第53話 かつてのクラスメイト
前回のあらすじ
学年別クラス対抗戦の代表を決めた
その日の夜、男子寮の食堂。
オリバーと向かい合って夜ご飯―今日のメニューはハンバーグだった―を食べていると、僕の隣に見知った奴が腰掛ける。
「やあ、ジュリウス。浮かない顔をしてるな」
「アルか」
彼の名はアルセーヌ。
一年生の時に同じクラスだった奴で、今年は別々のクラスに別れていた。確か……Bクラスだったハズだ。
アルとは去年の対抗戦でクラス代表に選出され、その時に仲良くなり友人関係となった。
名前がちょっと長いから、僕は「アル」と呼んでいた。
「恋煩い……って言う訳でも無いか」
「そっちの方が百倍マシだよ」
「なら……対抗戦の代表に選ばれたとかか?」
「そうだよ」
「おや、的中……」
とは言いつつも、予想外と言う表情は浮かべてはいなかった。
「僕としては、もう二度と出たくないんだけどなぁ……」
「仕方無かろう。ジュリウスの魔法は強力無比なのだから。俺が同じクラスだったとしても、ジュリウスは推薦していた」
「だとしても、去年は……」
「うん? ああ、アレか。流石にアレは俺も笑ったぞ」
アルの言うアレ。
それは――上級生・同級生問わず、僕に告白してくる女子が山のように押し掛けた事件があった。
まあ、対抗戦で他を寄せ付けない圧倒的な活躍をしていた(ティア談)から、そうなっても仕方ないとは思うけど……それでも限度って言うモノがある。
あまりにも多いから、ティアに偽の彼女を演じてもらおうと本気で考えたほどだ。
「しかし……少しもったいないと思ったけどな。実際、選り取りみどりだったんだろう?」
「だとしても、僕は今誰かと付き合いたいなんて思っちゃいないよ」
「枯れてるな。……まあ、今年も今年で、下級生からは来るだろう」
「……嫌だなぁ……」
……仮病でも使って出場辞退しようかな?
本気でそう考えていると、アルは夜ご飯を食べつつ口を開く。
「……まあ、ジュリウスが出ないなら出ないで、今年の優勝は俺のクラスが貰うがな」
「その口振り……」
「ああ。Bクラスの代表に選ばれた」
まあ、アルの実力なら出ないと言う選択肢は無いだろう。
対抗戦は先鋒・中堅・大将と分かれていて、去年はアルが先鋒、僕が中堅だった。
魔法や戦い方の相性で負けた試合もあったけど、アルは僕に負けないくらいの活躍を見せていた。
まあ、僕とアルが頑張っちゃったせいで、大将役のチームメイトはただの一戦もしないまま対抗戦を終えてしまったんだけど……。
ちなみにその大将役と言うのが、アルマだった。
本人は「戦わずに済んで良かった」と言って喜び、ティアにちょっと叱られていた。
当の本人が喜んでいたから、僕もアルもアルマに戦わせなかった事を謝ったりはしなかったんだけどね。
「それはおめでとう」
「ああ。今年は正々堂々とジュリウスと戦う事が出来る。楽しみにしてるぞ?」
この学園に来てから初めて出来た友人にそんな事を言われては、気を引き締めない訳にはいかなかった。
「……そうだね。去年は味方同士だったんだ。今年は敵として戦うのも悪くない、か……分かった。善処するよ」
「本気を出す、では無いんだな?」
「だってアル、去年本気出してなかったでしょ? アルが本気出すって言うんなら、僕も本気で返すよ」
そう指摘すると、アルは驚く訳でも無く、むしろイタズラがバレた子供のように無邪気な笑みを浮かべる。
「バレていたか。……まあ良い。なら本気を出すまでだ。当日を楽しみにしている」
「僕もだよ」
「……と、ところで、ジュリウス」
「うん? 何?」
「アルマは、その……対抗戦に出るのか?」
……まあ、うん。
薄々そうなのかな? って思ってはいたけど、きっとアルはアルマに気があるに違いない。
だからちょっとだけ、ほんのちょっとだけイタズラ心が顔を覗かせる。
「出ないよ」
「そうか……それは残念だ……」
するとアルは、誰の目から見てもあからさまにガックリと肩を落とす。
そんな姿を見せられちゃ、僕のイタズラ心をより一層刺激するだけだ。
アルの肩に腕を回し、他の奴等には聞こえないくらいの小声で告げる。
「……だからさ。今年の対抗戦が終わったら思い切ってアルマに告白でもしたら?」
「……! ゴファッ!?」
僕の指摘は図星だったようで、アルは盛大に吹き出す。
その様子を見ていたオリバーが、心配そうにアルに声を掛ける。
「どうした急に? むせたのか?」
「ゲホゴホッ……ジュ、ジュリウス!」
「あははははは」
まるで悪役みたいに高笑いしながら、僕はもう食べ終わっていたトレイを持って席を立ち、その場を後にした―――。
なんだかジュリウスの交友関係が狭くなりそうだったので、新キャラ出しました。
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