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第42話 二人の女帝

前回のあらすじ

アリババとモルジアナは生きてる

 

「ご機嫌麗しゅう、ユフィリアお姉様」

「貴女もお元気そうで何よりですわ、ミリアリア」


 ロビンフッドとムサシがアリババ達と交戦している同時刻、帝城にある歓談室。

 ユフィリアに対してお辞儀をする少女を、ユフィリアは返事としてその華奢な身体を抱き締める。


 ミリアリア・テュール・ミッドガル。

 アースガルド帝国初代皇帝の息子の一人にして二代目皇帝と実の兄弟であるテュールを祖にする、ミッドガル帝国のうら若き現皇帝であった。


 ユフィリアとミリアリアは実の姉妹ではない。

 だがしかし、両国の関係性と幼い頃からの交流からミリアリアはユフィリアの事を実の姉のように慕い、ユフィリアもまたミリアリアの事を実の妹のように慈しんでいた。


 閑話休題。

 ユフィリアはミリアリアとの抱擁を解くと、並んでソファーに腰掛ける。


「国の方は大丈夫ですか? そろそろ皇帝の仕事にも慣れましたか?」

「家臣達に支えられつつも、なんとか。お姉様の方は?」

「ぼちぼちですね」

「最近、ロビンお兄様は来られましたか?」


 皇帝という立場である以上、二人共ロビンフッド、ないしはラグナロク皇家の事は認知していた。

 そもそもとして、ラグナロク皇家は『陰の皇族』と言われつつも、その存在自体はアースガルド・ミッドガル両国の国民に広く知れ渡ってはいるのだが……。


「ええ、まあ。何でも、大盗賊団を始末するから少し騒がしくするかも、と伺いを立ててきたので」

「お姉様の所にもそのような事を……私の所にも、似たような事を言って来られたんですよ」

「そう……まあ、ロビンなら大丈夫でしょう」

「そうですね。あのお兄様ですしね」


 そのタイミングで、ソロモンが紅茶やお茶請けの焼き菓子を載せたカートを押しながら歓談室に入ってくる。

 その表情は何時もよりもにこやかだった。


「陛下」

「「はい」」

「……ユフィリア陛下。お茶とお茶菓子をお持ちしました。毒味も済んでおります」

「ありがとう、ソロモン」

「ありがとうございます」

「これは美味しそうだ」


 すると、ユフィリア達以外の、この場で唯一の男性の声が響く。

 その言葉に反応するように、ソロモンは自慢気に胸を張る。


「当然だよ。なんたってこの僕が手ずから作ったんだから」

「そっか……一つ頂いても?」

「ええ、どうぞ」


 ユフィリアが微笑みながら頷くと、男性は焼き菓子の中からクッキーを一枚手に取りかじりつく。


「……うん、美味い。また腕を上げたんじゃない?」

「ふっふ〜ん、そうでしょ? もっと褒めてもいいんだよ?」

「流石はソロモン。聡明で見目麗しくて、気配りも出来るしそれに料理の腕も良い、ぼくにはもったいないくらいのお嫁さんだよ」

「……」


 思った以上に褒め称えられ、ソロモンは年甲斐もなく顔を真っ赤にする。


 男性の名はアルス。

 ソロモンの夫にして、ミリアリアの家庭教師兼護衛役を任されている人物だった。


 二人のやり取りを見ていたユフィリアとミリアリアは、揃ってニヤニヤとした笑みを浮かべる。


「あらあら、うふふ……ソロモンでもそんな顔をするのですね? これは良い弱味……いえ、からかうネタが握れましたわ」

「……今、弱味を握ったって言いかけませんでした?」

「気のせいでは?」

「アルスでもそんな歯の浮くような台詞を言うんですね?」

「誰彼構わずに、と言うわけではありませんよ。ぼくが愛を囁くのはソロモン唯一人だけですから」


 アルスがしれっとそう宣うと、ユフィリアとミリアリアは逆に恥ずかしくなったのか頬を赤く染め、ソロモンはとうとう我慢の限界に達したようで、自分の表情を隠すように両手で顔を覆い蹲ってしまった―――。




 ◇◇◇◇◇




 しばらくして落ち着いた後、ユフィリアは紅茶を一口啜ってから口を開く。


「ミリアリア。例の計画の進捗はどうなってますか?」

「候補地の選定と、領主の選定が終わった所です」

「では後は出資者である王女殿下の認可だけですね。いつ頃来訪されるかは分かりますか?」

「二週間もしない内に来られると思いますよ」

「それでは、ミリアリアはそれまでこの城に滞在するという事で良いのね?」

「はい。お世話になります」


 ミリアリアはそう言うと、座ったまま頭を下げる。

 話に一区切り着いたと判断し、ソロモンが口を挟んでくる。


「陛下。僕達は席を外しても構いませんか?」

「……ええ、そうね。ソロモンも愛しの旦那様に久しぶりに逢えて嬉しいでしょう。護衛は近衛騎士達に任せて、ソロモン達は夫婦水入らずの時間を過ごしてきなさいな」

「お心遣い感謝します。……行こう、アルス!」


 ソロモンはユフィリアに深々とお辞儀をした後、嬉しそうにアルスの腕を取り歓談室を出ていく。

 アルスもアルスで、満更でも無さそうな表情を浮かべる。


 その様子をユフィリアとミリアリアは、温かい眼差しで見送っていた―――。






ソロモンの旦那登場です。

名前は「アルス」と「レメゲトン」の二つで悩みましたが、結果はまあ……本編の通りです。




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