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第17話 出発

前回のあらすじ

招待状が来た

 

 王都へは馬車で片道二週間ほど掛かる。

 手紙を受け取った時点で殿下達の式典は一ヶ月後の開催、ジェミニの街を出発したのが手紙を受け取ってから一週間後だから、余程のことがなければ一週間くらいは王都でゆっくり出来る。


 それと、今回はただ式典に出席するだけだから、護衛はシグルド、ブリュンヒルデ、トリスタン、イゾルデの四人だけ連れてきていた。

 男女二人ずつなのは、その方が色々と都合が良いからだ。


 馬車に揺られ窓の外を眺めていると、対面に座るカストールが声を掛けてきた。


「あ……そう言えばさ」

「……? 何?」

「ケイローンさんから、「お二人は新婚旅行はもうお済みですか? まだでしたら何処かに行かれてはどうですか?」って提案されたんだよね」

「ああ、確かに。新婚旅行はまだ行ってないね。でも……今の街の状況で行くのも悪くない?」

「うん。僕もそう思ったから、一段落着いたら考えるとは伝えたんだけどね。そしたらさ、ケイローンさん、新婚旅行の候補地を書いたメモを渡してきたんだよ。見る?」

「うん」


 そう答え、カストールが魔法袋の中から一枚の紙を取り出す。それが件のメモなのだろう。

 それを受け取り、メモに目を通す。

 わたしでも一度は耳にしたことがある観光地の名前と簡単な説明を目にする中、二つだけわたしの目を引くモノがあった。


 一つは、アクエリアスの街。

 この街は海に面した街で、所謂リゾート地となっている。

 それに季節的にもそろそろ暑くなってくるから、海水浴で一興……というのも良い気がする。


 もう一つは、カプリコーンの街。

 この街は山間に位置する街で、別にリゾート地というわけでもない。

 では何で観光地なのかというと、この街は温泉街で、いくつもの温泉が湧き出ている。

 だから保養目的でこの地を訪れる貴族もいるとかいないとか……。


 最近働きづめだったし、カストールに日々の疲れを癒してもらうのならカプリコーンの街が良い。

 だけど、アクエリアスの街でカストールと一緒に一夏のアバンチュールを楽しみたいという乙女心もある。


 悩んでいると、カストールが口を開く。


「ポルクスも悩んでるみたいだね」

「うん。こんなに候補があると、どれを選べばいいのか迷っちゃうよ」

「そうだよね。ちなみに、何処に行きたいとかの候補はもう決まってるの?」

「今のところ二つ。アクエリアスの街と、カプリコーンの街」

「……海か山か。ある意味極端だね?」

「だって、アクエリアスの街なら海水浴が出来るし、カプリコーンの街なら温泉に浸かれるし。どうせなら楽しみたいじゃん」

「まあそうだけど……」

「カストールはどうなの?」


 そう聞き返すと、カストールは肩を竦める。


「何処も魅力的過ぎて選べなかったよ。だからポルクスが決めて良いよ」

「いいの?」

「うん。僕はポルクスと一緒なら、何処に行っても楽しめるしね」

「そういうことならわたしが決めちゃうけど、う〜ん……」


 アクエリアスの街と、カプリコーンの街。

 どっちも魅力的だからこそ、どちらか一つに絞ることは出来なかった。

 すると、そんなわたしを見かねたのか、カストールが助け船を出してくれた。


「ポルクス。今回行くのはどっちかにして、もう片方はその次に機会があれば行くってのはどう?」

「えっ、いいの?」

「うん」

「それなら……今回はアクエリアスの街、かな?」


 そう答えると、カストールは納得したようにウンウンと頷く。


「アクエリアスの街か……良いね。今から楽しみだよ」

「うん。わたしも楽しみになってきたよ」

「それは良かった。……楽しみと言えば、海水浴をするんならポルクスの水着姿を拝めるってことか」

「まあそうだけど……そんなに楽しめるようなことなの?」

「そりゃあそうだよ。普段のポルクスとは違う姿が見られるんだから、楽しみ以外の何物でもないよ」


 何でか分からないけど、カストールはテンション高めに力説していた。

 何て思っていると、馬車が突然停車した。


 慣性が働いて、わたしはカストールの方へと倒れ込む。

 カストールはわたしを優しく抱き留め、御者台に座っていたシグルドに声を掛ける。


「シグルド、どうかした?」

「すみません。目の前に人が倒れていたので……今トリスタンが確認に行ってます」

「人が倒れてた? 道の真ん中で?」

「そうですね……トリスタンが戻ってきました。詳しくは彼から聞いてください」


 シグルドがそう言うと、馬車のドアをノックする音が響く。おそらく……と言うより、十中八九トリスタンだろう。

 カストールが馬車の窓を開け、問い質す。


「人が倒れてたって?」

「はい。それも若い男女ですね。如何なさいますか?」

「……行き倒れの可能性もあるから、一先ずは介抱でもしようか」

「分かりました」


 トリスタンは軽く頭を下げた後、わたし達の前から立ち去る。

 出発して早々、イレギュラーが発生したみたいだ―――。






行き倒れかぁ……。




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