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第55話 模擬戦/アナスタシアVSアルマ

前回のあらすじ

模擬戦をしよう

 

 対抗戦のルールはとてもシンプルで、百メートル四方の特設フィールド―今回は本番さながらに僕が創砕魔法で創った―からどんな手を使ってでも相手を押し出すか、相手が降参すれば勝ちとなる。


 その本番を模したフィールドで今、アルマとアーニャは向かい合っていた―――。




 ◇◇◇◇◇




 アルマさんは背中から身の丈ほどもある大剣を引き抜いて、正中に構えます。

 ちなみにわたくし達は運動着を着用しているので、服が汚れる心配をしなくて良いのは助かります。


 わたくしは武器と言う武器を持っていないので、素手のまま構えます。

 その代わり、わたくしの唯一の武器と言っても良い召喚魔法を総動員するつもりではありますが……。


「いつでも掛かって来て良いッスよ」

「では遠慮無く……《スノーホワイト》!」


 わたくしが召喚したスノーホワイト……白雪姫は、非戦闘時は人形のような大きさですが、戦闘時はわたくしと同じくらいの大きさになります。

 そして白雪姫の足下には、彼女が使役する七人の小人がそれぞれ武器を構えて控えていました。


 白雪姫が手をゆるりと手を挙げると、小人達は一斉にアルマさんの方へと突撃して行きます。

 アルマさんはと言うと……。


「《エンチャント:ストロングエッジ》!」


 彼女自身の魔法である付与魔法を、自身の大剣に掛けていきます。

 そして柄を両手で握りおもいっきり横に振ると、一番先に彼女に接近していた槍を持った小人に剣の腹の部分が当たり、ものすごい勢いで修練場の壁へと吹き飛んで行きました。


「えっ……?」


 その状況に、わたくしは驚きを隠せませんでした。

 小人の姿とは言っても、小さな子供くらいの重さはあります。

 それをいとも簡単に、ボールを打ち返すような軽い動作だけで……ああ、そういう事ですか。


 おそらく、アルマさんが先程大剣に掛けた付与魔法で大剣の攻撃力を強化したのでしょう。

 そうで無ければ説明が付きません。


 そんな事を考えている内に、アルマさんは小人の数を残り二人にまで減らしていました。

 残っている小人達もアルマさんを脅威だと感じているのか、怖じ気付いて攻撃を仕掛けようとしません。


 なので、新しく呼び出します。


「《レッドフード》!」


 新しくレッドフード……赤ずきんが、大きな狼と共に現れます。

 赤ずきんは狼の背中に乗ると、狼の疾走に合わせて背中に背負った弓矢を構えます。

 そして雨のように矢を放ちます――が、アルマさんは大剣を盾にして危なげ無く防ぎます。


 それがアルマさんの大きな隙でした。

 白雪姫が転がしたリンゴがアルマさんの足下まで辿り着くと、大きな爆発を巻き起こしました。


 その爆風はわたくしを白雪姫が守ってくれていたので大丈夫でしたが、至近距離から受けたアルマさんは――フィールドの外へとゴロゴロと転がって行きました。

 自分で指示しておいて何ですが、アルマさんは大丈夫でしょうか?


 そう思ったのは杞憂でした。

 アルマさんはガバッと上半身を起こすと、ふるふると頭を左右に振ります。


「はぁ〜、ビックリしたッスよ〜。突然爆発するんスから」

「……結構な爆発だったと思うんだけど?」

「爆発は大きかったッスけど、威力はそうでも無かったッスよ?」

「見掛け倒しって事?」

「そうッスね」


 アルマさんはパンパンと膝に着いた土を叩き落としつつ、ティアさんとそう言葉を交わしていました。

 流石のわたくしでも、友人を爆殺する気は微塵もありません。


 わたくしとアルマさんの模擬戦は、わたくしに軍配が挙がったと見ても良いでしょう。

 となると、次の対戦相手は……。


「次は俺の番か」


 オリバーさんはそう言い、ジュリウスさんが創って下さった特設フィールドに上がってきます。

 オリバーさんは左腰に剣を携えておりますが……抜く気配が感じ取れません。


「あら、オリバーさん? 剣は抜かなくてもよろしいのですか?」

「ああ、大丈夫だ。すぐに終わるからな」

「……? それはどういう……」


 オリバーさんの真意を図りかねていると、オリバーさんは右手をわたくしの方に向けてきます。

 それが魔術、もしくは魔法を発動するための動作だと気付いた時にはもう手遅れでした。


「《テンペスト》!」


 猛烈な暴風が吹き荒れ、わたくしの足は地面から離れてしまいました。

 そしてそのまま、場外まで吹き飛ばされます。

 ただ……吹き飛ばされた方向が良くなかったです。

 わたくしの身体は、修練場の壁に向かって飛んでいました。


 訪れるであろう衝撃に備えようとぎゅっと目を瞑ると、思ったほどの衝撃はありませんでした。

 恐る恐る目を開けると、ジュリウスさんがわたくしと壁の間に割って入る事でクッションの役割を果たしてくれていました。

 後、何故かわたくしは横抱きの姿勢でジュリウスさんに抱き抱えられていました。


「いつつ……大丈夫?」

「あ……はい! だだだ大丈夫です!」

「そう。なら良かった」


 ジュリウスさんはそう言うと、わたくしを優しく降ろしてくれました。


「ふぅ〜……それじゃあ委員長。次お願い」

「分かったわ」


 ジュリウスさんはレティシアさんと言葉を交わしつつ、わたくしの傍から離れていきます。

 その背中を、わたくしは今まで感じた事の無い胸の高鳴りと共にただ見つめる事しか出来ませんでした―――。






おやおやぁ? (ニヤニヤ)




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