第93話 結び/すれ違い
前回のあらすじ
察しの良い妹達
その後、色々とありつつもソロモンさん主催の結婚式をオーロラの街で挙げた。
いや……うん。純白のウエディングドレスを着たティアはすごく綺麗だった。
これをもう一度見られるなんて、僕はすごい幸せ者だ。
そして予定通りの日程で皇都に戻ってきて、関係者達にお土産を配っていく。
それは当然、レティシアも含まれているわけで―――。
◇◇◇◇◇
「はい、コレ。お土産」
「ありがとう」
いつも通り(?)、オルレアン商会の事務所でレティシアにお土産を渡す。
「それでどうだったの、新婚旅行は?」
「すごく充実してたよ」
「そう。それは良かったわ。……あ、そうだ。アルセーヌ君から――」
「えっ? 何でアルセーヌの名前が出てくるの?」
アルセーヌが学園を卒業した後の足跡は知らないし、唯一知っている事って言ったら、アルマがアルセーヌと一緒にいる事くらいだった。
だからこそ、レティシアの口からアルセーヌの名前が出てくるのか分からない。
そんな感情が顔に出ていたのか、レティシアは律儀に答えてくれた。
「彼とアルマさん、ウチの従業員なのよ。今は各地を飛び回ってて、商品の仕入れをしてくれてるのよ」
「そっか……それじゃあ運が良ければ、いつか会えるかな?」
「そうね。運が良ければね。そのアルセーヌ君から、結婚おめでとうっていう言葉を預かってたの」
「もしアルセーヌに会ったら、ありがとうって伝えておいてくれるかな?」
「分かったわ、伝えておくわね。……さて、話を変えましょうか。ジュリウス君とティアさんの結婚式のプランどうするの?」
「ああ、それなんだけどね……」
そう前置きして、あっちで挙式した事を伝え、出来ればあっちとは別の挙式をしたい事も伝える。
「なるほど……あれ? 結婚式って費用それなりに掛かるけど、二回も挙げられるほどお金あるの?」
「あっちの結婚式はソロモンさん……ティアの母親が全額負担してくれたんだよ。何でも、僕達への結婚祝いなんだってさ」
「……それでポンと結婚式をプレゼントするのは……まあ良いわ。参考程度に、どんな結婚式だったか教えてくれる?」
そう言われ、覚えている範囲で結婚式の内容を伝える。
話を真剣に聞くレティシアの眼差しは、商人のソレそのものだった。
「ふ〜む……なるほど。話を聞いた感じ、今提案出来る事が一つだけあるのよ」
「何?」
「ウエディングドレスは黒にしましょう」
「「黒?」」
ティアと声を揃えてそう聞き返すと、レティシアは頷く。
「ええ」
「何で?」
「白いウエディングドレスは『貴方色に染め上げて』とか『自身の純潔さ』とかを表してるけど、黒いウエディングドレスは『貴方以外の色には染まらない』とか『貴方を一途に愛する』とか言われてるのよ。まあ、うろ覚えなんだけどね」
「黒……黒か……」
少し想像してみる。
白いウエディングドレスも勿論綺麗だったけど、黒いウエディングドレスは……うん。
想像の範疇だけど、妖艶さの中に美しさもあってこれはこれで全然アリだ。
「……僕は良いと思うけど、ティアは?」
「う〜ん……ドレスの実物ってやっぱり無いよね?」
「いくつかあるにはあるけど、サイズとかが合わないかも」
「どんな風になるのか参考にしてみたいだけだから、別にサイズは合ってなくても大丈夫だよ?」
「そう。ならこっちに来て」
そう言われ、レティシアの後についていく。
案内された場所は、ウエディングドレスがいくつも並ぶ衣装部屋だった。
「う〜ん……まずはコレとかかな?」
レティシアはドレスを選び、それをティアの身体に合わせていく。
時々僕の意見も尋ねながら、ドレスを選んでいった―――。
◇◇◇◇◇
「……とうとう見つけたぞ」
そう呟き、眼下に広がる廃村を見下ろす。
色々と情報を集めた結果、あの廃村にスプリガンが潜んでいる事を突き止めた。
なら後はやる事は簡単だ。
スプリガンを消して、因縁に終止符を打つだけだ―――。
そろそろこの章にも終わりが見えてきました。
評価、ブックマークをしていただけると嬉しいです。




