処での授業は非常に充実している。今は基礎的な座学の授業ばかりだが、実技の授業も徐々にではあるが始まりつつあった。


「では、今日は刻印魔法の授業です。各々工具を持って手始めに点火魔法用の魔方陣を研磨しましょう」


実習室でそう話すのは魔法工学の教師だ。作るのは言ってしまうと小型の火打石。魔力を流すだけで火花が散るだけのものだ。どんな湿度でも確実に火花が散るのでキャンプ用品などでは必需品に入ってくる代物だ。


「感応石のグレードはⅢBくらいだな」

「ちょうど真ん中か」


渡された三センチ四方の感応石を見てジャクソンがルーペを使って素材の確認をする。今日は合同授業な為、こうしてヴァージニア達と同じ席に座っていた。すると、ジャクソンの横に座っていたヴァージニアが言う。


「あんたにそんな特技があったのが驚きだわ」

「まぁ、昔から目は良いからな」


そう言い、ジャクソンはやや自慢げに話す。だが、これは非常に有用なスキルだ。一眼見るだけで素材が分かればぼったくられる事も無い。詐欺に遭う確率も低くなるわけだ。


感応石や魔石の純度を示すグレードはⅠ〜Ⅴの五段階あり、それぞれにABCと更に細かく分けられていた。一番上はⅠAで、一番下はⅤCだ。ちなみに超レア物である精霊石と呼ばれる物は感応石と魔石のミックスで出来ており、どちらもグレードⅠAな上で高温高圧状態で混合しなければ生成はできなかった。


「この大きさで刻印魔法となると、ワキラーの五番が良いですね」

「点火魔法の魔法陣はこいつだ」

「うわっ、細かっ!!」


レオポルトが元々置いてあった点火魔法の刻印魔法に更にテイストを加えてより効率的に点火魔法が使える物に改造していた。正確に言うと魔力消費を徹底的に抑える改造だ。刻印魔法は細かければ細かいほど魔力伝導率も良いからな。おまけに刻印魔法を改造するなとも言われていないし。


「ジニー、魔導用はんだは使えるか?」

「え、えぇ…使えるけど…」


ヴァージニアは頷くと、レオポルトは軽く頷いた。


「よし、じゃあ最終的にはこの刻印魔法にはんだを流してくれ。そうすれば魔力消費はさらに抑えられる」

「ってかこんな発火具だけにそんな力入れる?」


苦笑するヴァージニアにレオポルトが反応する。


「何言うんだ。こう言う普段使いをする物だからこそ、長く使えて効率の良い物にしなくては」

「わーお、目が職人のそれだな」


そう言い、ジャクソンは笑うと全員がアニの言ったリューターを取り出し、感応石の板に刻印魔法を掘り始めた。






====






「終わったぁ〜!!」


実習が終わり、食堂に集まったヴァージニアがまず腕を伸ばす。レオポルトの出した改良型の刻印魔法を掘っていると、一番遅く提出することになってしまった。その事を例の一組の練習に嘲笑われてしまったが、先生は笑って許してくれた。最後にヴァージニアの指導の元、魔導用はんだを刻印した部分に注ぎ込んで魔導火打石は完成した。そして名前を書いて提出し、今は採点待ちだった。


「どのくらいの点数になるかなぁ」

「時間掛かっちまったからな。判定はどのくらい貰えるやら」


そう言って食堂で先ほど作った火打石の話で盛り上がっていると外では何やら準備が進められていた。


「お、何の準備だろう?」

「何かのお祭り?」

「さぁ?」


レオポルト以外の三人はそう口々に呟くと、食堂にとある集団が入って来た。


「新入生の部活動の宣伝に来ました!!」


そう言い、入って来たのはテニス部の先輩達だった。それを見て、レオポルトは納得する。


「そういえば明日から部活動勧誘だったな」

「あぁ、そう言えば明日からだったっけ?」

「何の部活にするか決めたか?」

「いえ、まだ私は…」

「だよなぁ…」


今日の放課後から始まる部活動勧誘。一般的な部活動も存在するが、魔学院には研究施設も多くあるため、研究所に所属できる部活動もある。そう言った部活は一般的にはゼミや設計局と呼ばれている。


「設計局とか良さそうだよな」

「うーん、私は体育会系がいいかな」

「俺もそっち系だな…」


四人はそれぞれおおよそ何処の部活に入るかを考えていると、レオポルトはふと声をかけられた。


「よっ、一週間ぶりだね。レオ君」

「あっ、エイブラハム先輩…!!」


食堂に現れたのはあのジムで出会ったエイブラハムであった。


「誰?」

「エイブラハム先輩だ。この前ジムで知り合ったんだよ」

「宜しくね〜」


彼は軽く挨拶を交わし、レオポルトを見つけると、少し手招きして言う。


「今から時間あるかい?」

「何でしょうか?」

「ちょっと勧誘」

「…古典美術部でしたらお断りしますよ?」

「大丈夫大丈夫、兼部している方のだから」

「…分かりました」


嘘は言ってなさそうだ。レオポルトは軽く頷くとエイブラハムの後を追いかけ始めた。






そう言えば兼部している部活って聞いていなかったな。

ふと、レオポルトは思う。現在、エイブラハムの後を追ってビルのエレベーターを待っている身だが、どんな部活だろうかと考える。


「乗ってね〜」


相変わらず軽い言い方だ。こっちが萎縮してしまう。高速エレベーターに乗り、二人は一気にビルを登っていく。


「どこまで行くんですか?」

「もうちょっとで着くよ」


そう言い、どんどん地面は遠ざかっていく。


サイエンスセンタービルは地上一〇五階まであり、屋上にはヘリポートがある。

地下五階から地上四〇階までは主に教室や職員室が設置され、その上は所々に機関室を挟んで会議室や宴会場。講演ホール、食堂売店。そして生徒専用の会員制クラブなどもある。

