第56話 模擬戦/レティシアVSオリバー&ティア
前回のあらすじ
アナスタシアが模擬戦をした
二番手の私はフィールドに上がり、オリバー君と対峙する。
オリバー君の使う魔法はルーン魔法だっていうのは、ジュリウス君から予め聞かされていた。
ああいう魔法を使う相手に戦いの主導権を握らせてはいけないから、先手はこっちが取らせてもらう。
「《ホーリーフレイム》!」
いくつかの火球を生み出し、それらをオリバー君に向かって放つ。
私の魔法は神聖魔法と言う物で、魔法を貫通すると言った特性を持っている。
ただ、防具や魔術による防御までは貫通出来ないから、どちらかと言うと相手に魔法を使わせないようにするための魔法だと思っている。
だと言うのに……。
「《タイダロス》!」
オリバー君は魔法で反撃してきた。
私の放った火球は、オリバー君が生み出した大波に呑み込まれ、蒸発する。
私の魔法はどんな魔法でも貫通するのに……。
「オリバーも容赦無いね」
「ちょっ……知ってるの、ジュリウス君!」
何かアドバイスが貰えるかと思い、《ホーリーシールド》で大波を防ぎつつ彼に尋ねる。
神聖魔法が魔法を貫通する性質を逆手に取り、防御手段に使う事で魔法を受け流す事が出来ていた。
……って、あれ? 防げてる?
「教えても良いけど、自分でルーン魔法の特性を探してみなよ。オリバーとの戦いが終わったら答え合わせしてあげるからさ」
「〜〜〜っ!」
ティアさん達とのやり取りを遠巻きに見てた時から薄々感じてはいたけど、ジュリウス君は少し性格が悪い気がする。
だから仕方なく、攻略方法を考える。
ルーン魔法がこっちの魔法の特性を無視してるのか、それとも何らかの手段で対策してるのか分からないけど、それならそれらを無視出来る魔法で真正面から打ち破るしかない。
大波が止んだ所で、私は反撃に移る。
「《ホーリーブラスト》!」
極太の一条の光の帯が、オリバー君に向かって飛んで行く。
オリバー君はそこでようやく剣を抜き、盾のように構える。
おそらく私の魔法を防ぐつもりなのだろうけど……そんなに甘くはない。
オリバー君は剣一本で光の帯を防ぐけど、その威力に押されてどんどんと後退していく。
そして踏ん張る事も出来ずに、フィールドの外へと押し出されて行った。
私は息を吐きつつ、後ろを振り向いてジュリウス君に尋ねる。
「ふぅ〜……で? どういう理屈だったの?」
「ルーン魔法ってデフォルトで、一度だけ相手の魔法特性を無視する特性を持ってるんだ。だから委員長の神聖魔法の火球だけは打ち消してたでしょ?」
「ああ、そういう事」
だから《ホーリーシールド》でオリバー君のルーン魔法を防げていたんだ。納得。
「そろそろ良いかしら?」
振り向くと、ティアさんがフィールドに上がっていた。
私は気を引き締め直して、今度はティアさんに向かって魔法を発動した―――。
◇◇◇◇◇
委員長の魔法は確かに、それ単体で見たら確かに脅威的だった。
でもそれだけだ。対抗策が無いわけじゃない。
「《ホーリーブラスト》!」
さっきも見た光の帯が、わたしに向かって飛んで来る。
それを横に大きく跳ぶ事で回避する。
そしてそのまま反撃に移る。
「【雷の矢】、《サンダーアロー》!」
右手の人差し指と中指を揃えて委員長の方に向け、指先から矢の形をした雷が放たれる。
わたしはお母さんみたいに無詠唱で魔術は発動出来ないけど、二節、もしくは一節で発動する事は出来る。
お母さんによれば、わたしの年でそんな事が出来るのはすごく珍しいらしい。
「くっ……!」
委員長は何とか紙一重で回避したようだけど、体勢を大きく崩していた。
チャンスと見て、一気に畳み掛ける。
「《シルフィード》!」
お母さんと同じ召喚魔法を発動させて、エメラルドグリーンの羽毛に覆われた大きな鳥を呼び出す。
お母さんの召喚魔法と違う点は、お母さんのが異世界の魔人を呼び出すのに対して、わたしのは異世界の精霊を呼び出す点だ。
シルフィードは翼を羽ばたかせ、突風を巻き起こす。
委員長は姿勢を低くして少し耐えてはいたけど、それもすぐに崩される。
ふわっと浮き上がった委員長は、そのままフィールド外へと吹き飛ばされる。
そしてジュリウスの方に向かって飛んで行き、ジュリウスは創砕魔法でクッションを生み出して委員長を受け止めていた。
「お疲れ様、委員長。ゆっくり休んでて」
「うん、ありがとう」
そう言葉を交わした後、とうとうジュリウスがフィールドの上に上がって来た―――。
次回は幼馴染同士の対決になります。
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