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第40話 盗賊の王 後編

前回のあらすじ

ロビンの正体は『盗賊王』ロキ

 

 アースガルド帝国とミッドガル帝国は歴史上兄弟のような関係であり、事実ミッドガル帝国初代皇帝はアースガルド帝国二代目皇帝と実の兄弟だった。


 しかし、アースガルド帝国初代皇帝の子供はその二人だけでは無かった。

 初代皇帝には二人の皇子の他に、末子である皇女も一人存在していた。


 皇女は兄である皇子達が皇帝に即位する際、臣籍降下していた。

 その際、皇族の血を引く者として、アースガルド帝国、ミッドガル帝国両国を末代まで陰ながらに支えていく事を二人の兄に誓った。


 それ故の『陰の皇族』。そしてその皇女の名はロキシー。

 一族の長は代々皇女の名から取った『ロキ』と言う名を襲名し、時に『陰の皇帝』とも称されるその一族の末裔が、ロビンフッドの正体だった―――。




 ◇◇◇◇◇




「ロキ……?」


 あたしは聞き返すけど、ロビン……いや、ロキ? はアリババ達の方に視線を向けたままだった。


「……まさかお前らみたいな下郎達にも名が知られているとはな」

「何か不都合でもあるのか?」

「不都合しかない。我々の名を呼んで良いのはアースガルド・ミッドガル両国の地に住まう善良な国民だけだ。盗賊みたいな下郎が我々の名を呼ぶなど烏滸がましい。……ああ、全くもって甚だ不本意だが、こう言うしかないな。――頭が高いぞ、下郎。今すぐ地に伏せ、頭を垂れろ。然らば苦しまずに帝国の土に還してやる」


 気怠げな言葉遣いの時とは打って変わり、しっかりとした口調で王族にしか出せないであろう威厳と圧力のある言葉をアリババ達に放つ。

 その雰囲気に気圧されてか、アリババは半歩ほど後退していた。


「……断る、と言ったら……?」

「惨たらしく殺すだけだ。悪人はとっととこの世から消し去るに限る。帝国の土に還れるだけ光栄だと思え」

「アリババは殺させない! 《ホーリーレイ》!」


 すると、《マジックスフィア》からも白い光線があたし達目掛けて放たれる。


「……ちょっと激しくなるんで、しっかり掴まってて」


 ロビンはそう囁くと、光線をひょいひょいっと軽い身のこなしで危なげ無く回避していく。……その動きの激しさに目を瞑れば。

 だから思わず、刀を握ったままロビンの身体に抱き着く。


「そんなお荷物抱えたままじゃ満足に動けないだろ! 《マジックコピー》!」


 アリババはそう叫ぶと、彼女の周りにも光の球が浮遊し始め、そこから白い光線が放たれる。

 今のは恐らく彼女の魔法だろう。


 単純計算で二倍の量になった光線を避け切る事はロビンにも難しいようで、その足が止まる。

 それを見計らっていたかのように、いくつもの光線があたし達に襲い掛かった―――。




 ◇◇◇◇◇




 アリババとモルジアナ、二人の放った光線がムサシとロキに襲い掛かり、地面を穿った光線によってもうもうと土煙が立ち昇っていた。


 致死量以上の光線を浴びせられて、無傷でいられる訳が無い。

 そう思ったからこそ、アリババは小さくガッツポーズをしつつも土煙が晴れるのを待っていた。


 義賊として名高い『盗賊王』を殺したとなれば、自身の名は帝国内どころかレムリア大陸中に響き渡る。

 そんな輝かしい未来を夢想し――土煙が晴れるのと同時に儚くも崩れ去った。


「えっ……?」

「なっ……何故生きている!?」


 モルジアナは驚きのあまり思考に空白が生じ、アリババもアリババで思わず問い質さずにはいられなかった。

 それだけ、目の前の光景が二人の常識の範囲から逸脱していた。


 二人の目の前には、()()()()()()()()()()ロキと、彼に抱き抱えられたままの無傷のムサシの姿がそこにあった―――。




 ◇◇◇◇◇




 光線があたし達に当たる寸前。


「《着装:ヨルムンガンドテール》!」


 ロビンがそう唱えると、彼の腰の辺りから一本の金属製の尻尾が生える。

 そして装甲が剥離したかと思うと、パネルと化した装甲は光線を次々と反射させる。

 それによって、土煙がもうもうと立ち昇る。この間体感三秒。


 光線の追撃は無く、それを知ったロビンは剥離した装甲を尻尾に戻し、その場で一回転する。

 それによって土煙が晴れ、アリババ達が驚愕の視線を向けてくるのが分かる。


「えっ……?」

「なっ……何故生きている!?」

「答える義理は無いな。それよりも……覚悟は良いな、下郎共。帝国の土に還してやる!」


 ロビンはそう言うと、アリババ達の方に向かって一直線に突撃していく。

 途中であたしの身体を宙に放り投げ……って、正気!?


「《着装:フェンリルクロー》!」


 なんて思っていると、ロビンの両腕に大型獣みたいな鋭い爪の生えたゴツいガントレットが装着される。

 そしてアリババの懐まで潜り込むと、その両腕を振るう。

 威力は見た目通りのようで、アリババの身体が血飛沫による軌跡を描きながらボールのように壁まで飛んで行った。


「アリババ! くっ……《ホーリー……》」

「――遅い!」


 ロビンはゆるふわの女性に一瞬で近付くと、その鋭い爪で女性の身体を貫く。

 そしてその勢いのまま、壁に押し付ける。


「ふん……おっと」


 ロビンは女性から腕を引き抜き、あたしの落下地点まで移動し、受け止める。


「大丈夫だった?」

「あ、うん……それとその、降ろしてくれると助かると言うか……」

「……少し残念だけど、仕方無いか……」


 何が残念なのか疑問に思いつつも、ロビンはあたしをとても丁寧な動作で降ろしてくれた。

 そしてロビンは、未だに蹲っているアリババ達の方へと目を向ける。


「さて……ゴミ共の掃除もしないとな。《着装:ヨルムンガンドヘッド》」


 右腕に蛇の頭を模した武装が装着され、アリババの頭上まで伸びていく。

 そしてバグン! とアリババの頭を喰い千切り、血飛沫が飛び散る。

 同じように、ゆるふわの女性の頭も喰い千切る。


「ふぅ……さて、戻ろうか」

「あ……うん」


 何事も無かったかのように振る舞い立ち去るロビンの後を、あたしは慌てて追い掛けて行った―――。






実はロキも襲名制。




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