第54話 模擬戦/準備
前回のあらすじ
去年のクラスメイトと話した
次の日の放課後。
三つある修練場の一つを借りて、僕は委員長とアーニャ、それとある事を手伝ってもらうためにティア達に集まってもらった。
今日ここに集まったのは、取り敢えずどういう順番で戦っていくのかを決めようと思ったからだ。
対抗戦は勝ち抜き方式の総当たり戦で、先に相手のクラスの大将を倒せば勝利、それを一学年四クラスあるから、三戦する事になる。
理論上、先鋒一人だけが他のクラスの代表全員を倒せば、それだけで優勝出来てしまう。だけどそれは現実的では無い。
だから、誰が何処のポジションに着くのかが重要となってくる。
「ジュリウス君は大将で決まりね」
「そうですね。異論はございません」
なのに、また僕の意思に関わらず勝手に決められていた。
これには流石に反論せざるを得ない。
「ちょっと待って。何で僕が大将役なのさ?」
「そりゃあ、最大戦力だからよ。ジュリウス君に敵う相手なんて、たぶんティアさんくらいよ? 実際去年がそうだったし」
「昨夜、ジュリウスさんの去年の活躍をティアさんとアルマさんから伺いました。ジュリウスさんと言う最大戦力が後ろに控えていれば、わたくし達も安心して戦う事が出来ますわ」
「……本当に勝ちに行くなら、僕を先鋒に置くべきじゃないのかな?」
そう指摘すると、傍で聞いていたティアが口を挟んでくる。
「ジュリウス、委員長達に戦うなって言いたいの?」
「そうは言って……って、僕が全勝する前提で話してる?」
「そうだけど? それに、それを可能とするだけの魔法を持ってるじゃない」
「先鋒が全員倒すとか、現実的じゃないでしょ」
「出来ない、とは言わないのね?」
「出来るか出来ないかで言ったら、まあ……出来るとは思うよ」
アルの本気を考慮しなければ、という前提条件が加わるが……。
そんな僕の考えを知ってか知らずか、ティアは肩を竦める。
「ほら、出来ちゃうじゃない。ならジュリウスの出番を後ろにしておけば、委員長達もきちんと対抗戦に参加出来るでしょ?」
「ジュリウスさん。大将をお願いしてもよろしいですか?」
「……やらないとは一言も言ってないよ」
狙ってか無意識か分からないけど、アーニャの上目遣いは中々の威力があった。
だから僕は、そっぽを向きつつそう答える。
「決まりね。後は先鋒と中堅だけど……アーニャさん、希望とかある?」
「どちらでも。ですがもし我が儘を言っても良いのでしたら、先鋒を希望したいですわ。初めて参加する学園行事と言う事もあるので、少しでも長く楽しみたいなぁ……と思いまして……」
「なら先鋒はアーニャさんで。私は中堅ね」
「ありがとうございます」
「決まったね。……それじゃあ、ティア、アルマ、オリバー。よろしく頼むよ」
そう言うと、三人は僕達から離れる。
アーニャ達には、三人には模擬戦の相手を務めてもらう事を予め伝えていた。
だから今伝えるのは、簡単なルール説明だった。
「一応、本番と同じルールで戦うようにとは三人に伝えてあるから、そのつもりで」
「分かりましたわ」
「……本当に? 対抗戦のルールは知ってるのか?」
「ええ。ティアさんに教えて頂いたので」
「なら大丈夫かな。……あっちの準備も出来たみたいだね」
ティア達の方を見ると、ティアとオリバーは後ろに下がり、アルマが前に出て来ていた。
僕は委員長と後ろに下がる前に一言、アーニャに声を掛ける。
「頑張って」
「あ……はい!」
アーニャは笑みを浮かべた後、真剣な眼差しを浮かべてアルマと向かい合う。
遅れて委員長の所に向かうと、何でかニヤニヤとした笑みを浮かべていた。
「何……?」
「ううん? アーニャさんと何話してたのかなぁ〜って思って」
「話すも何も、激励を送っただけだよ」
「それだけ?」
「それだけ」
「なぁ〜んだ、つまんないの〜」
僕の答えが気に入らなかったのか、委員長は不貞腐れたように頬を膨らませる。
「つまんないって……別に楽しませるような事はしてないけど?」
「だってジュリウス君とアーニャさん、とてもお似合いなんだもの。それにアーニャさんはジュリウス君に対してだけ、普段よりも笑顔見せてるような気もするし。だから二人は付き合ってるんじゃないのか? って、ウチのクラスで話題になってるのよ」
「僕はアーニャとは付き合って無いし、誤解だよ。いったい誰なんだ、そんな噂流したの?」
「私です」
「委員長か……」
見た目とは裏腹に年頃の女の子らしい噂を流した張本人を前に、僕は溜め息を吐いた。
僕達がそうしている内に、アルマとアーニャの模擬戦が始まった―――。
次回、アルマ達の魔法が登場します。
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