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第80話 新婚旅行へ

前回のあらすじ

スプリガンの居所を聞き出した

 

 オリュンポス王国の使節団がニブルヘイム皇国に来てから一ヶ月。

 今日は、その使節団がこの国を去る日だった。


 その前に最後に一度だけ、アル兄さんと面会する。


「もうお別れか。寂しくなるね」

「ああ、そうだな。こちらも随分と世話になったからな。もし王国に来る機会があったら、その時は私が色々と面倒を見よう」

「うん、楽しみにしてるね」


 そう返し、アル兄さんと固い握手を交わした―――。




 ◇◇◇◇◇




 使節団を見送った後、僕達は通常業務へと戻っていく。

 いつも通りアーニャの執務室に行くと、何故かアーニャから話し掛けられた。


「ジュリウスさん、ティアさん。少しよろしいですか?」

「……? 何、アーニャ?」

「お二人は偽装ではなく、正式にご結婚されたんですよね?」

「えっと……うん」

「そうね……」


 ティアと顔を見合わせ、少し顔が赤くなりつつもそう答える。

 一応(?)直属の上司だから、僕達が結婚した事は伝えておいた。


「では挙式や、新婚旅行などは?」

「式は今、レティシアに相談中」


 オルレアン商会では結婚式のプランも販売しているらしく、その辺の事には疎いからレティシアとエドに色々と相談している最中だった。

 まあ、身内も呼ぶってなると、挙式まで少し時間が掛かりそうではあるけど……。


「新婚旅行は、両親に結婚の報告も兼ねてアースガルド帝国にしようか? ってジュリウスと話し合ってた所よ」


 今度は僕に代わり、ティアがそう答える。

 一応手紙でその辺りの事は報告していたけど、こういう事はやっぱり直接報告した方が良いと思う。

 だから旅行の方は、一旦落ち着いたら行こうか? って話し合っていた。


「そうですか……では、三ヶ月程で良いですか?」

「……? 三ヶ月? 何が?」

「新婚旅行の休暇ですけど?」


 何で聞き返すんですか? とでも言いたげな表情で、アーニャは首を傾げる。


「えっ? そんなに貰っちゃって大丈夫なの?」

「コレが普通ですよ? 最短でも一ヶ月で、最長で半年ですから」

「……馬鹿なの?」

「臣下に幸福を享受して貰うのも皇族の務めですから。その辺りは福利厚生にしっかりと組み込んでいますわ」


 最初ここに来た時、臣下の人々の皇族への忠誠心が妙に高いなぁ……と疑問に思っていたけど、そういう事だったのか。

 臣下をただの駒としてではなく、一人のニンゲンとして扱うのは王族としては珍しいと思う。個人的な感想にはなっちゃうけど。


「どうする、ティア?」

「ここはアーニャの言葉に甘えちゃわない? 別に悪い話じゃないし。それに、久しぶりに両親の顔も見たいしね」

「それもそうだね。……分かった。それじゃあ遠慮無く」

「分かりました。では新婚旅行休暇は来週からで良いですか? 仕事の引き継ぎなどもしないといけませんし」

「あ、そうだよ。アーニャの補佐役はどうするのさ?」

「イヴァン君に手伝って貰いますわ。あとは女性の方ですが……その辺りはイヴァン君と相談するので大丈夫ですわ」


 アーニャは基本的に「さん」付けで人の名前を呼ぶけど、身内にだけは「君」「ちゃん」付けで名前を呼んでいた。

 まあ、両親の事を「パパ」「ママ」と呼んでいるからか、妙な親近感が湧いた国民からの人気も高かった。


「なら大丈夫、かな?」

「ええ。ですので思う存分羽を伸ばして来て下さい」

「うん、分かった」

「ありがとうね、アーニャ」


 ティアと一緒にそう言い、アーニャの心遣いに感謝した―――。




 ◇◇◇◇◇




 一週間後。

 お互いの家へのお土産も買い、長距離移動用の乗り合い馬車に乗り込む。


 ここからアースガルド帝国までは、一度アルヴヘイム連邦の国々を経由しなければ辿り着けない。

 片道だけでも大体一ヶ月くらいは掛かってしまう。

 しかも今は冬の時期だから、街道は雪に覆われて思ったほど進めない……普通なら。


 そこは流石雪国で、雪が積もっている期間だけは馬車を馬には引かせずに、寒冷耐性の高いスノードラゴンと言う魔物を使役してアルヴヘイム連邦領内まで馬車を抱えて飛んで行く。

 最早馬車と言うよりも竜車だ。


 その馬車、もとい竜車に乗り込むと、僕達の他にも何人か人がいた。

 ティアと並んで座ると、僕の隣に座るおじさんが声を掛けてきた。


「もし。お二人は若いようですが、どう言った目的で?」

「新婚旅行のついでに、お互いの両親に挨拶をしようかと」

「おや、新婚さんでしたか。これはめでたい。おめでとうございます」

「ありがとうございます」


 こうやって結婚を祝われるのは、少し気恥ずかしくも感じるけど嬉しいという気持ちの方が勝る。

 チラリとティアの方を見ると、ティアも嬉しさを抑え切れていないニヤニヤとした笑みを浮かべていた。


「そろそろ出発しますので、馬車の揺れにご注意下さい」


 外から御者からの声が掛けられ、僕達は姿勢を正す。

 すると少しして、馬車を浮遊感が包み込む。

 もしかしなくても、ドラゴンが飛行を始めたのだろう。

 それからしばらく、空の旅を楽しんだ―――。






カストール&ポルクスで出来なかった新婚旅行を、ジュリウス&ティアでやっていきます。




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