第72話 同級生と再会
前回のあらすじ
ポセイドンに罰が下された
アルヘナお兄ちゃんから聞かされたポセイドン殿下の顛末は、その、何て言うか……うん。
大変だったんだなぁ……と言う感想しか出てこなかった。
「その……うん。そっか……」
「それしか言葉が無いのか、カストール?」
「いや。だって反応に困るし」
「確かにな」
「まあ良いや。話を変えよう。もしかしたらニブルヘイム皇国でジュリウスと会うかもしれないから、その時はよろしく」
「ああ。俺も会うのは楽しみだからな。任せてくれ」
「あ、そうだ。ワサト達って元気なの?」
「そうだな。ワサト君とクリュネは……」
それからわたし達は、他愛ない会話に華を咲かせた―――。
◇◇◇◇◇
今日は仕事が休みで、散歩がてら大通りを歩いていると、何だか騒がしい一角を目の当たりにした。
そちらに足を向けると、開店準備をしていると思われる店と店員とおぼしき人達の姿があった。
ここの店は前まで空き店舗だったから、新しい店が入ったのだろう。
「店長! これは何処に運べば?」
「それはあっちにお願い。……あ、それはそっちで」
「店長、これは?」
「それは、そうね……一旦中に置いておいて」
すると、聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
まさかなと思いつつもそちらに目を向けると、髪型は多少変わりつつも僕の良く知る人物――レティシアの姿がそこにあった。
あっちは僕に気付いていないようだから、僕の方から声を掛ける。懐かしい肩書きと一緒に。
「委員長」
「委員長じゃなくて店長……って、あれ? ジュリウス君?」
「久しぶり。三年ぶりくらい?」
「そうだね」
「さっき店長って呼ばれてたみたいだけど……」
「あ、そうだね。改めて……オルレアン商会フェルゲルミル支店支店長のレティシア・オルレアンです。よろしくね?」
「支店長……その若さで?」
支店長って普通、それなりのキャリアを積んだ人に任せられる役職のハズだ。
まだ二十才かそこらの人に任せるような……あ、もしかして?
「うん。パ……父から、少しでも経験を積めるようにって、新しくニブルヘイム皇国に出店したこの店を任されたの」
「そっか」
やっぱり僕の予想通りだった。
すると今度は、レティシアの方から尋ねてくる。
「そういうジュリウス君は? 何でここにいるの?」
「ティアと一緒にアーニャに側近として雇われてね。今日は休みだったから散歩してただけ」
「えっ? ティアさんもいるの?」
「うん。今は家にいるけどね」
「……もしかして、同棲してたりする?」
「……? うん」
「まさか結婚とか……」
「それこそまさかだよ。僕もティアも結婚はしてないよ」
「そうなんだ。……まあ良いや。改めて開店したら、是非お店に来てね。元同級生だからって、特別に値引きとかはしないけどね」
「あはは……分かったよ。その時はティアと一緒に来るね」
商人らしい事を言うレティシアに苦笑いしながら、僕は彼女と別れた―――。
◇◇◇◇◇
「えっ? 委員長が?」
「うん」
家に帰ってお昼ご飯を食べている最中、レティシアと再会した事をティアに伝える。
今日のお昼ご飯はシンプルにミートソーススパゲッティだ。
「そっかぁ……一度遊びに行きたいなぁ」
「開店したら行けば良いんじゃない?」
「何時開店するの?」
「あ……そう言えば聞かなかったな……」
「まあ良いや。どうせいつか分かるし」
「そうだね……うん?」
「……? どうかした? 味変だった?」
「いや、いつも通り美味いよ」
そう答え、フォークを進める。
あの時、レティシアの左手の薬指に指輪が填められていたような……?
◇◇◇◇◇
「レティ」
「エド……ああっ!?」
ジュリウス君と別れた後、エドに声を掛けられた事で彼の事を伝え忘れた事を思い出した。
そんな事なんて知らないエドは、首を傾げる。
「……? どうかしたのか?」
「ううん、何でも。同級生に会ったけど、エドの事伝え忘れたなぁって思い出して」
「伝え忘れるって……そんな事あるのか?」
「あはは……まさかこんな所で再会するとは思わなくてね」
「今度はちゃんと紹介してくれよ?」
「うん、分かってるよ」
彼の名前はエドモンド。
旧姓はノーティスで、私の夫だった―――。
既婚者となっていたレティシア。
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