百階から最上階は展望階層であり、高さを売りとしたレストランや展望台があり、一般公開されている珍しい場所でもあった。

地下は一階が売店と食堂で、二階と三階はバスターミナル、四階はモノレール駅がある。その下は主にサーバールームであり、行く機会はほぼ無いだろう。


サイエンスセンタービルは学園都市で最も高い建物である為に通信塔の役割も持ち合わせていた。


「此処だよ〜」


そう言い、七〇階で止まったエレベーターからエイブラハムとレオポルトは降りる。止まった階を見てレオポルトは苦笑する。


「此処って…風紀委員会本部じゃないですか」


七〇階に本部を構えるあるその組織に苦笑してしまう。兼部って風紀委員会に兼部かよ!!


「前に言ったでしょう?仕事柄良く走るって」

「ええ、十分に納得ですよ」


そう答えるとエイブラハムはこちらに振り向きながら言う。


「レオポルト・ウリヤノフ君。今日は君を風紀委員会へスカウトしに来たよ」

「風紀委員会がスカウトですか…」

「此処は実力重視。実行力のある人間を欲するから、スカウトはよくある話だよ」

「一度会っただけじゃないですか…」

「良いんだよ。此処に入るのも入らないのも君の自由なんだし」


そう言い、風紀委員会本部の扉を開ける。


「エイブラハムです。レオポルト君を連れてきました」


そう言い、エイブラハムは陽気な声で呼びかけると部屋の奥のテーブルに座る一人の生徒が答える。


「ご苦労だった、副委員長」


その生徒こと、シュライク・アリサカ風紀委員会会長は堂々と椅子に座ったままこちらを見ていた。って言うかあんた副委員長だったの?


「副委員長っぽくないってよく言われるよ」


心を読んだ如くエイブラハムは言うと、飄々とした様子で立っていた。そんな彼を一瞬だけ見た後、シュライクは俺を見て言う。


「さて、君を風紀委員会にスカウトしようと思う。どうだね、やらないかい?」

「…幾つか質問をしても宜しいですか?」

「良かろう。許可する」


許可をもらい、レオポルトはシュライクに聞く。


「何故自分にスカウトを?」

「エイブラハムが選んだからだ」

「その割にはエイブラハム先輩に熱意は感じませんが…」

「あいつはいつもそんな感じだ」


そう言い、こんな場面だと言うのに部屋のソファーに堂々と座って置いてあるクッキーを口にしているエイブラハムを見た。やれやれと感じながらレオポルトは次の質問をする。


「私は設計局に入りたいと思っているのですが…」

「兼部をすれば良い。一年生でも兼部は可能だ」

「なるほど、理解しました…」


少し考えていると、シュライクはさらに情報を付け加える。


「風紀委員会に入ると色々とこちらで融通が利く。それそこ、技術局は人気な部活だが、優先して入ることが出来る」

「そうですか…わかりました。自分は風紀委員会に入りたいと思います」


そう言うと、どこかホッとした様子で机の引き出しからタブレットを取り出すと、電子ペンを渡す。

ペンを受け取って、タブレットにサインをするとエイブラハムが言う。


「いやはや、君が入ってくれて助かるよ」

「そうですか?」

「うんうん、カール・ウリヤノフさんの息子と知ってからは特にね〜」

「父を知っているので?」


そう聞くと、エイブラハムはクッキーを口に頬張りながら頷く。


「おん、カール・ウリヤノフは色々と伝説の人間だからねぇ〜」


そう言うとエイブラハムは教えてくれた、






父親の残した伝説の数々(黒歴史)を。






====






「おい!!出て来いクソ親父!!」


帰り際、電話越しに怒鳴り散らす。電話の向こうでは耳を塞いでいる様子のカールが言う。


『もっと静かにしろ。耳が痛いだろうが。キーンとして居るぞキーンと』

「五月蝿い!あんた学校で何しでかしてんだ!!」


周りの視線が気にならないくらいには頭に血が昇っている現状。話している内容から理解したのだろう、電話の奥で母が笑う声が聞こえる。すると、カールは言い訳じみた様子で答える。


『いやぁ、若気の至りって奴でな』

「夜中に女生徒の寮に侵入したり、ナンパに町に出かけたり、挙句の果てには監獄から脱走したりしてて何が若気の至りだ!!」


少なくとも校則違反フルコンボしている時点でだいぶイカれてんだろ。


『その代わりほら。大学は真面目に通っていたぞ』

「当たり前だ!大学でもおんなじ事をしていたら退学だろうよ!!」


ってかよく高校を追い出されなかったわ。寮は追い出されたと言うのに。通りで父さんが学校の事を話さなかった訳だ。


「いまだに学校の伝説としてからり継がれていたよ」

『おぉ、そうなのか』

「何でちょっと誇らしげなんだよ…」


レオポルトは電話越しでやや呆れてしまっていた。

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