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第78話 デート

前回のあらすじ

アルセーヌ再登場

 

 翌日。

 約束通り、レティシアが店長を務めるオルレアン商会の店へと向かう。


 今日はいつもよりも暖かいけど、僕達は手を繋いで、ティアの方からは僕の腕に抱き着いて歩いていた。

 道行く人々からは温かい視線が送られてる気がしないでもないけど……きっと気のせいだろう。


 なんて思っている間に、店に辿り着いた。

 店内に人影はチラホラとあり、人気が衰えていない事が窺える。

 取り敢えず今回の目的である、ティアの寝間着を買うためにそれらが陳列してある棚へと向かう。


 色々と種類がある中、ティアが一つ一つじっくりと観察しながら吟味していく。

 するとここの女性店員が、僕達に声を掛けてきた。


「いらっしゃいませ。何かお決まりですか?」

「う〜んと……彼女に合う寝間着を探してるんですけど、オススメとかってありますか?」

「それではこちらなど如何でしょうか?」


 そう言って店員が手に取ったのは、もこもこの寝間着だった。

 デザインはティアが今まで着ていた物に似ている。

 もしかしたら、デザイナーが同じなのかもしれない。


「試着って出来ますか?」

「はい。こちらにどうぞ」


 僕達はそのまま、店員に試着室まで案内される。

 ティアは商品を片手にブースの一つに入ると、シャッとカーテンを閉じる。


 試着室にはベンチがいくつか並んであり、その一つに腰掛けてティアが出てくるのを待つ。

 ただ着替えるだけだったからか、ティアはすぐに出て来た。


「ジュリウス、どう?」

「うん、似合ってるよ」

「そう? わたしもこのデザイン凄く可愛くて気に入ったから、コレにしようかなぁ?」

「ではご購入なさいますか?」

「はい。コレでお願いします」

「畏まりました」


 店員はニコニコと笑みを浮かべ、頭を下げる。

 ティアは再び着替え、商品を手にレジに並ぶ。

 もちろん支払いは僕がして、ティアが商品の入った紙袋を受け取る。

 それから店を後にするけど、ティアは何処かご機嫌な様子だった。


「ティア。せっかくだし何処かでお茶でもしない?」

「うん、良いよ。お店はジュリウスに任せるね?」

「任された」

「うん? ジュリウス殿にティア殿か?」


 後ろから名前を呼ばれ、振り向く。

 そこにはアッシュブロンドの髪をした、僕達よりもやや年上の青年がいた。


 彼の名前はイヴァンさんで、宰相の補佐官の一人だった。

 そして――アーニャの婚約者でもあった。


 一国の皇女の婚約者に抜擢されるだけあってとても優秀な人物で、次期宰相に任命される事は既に決まっている。

 まあ、この国の皇族の婚姻関係的には、そうならないとおかしいんだけど……。


 後、魔法や魔術―特に雷系―の腕も現役の魔術師団の魔術師達にも劣らない腕前で、噂では歴代最強と名高い現魔術師団長と互角の実力らしい。


 噂の真偽を確かめようとアーニャに一度尋ねた事があったけど、その時の彼女の返答が「ご想像にお任せしますわ。うふふ……」ととびきりの笑顔で言われた。


 そういう噂があるからか、一部では『雷帝』と言う異名で呼ばれてもいた。


 閑話休題。

 イヴァンさんは今日は非番じゃないハズだから、こんな(?)街中にいるのはおかしい。

 だから尋ねずにはいられなかった。


「イヴァンさん、どうしてここに? 今日は非番じゃないハズでは?」

「気分転換に少し散歩をな」

「散歩……」


 そう呟き、城がある方を見る。

 少なくとも、散歩で訪れるような距離ではなかった。


「まあ散歩と言うのは理由の半分で、本当はアーニャに少し買い出しを頼まれてな」

「買い出し? 何をですか?」

「オルレアン商会でしか販売していない茶葉らしい。コレがメモだ」


 そう言い、茶葉の銘柄が書かれたメモ用紙を僕達に見せてくる。

 確かにその銘柄は商会でしか手に入らないし、最近執務室で良く淹れていた物でもあった。

 どうやらアーニャはその銘柄が気に入ったらしい。


「なるほど……確かにその銘柄は、商会にしかありませんね」

「やはりそうか……っと、立ち話をしている余裕は無かったな。アーニャを待たせる訳にもいかんし、それにジュリウス殿達はどうやらデート中だったみたいだしな? それでは、また」

「あ、はい」


 にこやかな笑みを浮かべて立ち去るイヴァンさんに、僕はそう返す事しか出来なかった。

 やっぱり次期宰相に任命されるだけあって、洞察力も優れているみたいだった。


「……さて、と。僕達も行こうか」

「うん」


 腕に抱き着くティアを伴って、僕は良く行く喫茶店がある方向へと歩いて行った―――。






ここに来ての新キャラ登場です。




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