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第23話 波乱の式典 後編

前回のあらすじ

式典に出席した

 

「殿下、その辺で。ディオスクロイ辺境伯夫人も落ち着いてください」


 わたしとポセイドン殿下の間に割って入ってきたのは、アンフィトリテ嬢だった。

 いや……殿下とご結婚された今、王太子妃と呼んだ方が正しいのかな?


「私は落ち着いているぞ、アンフィトリテ」

「なら良いです。……ディオスクロイ辺境伯夫人」

「……何でしょう?」


 殿下から視線を外し、王太子妃と視線を合わせる。


「何故殿下の好意を無下にするのです? 子がいないのであれば、むしろ殿下の提案に乗るしかないのでは?」

「何度も言わせないでください。わたしは夫以外の……カストール以外の男性に身体を許すつもりは毛頭ありませんし、カストールとの子供しかいりません。未来永劫に、です」

「なるほど……強情ですね」

「褒め言葉と受け取っておきますね」

「あら、嫌味もお上手で。流石は殿下の元婚約者様。頭も口も回るみたいで」

「……」


 ……いや、うん。

 表面上はおめでたいこの日に、主役を殴らないように耐えた自分を褒めたいくらいだ。

 それくらい、わたしは控え目に言って頭に来ていた。


 すると、カストールがアルヘナお兄ちゃんの拘束を強引にほどいて、わたしを守るように殿下達の前に立ち塞がった。


「アンフィトリテ。それ以上僕の妻を侮辱するようなことを言うのは止めてもらおうか」

「……どなたでしたっけ?」

「カストールだよ。キミの元婚約者の、ね」

「ああ、そうそう。カストールだったわね。元気にしてた?」

「見たら分かるんじゃないかな? とても元気だよ」

「ふぅ〜ん、そう……」


 カストールはアンフィトリテ嬢から、ポセイドン殿下の方へと視線を移す。


「殿下。お戯れも程々にして頂きたいですね。妻も困っています」

「戯れだと? 戯れ言を。私は心の底からディオスクロイ辺境伯達のことを心配しているだけだ。他意など無いぞ」

「そうですか……王家がそうやってばら蒔いた胤を確実のモノにするため、そして王家の駒にするためにその貴族の男性を去勢すると言った噂を聞いたことがあるのですが? まさか殿下に限って、そのようなことは致しませんよね?」


 カストールの言葉に、ポセイドン殿下はフッと笑うだけだった。

 その瞬間わたしの頭が真っ白になり、気付いたら殿下が頬を押さえながら床に倒れ込んでいた。

 あれだけ騒がしかった大広間も、水を打ったようにシンと静まり返っている。


 何で? と思っていると、アンフィトリテ嬢が大声を上げる。


「あ……貴女! いくら元婚約者でも、殿下を殴るのは不敬極まりないですよ!」

「………………うん?」


 殴った? 誰が? ……わたしか。

 言われてみれば、右手がちょっとだけ痛い。


 殿下はと言うと、殴られた箇所を押さえながら、わたしに怒りの籠った視線を向けてくる。


「……ポルクス、貴様……王族である私を殴ったな? 良いだろう……我が権限において命ずる! ポルクス・ディオスクロイ並びにカストール・ディオスクロイ! 王族に楯突いた罰として、貴様らを国外追放処分を言い渡す! 一ヶ月以内に王国内からいなくなれ! そしてもう二度と王国の地を踏むことを許さない!」


 ……とんでもないことになっちゃったかもしれない……。




 ◇◇◇◇◇




「……で? 申し開きは?」

「スカッとしたね。ポルクスが殿下を殴った瞬間は」

「反省はしてるけど、後悔はしてないよ」


 あの後式典を途中退席した後、屋敷に戻ってきたわたしとカストールはアルヘナお兄ちゃんに問い質されていた。

 普段からアルヘナお兄ちゃんは温厚な性格でほとんど怒ったことも無かったから、こんなに怒った顔を見るのは初めてだった。

 それだけ、わたしがやらかしたことに対してご立腹っていうことだけど……。


「前代未聞だぞ、王家の方を殴るなんて。しかも元婚約者が、だ」

「……褒めてはない、よね?」

「当たり前だ」


 アルヘナお兄ちゃんは深く溜め息を吐き、椅子に深く腰掛ける。


「……こうなった以上、我が家もお前達と距離を取る必要がある」

「縁を切るってこと?」

「そこまでは言わないが、交流は控えるべきだろうな」

「じゃあ……」

「ああ。手紙でのやり取りも、必要な時以外は今後はしない」


 ……まあ、仕方ないか。

 アルヘナお兄ちゃんの裁定は厳しいかもしれないけど、そうしないと他家への示しがつかないことも理解している。

 だから別段、不満を言うようなことはしなかった。


 でも……もしかしたらもう二度と家族に会えないかもしれない。

 それだけは、ちょっとだけ……ううん。すごく悲しいことだった。

 それが顔に出ていたのか、アルヘナお兄ちゃんは椅子から立ち上がると、わたし達の方に近付き、わたしとカストールをグッと抱き寄せた。


「……カストール、ポルクスちゃん。二人が大切な弟と妹であることに変わりはない。どれだけ離れていても、家族として二人が元気でいることを願っているよ」

「兄さん……」

「アルヘナお兄ちゃん……」


 アルヘナお兄ちゃんの言葉に、わたしとカストールは子供の時のように抱き締め返すことで返事とした―――。






穏便に済ませようと思ってたら、キャラがなんか勝手に殴ってました……。




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