第25話 新天地へ
お待たせしました!
新章開幕です!
アースガルド帝国は、オリュンポス王国があるアトランティス大陸の北方に位置するレムリア大陸、その中で一番の国土を持つ国だったと記憶している。
ちなみにアトランティス大陸の西方にはレムリア大陸と同程度の大きさのメガラニカ大陸、東方には世界最小の大陸であるパシフィス大陸、そして南方には世界最大の大陸であるムー大陸が存在していた。
そして各大陸は海によって隔てられているから、各大陸に向かうには海路で行くしかない。
そう思っていたんだけど……。
◇◇◇◇◇
一週間後。
旅支度を調えたわたしとカストール、それとシグルドとブリュンヒルデは、ジークフリードさん達に連れられて街の外へとやって来ていた。
シグルドとブリュンヒルデの二人もいるのは、流石にわたし達だけじゃ新天地に向かうのに心細いというのが理由の半分。
もう半分は、単純に二人がわたし達についてくると言って聞かなかっただ。
何なら、他の従騎士達もついてくると言っていたけど、アーサー達カストールの従騎士は家と街の守護、スルーズ達わたしの従騎士はわたし達がアースガルド帝国に向かうことをアルヘナお兄ちゃん達に伝えるという役目を任せていたから、連れていくことは出来なかった。
まあ、スルーズ達は役目を終えたらわたし達の後を追ってくるんだけど……。
閑話休題。
アースガルド帝国に向かうにはまず、オリュンポス王国を出ることが大前提として……何で街の外にあるちょっと広めの場所までやって来たのかが分からない。
そんなわたしの疑問は、すぐに解決した。
「少し離れててください。……《メタモルフォーゼ》」
クリームヒルトさんが魔法を発動させたと思った次の瞬間、彼女の身体を眩い光が包み込む。
思わず手で顔を覆い、光が収まるのを待つ。
時間にして十秒にも満たない間に光は収まり、わたしは目を開ける。
すると目の前には、新雪のように真っ白な鱗に、翠玉の瞳、そして陽光を反射する銀色の鬣を生やした美しいドラゴンの姿があった。
反対に、クリームヒルトさんの姿は何処にも無かった。
今の現象と、さっきの呪文。
もしかして……。
「変身魔法、ですか……?」
「当たらずとも遠からず、ですね。アタシのこの魔法は竜化魔法。ドラゴンの姿に変身してその力を行使出来る、変身魔法の派生魔法です」
わたしの言葉に、目の前のドラゴン――に変身したクリームヒルトさんが答えてくれた。
変身魔法はありふれた魔法の一つだけど、その中でも竜化魔法は珍しい部類だった気がする。
だって、魔物の中でも最強格のドラゴンに変身出来るというだけで、戦闘面での優位性は計り知れないからだ。
だから、わたしやカストールの魔法ほどでは無いにしても、使い手の少ない魔法だった。少なくとも王国内では、だけど……。
「それじゃあみんな、レムリア大陸行きの船が出ている港町まで飛んで行くから、クリームヒルトの背中に――」
「乗れます、この人数?」
「……乗れないな」
カストールが指摘するまで、ジークフリードさんは気付かなかったようだ。
ジークフリードさんは案外、抜けてる所があるのかもしれない。
それに確かに、今この人数だとクリームヒルトさんの背中には乗れない。
頑張ってもせいぜい、三人が限界だろう。
まあ、手段が無いわけでもない。
ただその前に、クリームヒルトさんに確かめなきゃいけないこともある。
「クリームヒルトさん」
「……? 何ですか?」
「今の状態で、どれくらい重い物を持てるんですか?」
「どれくらい? そうですね……ケルベロスくらいの重さなら持ったことはありますよ」
ケルベロスの重さは大体、成人男性十人分と言われている。
なら、この人数くらい余裕で運べるだろう。
「じゃあ運べますね……《クリエイト》」
確認も取れたことだし、創造魔法でわたし達が乗れるサイズの籠を創造する。
ちなみに壊れないように頑丈に、そしてクリームヒルトさんが持ちやすいようにロープを籠にくくりつけていた。
「これなら、全員乗れると思いますよ? 強度も十分なので、壊れるようなことは無いかと」
「助かる。それじゃあ乗らせてもらおう」
ジークフリードさんはそうお礼を言い、籠の中に入る。
わたしも先に入っていたカストールの手を借り、乗り込む。
最後のブリュンヒルデが乗ったところで、クリームヒルトさんがロープを握る。
クリームヒルトさんが大きな翼を羽ばたかせると、籠がゆっくりと地面から離れていく。
浮遊感が全身を包む中、わたし達を乗せた籠を持ったクリームヒルトさんは北の方角に向かって飛翔した―――。
やっぱり便利な創造魔法。
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