第44話 帰還と報告
前回のあらすじ
エルフのお姫様を助けた
ブリュンヒルデからムサシさん達が戻ってきたとの報告を受けて、わたし達は外に出て出迎える。
だけど……出掛けた時と様子が異なっていた。
出掛けた時にはいなかった、ロビンちゃんの面影が微かに残っている青年がいるし、あと見るからに王侯貴族な少女にその護衛っぽい女騎士もムサシさんの後についていた。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい。それで……そちらの方々は?」
「え〜っと……話すと長くなるんですけど……」
そう前置きして、こうなった経緯を説明してくれた。
ロビンちゃん改めロビンさんからの注釈がありつつも、おおよその経緯はだいたい把握する事は出来た……とは言い難い。
って言うか、何でそうなるの? っていう気持ちの方が大きかった。
「なるほど……なるほど?」
カストールもわたしと同じ気持ちなのか、腕を組んで首を傾げている。
「すぐに理解しろとは言わないが、一先ず彼女達を休ませてはもらえないか?」
「あ……はい。ブリュンヒルデ、客室に案内して差し上げて」
「畏まりました。ではティターニア姫殿下とアリスさんはこちらに」
ブリュンヒルデはそう言い、二人を屋敷の中へと案内する。
この場に残ったのはわたしとカストール、それとムサシさんとロビンさんだけだった。
「さて……私は今回の件を報告しに帝都に向かう。ムサシ、貴女にもついてきて欲しいのだが?」
「う〜ん……」
ムサシさんは唸り、チラッとわたし達の方に目を向ける。
恐らく、ムサシさんは雇われの身だから、わたし達の下から離れてもいいのかどうか考えているのかもしれない。
「離れても大丈夫ですよ。たぶんそんなに大きな事件はそうそう起こらないと思うので」
「分かりました」
「決まりだな。《現装:ニーズヘッグ》」
恐らくロビンさんの魔法が発動し、わたし達の目の前に黒光りする金属の体のドラゴンが現れる。
「コレで帝都までひとっ飛びだ」
「……ロビンの魔法って……」
「うん? 変装魔法だが? 説明した気がするが……」
「コレの何処が『変装』なのよ」
「コレを私の身に装着するんだ。変形させて装着するという意味では、十分変装の範疇だが?」
「常識の範囲外なんですけど?」
「そんな細かい事はどうだって良いだろう? 早く行こう」
「細かくは無いけど……はぁ、まあ良いか。ちょっと行ってきますね」
「あ……うん。行ってらっしゃい」
そう答え、金属の黒竜に乗り込んだ二人を見送る。
その後、わたしとカストールは屋敷の中へと戻って行った―――。
◇◇◇◇◇
馬車とは比較にならないほどの速さで空を駆け、陽が西に傾きそろそろ夕暮れの時間になりそうな時に帝都に辿り着いた。
乗ったままだと悪目立ちするからか、着地は帝都近辺の人目の付かない場所だった。
そこからは徒歩で帝都へと向かう。ちなみにロビンは変装せず、フードを目深に被るだけだった。
色んな場所を旅してきたけど、ここまで栄えてる街は片手で数えるほどしかない。
ここと同じかそれ以上に栄えてる街と言ったら、オリュンポス王国の王都しか知らない。
大通りを突っ切り、帝都のほぼ中央に聳え立つ帝城の正門――では無く裏門――でも無くて、明らかに人目に付かないように設けられている隠し門から城内へと進入する。
そこでようやく、ロビンはフードを外す。
そして勝手知ったるといった様子で、城内を迷い無くスタスタと進んで行く。その後をあたしは追い掛けていく。
時折城勤めっぽい人と擦れ違うけど、彼等はロビンの正体を知っているのか、声を掛けられるとかは無かった。
そしてロビンは、ノックもせずにとある部屋のドアをいきなり開ける。
部屋の中にはオッドアイの少女と、彼女の膝を枕にして眠っている少女がそれぞれソファーの上にいた。
オッドアイの少女は驚いた様子を見せる事も無く、ロビンに話し掛ける。
「あら、ロビン。どうしたの?」
「ユフィ。例の盗賊団を始末したから、その報告に来たんだが……ちょっと厄介な事になってな」
「……ロビンの言うちょっとはちょっとどころの話では無いのだけど……良いわ。聞きましょう」
「『アラジン』とは別件でシルファニア王国の姫君を助けた、成り行きで」
「そう、シルファニア王国の………………ごめんなさい、もう一度言ってもらえないかしら?」
「聞こえなかったのか? ならもう一度言う。『アラジン』とは別件でシルファニア王国の姫君を助けた、成り行きで」
「聞き間違いであって欲しかったわ……」
ユフィと呼ばれた少女はそう言うと、深い溜め息を吐いた―――。
変装ってなんだっけ?
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