表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/186

第3話 辺境の地へ

前回のあらすじ

両家に結婚の挨拶をした

 

 両家への挨拶を終えてから二ヶ月半後。

 結婚式も無事終えて、カストールが治める予定の辺境の街・ジェミニへとやって来ていた。

 この街は王都から見て東の方角にあり、移動には馬車を使って二週間くらい掛かる。


 ちなみにこの街を治めるに当たり、カストールの姓はディオスクロイへと変わっていた。

 だからわたしも、これからはポルクス・ディオスクロイと名乗ることとなる。


 それと、この街に来たのはわたしとカストールの二人だけじゃない。

 わたしの家から五人、カストールの家から四人従騎士が付き従っていた。


 従騎士というのは、簡単に言えば貴族家が抱えている私兵みたいなモノだった。

 普段は使用人と同じような仕事をこなし、有事の際は騎士としての務めを果たす。


 わたし側の従騎士は、シグルド、ブリュンヒルデ、スルーズ、ヒルド、オルトリンデの五人だった。

 そしてカストール側は、アーサー、ケイ、トリスタン、イゾルデの四人だった。


 それと道中、カストールからジェミニの街についての事情の説明を受けていた。

 何でも、前にこの街を治めていた人物は不当に徴税した結果、投獄されたらしい。


 そして領主不在のこの街を、ポセイドン殿下の采配でカストールが治めることとなった。

 ちなみに、領主がカストールに決まるまでの間、領主代行の人がジェミニの街を治めていたらしい。


 わたし達がこれから暮らすことになる屋敷は、街のほぼ中心部に位置していた。

 その正門前に馬車を停め、カストールの手を借りて降りる。


 それから敷地内へと入っていくけど、長いこと人が暮らしていなかったからなのか、庭には雑草が生い茂り、屋敷の中にも埃が溜まっていた。

 一度屋敷の中から外へと出て、カストールが腕を組んで考え込む。


「まずは屋敷の掃除からかな? 一日で終わるとは思えないし……今日のところは使用人室と僕達夫婦が使う部屋、それと応接室と浴室に……後は食堂かな?」

「庭もじゃない? せめて正門から玄関までの間は綺麗にしとかないと」

「そうだね……それじゃあ、ポルクス。お願いしてもいい?」

「うん。《クリエイト》」


 カストールの言葉に頷き、魔法を発動させる。

 魔法は貴族も平民も関係無く、十才になれば誰でも天から授かる特殊能力だった。

 魔法は一人一種類しか使えない反面、その種類は千差万別だった。


 わたしが使える魔法は創造魔法というモノで、あらゆるモノを生み出すことが出来る。

 この魔法の使い手は希少らしく、王国内でもわたしを含めて三人しかいない。


 そんな魔法で、箒に塵取り、バケツにモップ、鎌など掃除に必要そうなモノを生み出す。


「それじゃあ手分けして掃除しようか。女性陣は屋敷内を、男性陣は草むしりだね。中の掃除で力仕事が必要になったら男性陣を呼んで。一応目標は陽が暮れるまでだね。じゃあ始めようか」

「「「はい」」」

「僕とポルクスは領主代行の所に行こうか。護衛は……トリスタンとイゾルデでいいかな。二人共護衛を頼むよ」

「はい」

「畏まりました」


 そうしてわたしとカストールは、領主代行の所へと向かった―――。




 ◇◇◇◇◇




 領主代行は、先々代の領主の時に執事として働いていた人らしい。

 だから領主の仕事も、ある程度出来ていたみたいだった。


「これからこの街を治めることになった、カストール・ディオスクロイです。こちらは私の妻のポルクスです」

「ケイローン・サジタリウスです。遠路はるばるようこそお越しくださいました」


 カストールの紹介にわたしは無言でお辞儀をし、カストールとケイローンさんは握手を交わす。

 ケイローンさんは老年に差し掛かっているのか、白髪の目立つ茶髪で、眼鏡を掛けているから聡明な顔付きにさらに磨きが掛かっている。


 それにしても、「私の妻」かぁ……。

 結婚したとはいえそう呼ばれるのはまだ慣れなくて、嬉しさと恥ずかしさがない交ぜになった感情が支配する。

 顔には出てない、よね……?


 ケイローンさんに促され、カストールと並んでソファーに座る。

 トリスタンとイゾルデはソファーの後ろに控える形で立っている。


「ではまずは謝辞から。本日まで領主代行の務め、ご苦労様でした」

「こんな老体でも役に立てたのなら何よりです」

「それで物は相談なんですが……執事として再び働いて貰えませんか?」

「理由を聞いても?」

「お恥ずかしい話ですが、使用人とも言える人間が後ろにいる護衛含めて、王都から連れてきた従騎士しかいないのです。なのである程度使用人が集まるまで、ケイローンさんの力をお借りしたいのです」

「そういうことでしたら喜んで」

「ありがとうございます」


 カストールが頭を下げ、わたしも彼に倣ってお辞儀をする。

 こうして、ケイローンさんがウチで執事として働くことになった―――。






ジジイの執事はだいたい強キャラ(偏見)。




評価、ブックマークをしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