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第41話 九死に一生

新章開幕です!




前回のあらすじ

アリババとモルジアナを殺した

 

 洞窟を出ると同時に、背後からチャキっという音が聞こえてきた。

 振り向くと、ムサシさんが刀の切っ先を私の方へと向けていた。

 何故そんな事をしているのか予想出来なくはない。


「……その刀はどんな意味で?」

「ロビン、正直に答えて。貴方は一体何者なの? 答えないというなら……この場で叩っ斬る」


 その視線は真剣そのもので、答えないという選択肢は無さそうだった。

 別に隠すような事でもないし、正直に答える。

 それに彼女には、自分が何者か知っておいて欲しいという思いも同時に存在した。


「私の名はロビンフッド・ロキ・ラグナロク。アースガルド皇家とミッドガル皇家に縁のある、歴史の裏に潜む皇族です」

「その姿は? 変装か何か?」

「むしろ変装なのは貴女と出逢った時の方ですよ。この姿が私の本当の姿です。あの姿は、私の魔法である変装魔法で変装しただけですよ」

「その証拠は?」

「今見せますよ。《イリュージョン》」


 そう答え、ムサシさんと出逢った時の姿である中性的な容姿の少年の姿に変装する。

 少しだけ身長が縮み、ムサシさんを見上げる形になる。


「これで良いですか……?」

「……まあ、良いわ」


 そう言うと、ムサシさんは刀を納めてくれた。

 彼女なりに納得してくれたようだ。


「それにしても……何でそんな気怠げな言葉遣いになるの?」

「この姿の維持に、それなりの集中力を要するので……」

「なら変装しなけれゃ良いんじゃないの?」

「アースガルドとミッドガルで暗躍するには、こっちの姿の方が色々と都合が良いので……」

「そう……なら戻りましょうか。こんな所に長居は無用でしょ?」

「……」

「ロビン?」

「……そうですね。戻りましょうか……」


 そう答えると、ムサシさんは私を置き去りにでもするように歩いて行く。

 私はもう一度洞窟の方に視線を移し、気のせいだと己を納得させてムサシさんの後を追い掛ける。


 きっと気のせいだろう。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というのは―――。




 ◇◇◇◇◇




 ロビンとムサシが立ち去った後、アリババとモルジアナの亡骸がひとりでに崩れ去る。

 その破片の中から、まるで蝶が蛹から羽化するように五体満足のアリババとモルジアナが姿を現す。


 二人が生きているのには理由があり、『妖精の燐粉』と呼ばれる強力な幻覚作用がある粉末を、ロビンフッドが二人の頭を噛み砕く寸前にばら蒔いたからだった。

 その粉末のお陰でロビンフッドは幻のアリババ達を始末し、アリババ達は間一髪の所で死を回避していた。


 二人はそれぞれ洞窟の壁にもたれ掛かると、深い溜め息を吐く。


「はあああぁぁぁ〜……流石に肝が冷えたぞ」

「そうね。今回ばかりは本当に死ぬと思ったわ」

「本当にな」


 すると、コツコツと言う足音と共に、洞窟の奥の方から一人の人物が近付いてくる。

 その人物は全身黒づくめの服装で、黒いロングコートのフードを目深に被って素顔を晒さないようにしていた。


 怪しさしかない人物だがしかし、アリババとモルジアナはその人物の姿を見るや否や、まるで好意を寄せている相手を目の当たりにしたかのように頬を紅潮させつつ満面の笑みを浮かべる。

 事実、その黒づくめの人物はアリババとモルジアナの共通の恋人であった。


「大丈夫だったかい、アリババ、モルジアナ?」

「あ……うん! 大丈夫!」

「何処も怪我とかはしてないです!」


 見た目とは裏腹に爽やかな青年の声音に、アリババとモルジアナは上擦った声で答える。

 黒づくめの青年は二人の近くに近付き、フードを取る。

 青年の素顔も黒髪黒目と言う、服装と同じ色合いだった。

 むしろ、素顔の色味に合わせて服装の色を統一していた。


「大丈夫そうなら早く移動しようか。奴等が異変に気付かない可能性も無いわけじゃないからね」

「「うん!」」


 二人は同時に頷き立ち上がると、当たり前のように青年の腕に抱き着く。

 美女二人を両腕に侍らせた青年は、そのまま洞窟を後にする。


 黒づくめの青年の耳はアリババ達と異なり、エルフのように鋭く尖っていた―――。






今回の章のキーワードはズバリ「エルフ」です。




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