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第36話 鍛練

前回のあらすじ

用心棒を雇った

 

 ムサシさんを用心棒として雇ってから三日。

 お昼ご飯の準備も殆ど終わり、残りの作業や配膳はブリュンヒルデとクリームヒルトさんの二人にお願いする。

 わたしは着ていたエプロンを脱ぎ、書斎兼執務室で仕事をしているカストールを呼びに行く。


 執務室に向かう途中、小さいけど何かを打ち合う音が聞こえてきた。

 不思議に思ってその音がする方に向かうと、ムサシさん、ジークフリードさん、シグルドの三人が剣を打ち合っていた。


 ただ……見た感じ、シグルドとジークフリードさんの二人掛かりでムサシさんに立ち向かい、ムサシさんは不利な状況であるにも関わらず圧倒している事には驚きを隠せなかった―――。




 ◇◇◇◇◇




 うん、暇だ。

 暇過ぎて死にそうなくらい暇だった。

 用心棒として雇われたは良いけど、この剣を振るう機会が無いのは少し不満だった。まあ、平和である事は良い事だけど……。


 それでも、日課となっている鍛練は欠かさなかった。

 まあそれも、三日間も素振りだけしてれば飽きるというものだ。

 気分転換になるかと思って近くを散歩してみたけど、これと言った見所も異常も見られなかった。


 少し残念に思いながら屋敷へと帰ってくると、シグルドさんとジークフリードさん……だっけ?

 その二人が、剣を持って屋敷から出てきた所に出会した。


「あ、どうも。これから鍛練ですか?」

「ああ。もし暇なら、俺達と手合わせでもするか?」

「是非!」


 食い気味にそう返事をすると、シグルドさんは若干引いていた。


「そ、そうか……なら最初は、俺と……」

「あ。二人いっぺんに来てもらっても大丈夫ですよ」

「「は?」」




 ◇◇◇◇◇




 距離を取り、シグルドさんとジークフリードさんは各々の得物を構える。二人共、得物は大剣のようだった。

 あたしも両腰の鞘から刀を引き抜き、腰を低く落として臨戦態勢を整える。


「あくまでも鍛練だからな。魔法の使用は自由だが、致命傷になる一撃だけは放つなよ?」

「……致命傷じゃなければ良いんですね?」

「だからって瀕死の重傷を負わせるのも無しだ」


 可能ならそうする腹積もりだっただけに、この制限はちょっとだけ厳しかった。

 まあ、やれるやれない以前にしないけど、一応念のため聞いてみた。


「それじゃあ……始めよう、か!」


 シグルドさんは合図と同時に、あたしに向かった一直線に突っ込んで来る。

 ジークフリードさんはあたしから見て左側に回り込んでいる。


「……ふっ!」


 シグルドさんの動きを見極め、右手の刀を一閃する。

 シグルドさんは大剣を盾にしてそれを防ぎ、その隙にジークフリードさんが接近してくる。

 そして大剣を上段に構えた所で、あたしは左手の刀で迎撃する。

 もちろん、あたしの魔法である斬撃魔法で。


「《壱の太刀・斬月》!」


 下から掬い上げるようにして刀を振り抜き、その軌跡が風の刃となってジークフリードさんに向かって飛んで行く。

 ジークフリードさんは大剣を振り下ろし、風の刃を正面から迎撃する。


 その隙にあたしはシグルドさんから距離を取り、彼にも斬撃魔法をお見舞いする。


「《弐の太刀・双月》!」


 左右の刀を上段から振り下ろし、炎の刃となってシグルドさんに襲い掛かる。

 だけど……。


「《ソードシールド》!」


 魔法で無数の剣が生み出され、それが盾となって炎の刃を防ぐ。

 シグルドさんを足止めしている間に、ジークフリードさんの方へと向かう。


 ジークフリードさんも剣を構え直していて、あたしに接近してくる。

 間合いに入り、あたしは左右の刀を振り回して連撃をお見舞いする。


 あたしの絶え間無い連撃に、ジークフリードさんは防戦一方だった。

 その隙に、シグルドさんも接近してくる。


 あたしは左手の刀をシグルドさんの足下目掛けて投げ飛ばし、ほんの少しの間だけでも足止めする。

 その僅かな時間で右手の刀を両手で握り直し、ジークフリードさんの大剣を弾き返す。


 バランスを崩したジークフリードさんを後にして、シグルドさんの方へと突っ込んで行く。

 シグルドさんは分が悪いと思ったのか、バックステップであたしとの距離を一定以上に離していた。

 ついでに、魔法で作った剣も飛ばしてあたしの足止めを試みてもいた。


 あたしに当たりそうなモノだけを刀で叩き落とし、足止めに投げた刀を回収して接近する速度と迎撃する速度を一段階上げる。

 魔法の剣の網をくぐり抜け、間合いに入る。

 そして左右の刀をシグルドさんの首元目掛けて突き出し――ギリギリの所でピタッと止める。


「……参った。まさかここまで強いとはな」

「それほどでも」


 そう返事をし、チンと刀を鞘に納める。

 すると、ガラッという音が聞こえてきた。

 音のした方を振り向くと、廊下の窓を開けてポルクスさんが顔を覗かせていた。


「三人共。もうすぐお昼ご飯だから中に入ってきて」

「はい、分かりました」


 そう返事をし、あたし達は屋敷の中へと入って行った―――。






そこそこ腕の立つムサシ。




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