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第22話 波乱の式典 前編

前回のあらすじ

兄弟姉妹水入らずで過ごした

 

 なんだかんだで、ポセイドン殿下とアンフィトリテ嬢の結婚披露式典当日になった。

 わたしはカストールとアルヘナお兄ちゃんと一緒に王城に登城する。


 カストールはディオスクロイ辺境伯として、アルヘナお兄ちゃんはジェミニアス子爵の名代として参列していた。

 名代なのは、アルヘナお兄ちゃんはまだ家督を完全に継いだわけじゃないからだった。

 まあ、それも時間の問題だとは思うけど……。


「「はぁ……」」

「どうする? 帰るかい、二人共?」


 式典が開かれる大広間に行く途中、カストールと揃って深い溜め息を吐く。

 アルヘナお兄ちゃんにはわたし達の事情を伝えていたから、帰るように促してきても不思議じゃ無かった。


「ううん、大丈夫。ここまで来たらもう覚悟は決めたよ」

「そっか……じゃあ一つだけ忠告だ。くれぐれも問題だけは起こすなよ。いいか、絶対だぞ」

「確約は出来ないけど……うん。気を付けるよ」

「善処するよ、アルヘナお兄ちゃん」

「それ、ダメなヤツ……」


 アルヘナお兄ちゃんは困ったように溜め息を吐く。

 何事も無ければわたしも別に問題は起こさないけど、なんとなく何かが起こりそうな予感をしていた―――。




 ◇◇◇◇◇




 大広間に入ると、そこにはすでに貴族諸兄の姿があった。

 彼等は雑談に講じており、殿下達の姿はまだ何処にも無かった。


「む? そこにいるのはポルクス嬢か?」


 すると、老齢に差し掛かった男性が声を掛けてきた。

 黒づくめのその人には見覚えがある。


 ハデス・ルクスリア・オリュンポス公爵閣下。

 現国王であるゼウス国王陛下の兄君で、武人としても名を馳せているお人だった。

 そしてわたしがまだポセイドン殿下の婚約者だった時に、色々とお世話になった人でもあった。


「お久しぶりです、ハデス公爵閣下」

「壮健そうでなによりだ、ポルクス嬢……いや。今はディオスクロイ辺境伯夫人か」

「どちらでも構いませんよ、閣下」

「では今まで通りポルクス嬢と。して、そちらは?」

「ポルクスの夫のカストールです。妻がお世話になったようで……」

「おお、貴殿かが。ポルクス嬢からは何度か話を伺っている。今日はこのような場だが、機会があれば貴殿ともゆっくり話したいと思う」

「恐縮です、公爵閣下」


 カストールはそう言い、閣下と握手を交わす。

 すると、大広間が大きな歓声に包まれた。

 見ると、ポセイドン殿下とアンフィトリテ嬢が正面にある階段から降りてくるところだった。


 殿下もアンフィトリテ嬢も着飾っており、参列した貴族諸兄はそんな彼等に各々賛辞の言葉を贈っている。

 わたしは皆の手前、拍手だけは送っておく。


 すると殿下はわたしの方に目を向けると、何でかわたしの方に近付いて来る。

 貴族諸兄が道を譲り、その開いた空間を通って殿下はわたしの前までやって来る。


「久しいな、ディオスクロイ辺境伯夫人」

「……殿下もお元気そうでなによりです」


 本当はもう二度と顔も見たくなかったけど、他人の目がある手前、口先だけでもそう取り繕う。


「今日は私とアンフィトリテのために参列して頂き、ありがたく思うぞ」

「それはそれは……どうか殿下達も幸福に過ごされますよう」

「ところで話は変わるが……そちらはまだ子供は出来ていないのか?」


 ピクッとカストールが反応したのを見逃さなかった。

 ただまあ、アルヘナお兄ちゃんに肩を掴まれて平静を取り戻したようだけど……。


 気分の良くない質問だけど、答えないわけにもいかない。

 だから、本当に不本意だけど、殿下の質問に答えることにした。この後どんな展開になるのかも予想した上で。


「ええ、まあ……子供は授かり物なので、気長に待とうとは思っていますが……」

「なるほど……ならば素晴らしい提案をしよう」

「…………聞きましょう」


 絶対にロクな提案じゃないと思いつつ、そう促す。

 すると殿下は、ふてぶてしい笑みを浮かべながらその提案とやらを告げる。


「ディオスクロイ辺境伯夫人。貴様に我が胤をくれてやろう」

「っ! テ――」

「どうどう、カストール。落ち着け」


 カストールが大声を上げようとしたところを、アルヘナお兄ちゃんが今度は口も押さえてカストールを宥める。

 まあ、わたしの答えは決まりきってるけど……。


「そうですか……お断りします」

「何故だ?」

「わたしは夫以外の男性に、身体を許すつもりは毛頭無いので」

「だが王家の胤だぞ? 普通は泣いて喜ぶところではないのか?」

「それでもです。何度も言わせないでください」

「貴様……我が善意を無下にする気か?」

「一方的な善意は悪意と変わりませんよ、殿下」


 ポセイドン殿下は睨んでくるけど、わたしも負けじと睨み返す。

 一触即発の空気感の中、ある人物がわたし達の間に割って入ってきた―――。






長くなりそうだったので分割しました。




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