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第45話 幸せの到達点

前回のあらすじ

ユフィリアに報告した

 

 ムサシさん達が帝都に向かった後、客室で彼女達が助けた人から事情を伺う。


 隣国のアルヴヘイム連邦を構成するシルファニア王国のお姫様とその従騎士らしく、この国に来たのはアースガルド帝国・ミッドガル帝国と共同で建造する交易都市についての話し合いをするためらしい。

 だけどその道中、盗賊団に襲われた所をムサシさん達が助けたようだ。


「なるほど……でしたら本日は当家でお休みになられて下さい。きっとお疲れでしょうから」

「お心遣いありがとうございます」


 カストールの言葉に、お姫様―ティターニア姫殿下は深々と頭を下げる。

 カストールは姫殿下から視線を外し、わたしの方に目を向ける。


「そういうわけだから、食事はいつもより多めで頼むよ」

「うん、分かった。……ではわたしは失礼します」


 そう断りを入れ、わたしは夕飯の準備の為に客室を後にした―――。




 ◇◇◇◇◇




「先程の女性は貴方の奥方ですよね? 代行とは言え、領主の妻自らが料理をなさるのですか?」


 ポルクスが部屋を出た後、ソファーに座る姫殿下がそう尋ねてくる。


「領主の『自分達で出来る事は自分達でやる』という方針に倣ってるだけですよ。なので料理や掃除等は、余程の事で無い限りは自分達でやろうという事にしているのです」

「なるほど……素晴らしい心掛けだと思います」

「ありがとうございます。……もし何かあれば気軽にお声掛け下さい。では私もこれで失礼します」


 そう言い、僕も客室を後にした―――。




 ◇◇◇◇◇




 翌日。

 ムサシさん達が帝都から戻ってきたけど、何故かソロモンさんも一緒だった。

 理由を聞こうとした所、逆に彼女の方からわたし達に話があると言われ、カストールと共に執務室へと連れられる。


「さて……単刀直入に言おう。カストール君、君に正式にここの領主になってもらいたいんだ」

「それは良いですけど、何でですか?」

「実はね、アースガルド、ミッドガル、そしてアルヴヘイム連邦の一国であるシルファニア王国の共同で交易都市を建造しようって計画があってね。その街の領主にミッドガル帝国の皇帝から推薦されてるんだ。僕自身その推薦を受け入れるつもりだから、ここの領主を正式にカストール君に譲ろうかな、と」

「なるほど……」


 領主は基本的に、一つの村・街しか統治する事が出来ない。

 カストールの領主代行や近隣の領主が急逝した時の臨時領主の例外はあるけど、それだって特例中の特例だ。

 だからソロモンさんの話は、実に理にかなっている。


「僕もこの村に愛着が湧いてきた所です。その提案、謹んでお受けしますよ」

「ありがとう。そう言ってくれると助かるよ。……話は変わるけど、ロビンフッド閣下の話だと、ティターニア姫殿下が滞在なされてるとか?」

「ええ」

「陛下から、可能なら帝都まで連れてきてってお願いされてるんだ。良いかな?」


 皇帝陛下直々のお願いって、それって命令とあまり変わらないんじゃ……。

 そう思っていたのはわたしだけでは無かったらしく、カストールはその質問に即答する。


「ええ、良いですよ。ソロモンさんなら何の比喩でも無く頼りになりますからね」

「褒めたって何も出ないよ?」


 なんて言いつつも、ソロモンさんはポケットの中から取り出した飴玉をわたしとカストールに手渡す。


 それからソロモンさんは休む間も無く、ティターニア姫殿下とアリスさんを連れて、ロビンさんの金属の黒竜に乗って帝都へと舞い戻って行った―――。




 ◇◇◇◇◇




 それから一ヶ月後。

 カストールは正式にルージュ村の領主となり、ソロモンさんは旦那さんのアルスさんと共に交易都市(仮)へと向かって行った。


 別れ際、彼女の口から妊娠してる事を告げられた時は思わず大声を出すくらいには驚いた。

 まあ、一番驚いていたのはアルスさんだったから、逆に冷静になっちゃった部分もあるけど……。


 それからさらに二ヶ月後。

 いつも通り朝ご飯の準備をするけど……最近妙に身体がダルくて思うように身体が動かない。

 何でだろう? と思いつつスープを底の浅いお皿に盛り付け――ようとした瞬間、急に吐き気に襲われてその場に蹲る。


「……っ!? 奥様、大丈夫ですか!?」


 一緒に朝ご飯を作っていたクリームヒルトさんがわたしの下に駆け寄り、背中を擦ってくれる。

 しばらくそうしていると、吐き気は収まった。


「……ありがとう、クリームヒルトさん」

「いえ……ですけど、大丈夫ですか?」

「う〜ん……最近体調も優れないし、本当にどうしたんだろう?」

「……うん? 体調不良に、吐き気……もしや」


 クリームヒルトさんは何かブツブツと呟いた後、真剣な眼差しでわたしの顔を覗き込んでくる。


「奥様。今すぐにでもお医者様に診てもらいましょう」

「えっ? 何処か悪かったりする?」


 不安に思いそう尋ねると、クリームヒルトさんはわたしとは対照的ににこやかな笑みを浮かべる。


「いいえ。きっと奥様にとっても良い結果ですよ」




 ◇◇◇◇◇




 善は急げとばかりに早速この村唯一の女性医師に診てもらい、わたしの体調不良の原因を告げられる。

 確かに悪い結果じゃないし、むしろ良い結果だった。

 でも、まるで現実味が無かった。


「本当ですか……?」

「こんな事で嘘は吐きませんよ」

「なら本当に……」


 そう呟き、わたしはそっと自分のお腹を擦る。

 未だに実感は湧かないけど、このお腹には―――。


「ポルクスっ!!」


 すると、慌てた様子のカストールが診察室に入ってきた。

 わたしが医者に行く事をカストールに伝えておいてとブリュンヒルデに出掛ける前に伝言を頼んでいたから、それを聞いて走ってきたのだろう。


「落ち着いて、カストール」

「すぅ〜……はぁ〜……うん。それでポルクス。診察結果って……」

「おめでとうございます。奥様はご懐妊なされてますよ」

「そうですか。懐妊…………………………懐妊?」


 女性医師の言葉に、カストールは目を丸くする。

 そして信じられないと言った表情でわたしの事を見てくるから、わたしは満面の笑みを浮かべて答える。


「赤ちゃんが出来たの。もちろんわたしとカストールの……わっ!?」


 そう告げると、カストールはわたしの身体をおもいっきり抱き締めてきた。


「ポルクス……凄く嬉しいよ」

「わたしもだよ、カストール」


 優しくそう答え、カストールの背中に腕を回した―――。






一旦これにてカストールとポルクスが主役の物語は完結です!


次回からは二人の子供が主役の物語が始まります!

タイトルがタイトルなので、まあ……そういう事です。


そこまで運ぶ展開のプロットを考えていたので、新章開幕が一ヶ月の期間空いてしまいました。

それに関しては本当に申し訳ないです。


そして新章開幕日ですが……この話の初回投稿日の翌日からです。急だね。作者もそう思う。

是非新章も、変わらず楽しんでいただけたら幸いです! よろしくお願いします!




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